孫のInstagramで紹介されている本で、読んでみたいなと図書館に予約を出しました。
孫のInstagramの文
民俗学者の卵の主人公と、民俗学者の教授が旅をすることを通して、心とは何か、神とは何か、日本人の世界はどんなものであってこれからどこへ行くのかを静かに考えさせられる本です。
心に留めておきたい素敵な言葉が沢山あります。
文章の一部を紹介
「この国の人々にとって、神は心を照らす灯台だった」
「灯台に過ぎなかったと言い換えてもいい。
もとより灯台が船の目的地を決めてくれるわけではない。
航路を決めるのは人間だし、船を動かすのも人間だ。
何が正しくて、何が間違っているのか、灯台は一言も語らない。
静まり返った広大な海で、人は自ら風を読み、星に問い、航路を切り開くしかない。
絶対的な神の声がない以上、船はしばしば迷い、傷つき、時には余人の船と衝突することもある。
しかし絶対的な教えがないからこそ、船人達は自らの船を止め、他者と語り合う事も出来たのだ。
己の船が航路を誤っていないか、領分を超えて他者の海に迷い込んでいないか、そのことは、寄って来る港を振り返りさえすれば、灯台の灯が教えてくれる。
船が今どこにいるのか、どれほど港と離れているか、人はささやかな灯を見て航路を改め、再び帆を張る事になる。
この国の人々はそうして神と共に生きて来た。
この地の神とはそう言う存在だったのだ。
その神が、今姿を消しつつある。
それはつまり、灯台の灯が消えようとしていると言う事だ」