よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

付論 使用費用について (期待で決まる使用費用と減価償却の違い)

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
  使用費用についての精緻な検討は既に済ましたのでそちらを参照いただきたい。26:第6章付論 使用費用の厳密な考察 結局、使用費用は確定せずXはXのままであるhttps://blog.goo.ne.jp/thegeneraltheory/e/9c4930128dded4273c72c840f269adf2使用費用は使用された費用ではない この付論冒頭でケインズは以下のように述べている。「 . . . 本文を読む

第7章 貯蓄と投資の意味―続論 (人々は使われなかった貯蓄の分だけ貧しくなる)

2022年05月23日 | 一般理論を読む 改訂版
ケインズの悪魔の恒等式:人は「貯蓄の分だけ」貧しくなる この章はハイエクの「強制貯蓄説」批判にあてられているが、少々面倒ではある。論争当時に生きた人には分かることが分かりにくくなっている。詳しくは岩波文庫版(上)383ページの訳注をご参照いただきたい。 現代に通じる問題としては、「中央銀行が国債を引き受けて政府が投資を増やせばどういう事態が起きるか」あるいは「銀行が信用創造を行い、企業がそれを原資 . . . 本文を読む

第3編 消費性向 の前に 一般理論を根底から覆すためには

2022年05月22日 | 一般理論を読む 改訂版
第3編は何気ないが重要な編:有効需要の構成要素、消費と投資の探求 第3編消費性向は以下の章からなっている。第8章 消費性向(1)―客観的要因第9章 消費性向(2)―主観的要因第10章 限界消費性向と乗数 一般理論を根底から覆すためには①「人は豊かになればなるほど消費性向が上昇する」という事実を示すだけでよい。あるいは②「低下した消費性向の分だけ必ず投資が増える」という事実を示すだけでよいのである。 . . . 本文を読む

第8章 消費性向(1)―客観的要因 (豊かになるほど消費に回す割合は減るのだ)

2022年05月21日 | 一般理論を読む 改訂版
限界消費性向低下の法則:豊かになるほど消費に回す割合は減る この章ではいろいろな議論が展開されているが、要は消費性向は安定した数値をもつ所得水準が上がるほど低下するということにつきる。なぜそんなことが言えるのか?人間の性向に関する経験的事実に基づいている、というしかない。消費性向の客観的要因として考えられるもの 消費性向=消費/所得と定義される。もちろん、このとき消費性向は様々な値を取りうる。ケイ . . . 本文を読む

第8章 消費性向(1)―客観的要因(続)第4節 (公的債務は資金余剰の裏返し)

2022年05月20日 | 一般理論を読む 改訂版
内部留保や国債償還が消費に及ぼす影響  非常に重要な節である。ケインズは消費性向の客観的要因として6点を挙げていたが、この節ではマクロ経済が消費に及ぼす要因を取り上げている。 企業は減価償却を行う。減価償却をしなければ資産は減りやがては価値を産み出せなくなる。これが個人の住居なら住むに耐えない廃屋となってしまうだろう。この減価償却は内部留保と言う形で積み上がっていく。これが経済全体で見て期中に支出 . . . 本文を読む

第9章 消費性向(2)―主観的要因 (利子が上がる時、所得は減少する)

2022年05月19日 | 一般理論を読む 改訂版
 いくら消費するか(貯蓄するか)は個人の判断である。主観が決める。これは争いがない。では利子が上がれば、今保有している現金を消費するのではなく、貯蓄して(増えてから)将来消費しようとするのだろうか?この問いに答えたのが「第9章消費性向(2)―主観的要因」である。利子率の上昇は貯蓄を減少させる 古典派・現代正統派は、人が消費するか貯蓄するかを決めるのは利子率だ、と考える。利子率の上昇は貯蓄を増やし、 . . . 本文を読む

第10章 限界消費性向と乗数 (使われない貯蓄は、何かに使ってしまったほうがいい)

2022年05月18日 | 一般理論を読む 改訂版
雇用の増減は投資の増減によるのだが 消費性向があまり変化しないとすれば総雇用・総所得は投資量の関数となる。すなわち雇用の増減は投資の増減によることになる。 所得の増減によって消費も増減するが、その増減は所得の増減ほどではない。つまり消費の増加分は所得の増加分より小さい。消費の増加分÷所得の増加分を限界消費性向と呼ぶ。消費をC、所得をYとすれば、⊿C/⊿Yが限界消費性向である。限界消費 . . . 本文を読む

第4編 投資誘因 の前に いよいよ雇用、利子および貨幣についての考察

2022年05月17日 | 一般理論を読む 改訂版
 ここに来て、今までの篇と第4編の目次を見ておくのも参考になると思われる。第1編 序論 第1章 一般理論 第2章 古典派理論の公準 第3章 有効需要の原理第2編 定義と概念 第4章 単位の選定 第5章 産出量と雇用の決定因としての期待 第6章 所得、貯蓄および投資の定義  付論    使用費用について 第7章 貯蓄と投資の意味―続論第3編 消費性向 第8章 消費性向( . . . 本文を読む

第11章 資本の限界効率 (資本の将来の期間収益であり期待に依存する)

2022年05月17日 | 一般理論を読む 改訂版
資本の限界効率とはなんぞや?その意味と意義 マクロ経済は会計年度で動いているわけではない。ケインズははっきり書いている。資本の限界効率の意味と意義に関する最も重大な混乱は、それが資本の期待収益にも依存し、単に当期収益にのみ依存するのでないことを見損なったところから生じた。 ケインズは資本の限界効率を次のように定義している。上記の「意味」の部分だ。耐用期間を通じてその資本資産から得られると期待される . . . 本文を読む

第12章 長期期待の状態  (美人投票のたとえ)

2022年05月16日 | 一般理論を読む 改訂版
資本市場の発達と長期期待の変化 「第5章 産出量と雇用の決定要因としての期待」において期待は短期と長期の2種類に分けられた。 短期期待とは現存の生産設備でどのくらいの利益が得られるだろうかという期待である。長期期待とは設備投資を行う際にその設備投資の耐用期間中にどのくらいの利益が得られるだろうかという期待である。短期期待は生産の規模を決め、長期期待は設備投資の規模を決める。 この第12章は投資の規 . . . 本文を読む