ラチャプラソン交差点の反政府デモ会場(1日)
【タイ】野党民主党が主導する反政府デモ隊は2日、1月13日から占拠してきたバンコク都内のラチャプラソン交差点、パトゥムワン交差点、アソーク交差点、サラデーン交差点から撤収し、デモ会場をルムピニ公園1カ所に縮小した。
バンコク郊外の総合庁舎前(ジェーンワタナ通り)の道路占拠を指揮する仏教僧侶ルアンプープッタイサラ僧はデモを継続すると言明している。
デモ隊を率いる民主党のステープ元副首相は2日、ルムピニ公園で演説し、タクシン元首相の影響力排除、タクシン元首相の妹のインラク首相の退陣を要求するデモを継続すると宣言。支持者に対し、タクシン元首相関連企業の営業妨害、ボイコットの強化を呼びかけた。
一方、1日未明、反タクシン・反政府派幹部であるナタポン前民主党下院議員の義母でシーウィコン財閥のクンイン(高位の女性の称号)・サシマー・シーウィコンさんの東北部ナコンラチャシマ県カオヤイの自宅に銃弾が撃ち込まれた。けが人はなかった。
ナタポン前議員は2月26日、バンコク都心のショッピングセンター、エムポリアムで買い物をしていたタクシン元首相の元妻のポジャマンさんをほかの反タクシン派市民とともにホイッスルを吹き鳴らして追い回した。バンコク都内のナタポン前議員宅には27日深夜、手製爆弾のようなものが投げ込まれたが、爆発しなかった。
バンコクの主要交差点の占拠解除で首都の生活はほぼ平常に戻る見通しだ。しかし、反タクシン派とタクシン派インラク政権・与党プアタイとの抗争は今後、舞台を司法に移して続くとみられる。
プアタイは今後の展開について、反タクシン派が▼コメ買い取り制度をめぐる汚職を理由に、議会上院での弾劾で、インラク首相と全閣僚を失職させる▼投票から30日以内に議会下院を開会できなかったとして、憲法裁判所が2月2日の下院選を無効にする▼公選制と憲法裁長官らによる選出制が併用されている上院議員の選出方法をすべて公選制とする憲法改正案を支持した上下両院の議員308人を、違憲な改憲を図ったとして、憲法裁が公職追放処分にする――というシナリオを描いていると主張している。
プアタイはまた、2日の下院選で反タクシン派による妨害で投票できなかった選挙区での投票のやり直しを選挙委員会が行おうとしないとして、選挙委の告訴を検討していることを明らかにしている。憲法の規定では、下院は投票から30日以内に開会するとされており、3月4日までに開会できなければ、選挙自体が無効とされる可能性がある。
憲法裁、選挙委、汚職取締委員会などはいずれも反タクシン派の影響下にあるとみられ、民主党はこうした機関と連携して、インラク政権の転覆を図るとみられる。
上院での弾劾成立で首相が失職した場合、問題になるのは後任選びだ。憲法の規定で、首相は下院議員から選ばれるが、下院は現在解散した状態で、開会できるめどは立っていない。首相が失職した場合、反タクシン派が憲法上、どうつじつまを合わせるかは不透明だ。
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