夢音(ゆのん)~風のおるごーる~ atelier JUNON

~想いをかたちにするために~
天然木を使った、オルゴール作家

想い

2025-02-16 06:58:41 | つれづれ
「夢があるのはね」

と、飛び込んで来たカメムシが言いました。

「人の、特権だと奢ってるさ」

私は作業の手を止めて

「まだ寒いと言うのにあんたらはもう出てくるのよね」

工房の窓の縁に落ちたカメムシを

息子は何とかしようとしたけれど

「そのまんまでいい」

と、言いました。



害が無いならそのまんま

物語があるものだ。



生き物たちにはそれぞれの事情がある

マムシやムカデやスズメバチのようにちょっと厄介な者を除けば

後は迷惑じゃなければそのまんまでいい

と言いました。

スズメバチは今年は春のうちに女王を何とかする

教えてもらった方法で。

年々田舎の暮らしが忙しい事に気づく

都会はすこぶる暇だ。

田舎では草はジャングル

山から来た葛がツルを伸ばし絡まった奥のカボスの木から

少しずつ外してるけど

これがまた丈夫で

うまくたわむので

「かごが編めるよ。こりゃ面白い」

と、息子に言いました。

「かごなんか編めるのか?」

私は籐籠を編むのが好きで

よく籐の材料を買い

風呂場にお湯で浸しておき

柔らかくして編みました。

葛はそうはいかない

野性味溢れているけど

こりゃ面白いよ

と、言いました。

よし、今日から昼休み材料にしちゃえ。

今は冬で葉も落ちてちょうどいいので

適当な長さに切り刈り込むか。

毎年裏山からやってくる厄介者と想ったが、

こりゃ面白いな。

凄い造形美だよ。



大きな蜘蛛達もそろそろでてくるだろうし

賑やかに、アカテガニ達も現れる。

冬眠してた蛙たちはもう少し後

彼らが現れるまでに

庭や裏の木達を何とかする。

寒い間にすることはたくさんある。

あたたかくなると手遅れになるから



田舎は、結構忙しい。

草引きサボれば草ボーボー

毎日5分でもコツコツしなきゃこりゃ大変。



さーて今日も忙しい

こちらに年末いたときテレビ見てる母は

あんたはテレビも見ないのか?と、驚いた。

見てる暇がなかなかないのよ。

と、笑いました。

「あんたをみてると目が回る。」

と、母は笑っていました。

じっとしてないからでしょう

毎日毎日工房で作業しかしないのは

京都にいたときと変わらないねと笑いました

「あんたそれでも幸せなん?」

私はとても幸せだ。

毎日作れたら幸せだ。

それだけだよと笑いました。



こちらに来たら私とのんびり田舎暮らしできるかとみんな言うけど

私は、若い頃の2倍張り切ってる。

木の粉まみれ

毎日毎日。

人が来られるときや画廊に出掛ける以外は

どこにもいかないし籠もって作っています

そんな私の幸せをよく知ってるのは

周りに住んでる生き物達で

時々私を、覗いては

笑ってる

虫も鳥も犬も猫も

案外物語を持っているもので

私は彼らの物語をひっぱりだしたい

もちろん人の物語も、面白い。

私は動けなくなる、そのひまで

忙しいと、想います


コメント
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