自著の小説・詩の紹介(巨人戦)

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高木徳一の11、12作目の小説出版と44作目の『旅愁散文詩』(巨人戦)

2009-07-16 11:29:36 | 出版

 お早う御座います。

関東が梅雨明けとなり、30度を超える猛暑が続きそうです。体調には気を付けましょう。

 昨日、メタボ検診を受けてきました。どこも異常が無いからと言って安心は出来ませんよ。検診は当然、調べた範囲、項目が大丈夫と言う事ですから。元上司が人間ドックでどこも悪いところが無く、翌年の退職後夫婦で世界一周をすると張り切っていましたが、翌年スキルス胃癌になり、敢え無く帰らぬ人となってしまいました。スキルス胃癌は粘膜下層に広がるので、表面を観察しただけでは見付からなかった訳です。従って、何らかの症状が出たら、専門医を訪れ、1ヶ月も症状が取れなければ、他の専門医を訪ねるのがベターです。現在は、日進月歩で癌の診断技術、治療法、治療薬が改良されていますので、初期、中期なら治癒の可能性が大です。キャシー中島さんの長女が肺癌で亡くなった由。お悔やみ申し上げます。

 さて、政治面では都議選で与党が大敗し、与党内が混乱中です。自民支持層の一部と浮動票の大部分が一度民主党に政権を担当して貰って、新しい力で特に景気回復、行政改革、福祉、医療、教育に邁進して欲しいとの願いからだと思います。

経済では、エコカーの売れ行きが好調で、米国の大手金融機関の上位社の収益が増加したとの記事がありましたね。中国、インドの経済成長にあやかって、世界の景気も上向きを期待します。

 スポーツ界は華やかですね。ボクシングの長谷川穂積選手が9度目の防衛戦で1回TKOを果たし、あの強さに驚きました。母上が大腸癌の治療中で、確か中性子照射の1回で300万円の超高額だそうです。もっと安価になって貧乏人でも受けられるようになって欲しいものですね。栗生選手は残念ながら王座を明け渡しました。捲土重来です。

高校野球の地区予選が始まり、新聞紙上を賑わしています。

巨人は、昨夜ヤクルトに13:7で華々しく散りました。途中でラジオのスイッチを切り、テレビでドラマに切り替えたのです。余裕で、心は痛みません。47勝25敗7分なので。高橋、野間口両投手の乱調では仕方ありません。小笠原選手の2本塁打5打点が救いですね。阿部選手の腰痛離脱、ラミレス選手、坂本選手がやや下降気味が気になりますが。17日からの阪神3連戦を2勝1敗のペースでお願いしますよ。

大リーグではWBC参加組みではイチロー選手一人の活躍が目立ちます。後半戦、他の選手も頑張って欲しいです。

 大相撲も始っておりますが、横綱を狙う日馬富士もライバルの琴将菊に完敗で今後が心配です。白鵬、朝青龍の両横綱を倒す稀勢の里らの若手の成長を望みます。

 文学面では、141回芥川賞に磯崎憲一郎さんの『終の住処』、直木賞に北村薫さんの『鷺と雪』が15日に決まりましたね。ご両人様、お芽出度う御座います。磯崎氏は三井物産に勤務しながら執筆活動をして、07年に文芸賞、08年に芥川賞候補になったとの事。一方、北村氏は国語教師から作家デビューし、91年に日本推理作家協会賞、06年本格ミステリ大賞、その後直木賞候補6回目になって、デビュー20年目にして直木賞を受賞の由。継続は力なりを教わり、元気を貰いました。

 今回、戦争シリーズの11作目と12作目を同時に『物書きネット』『でじたる書房(申請中)』『ホンニナル出版』で出版化しましたので、お知らせ致します。

 11作目:『いろはにほへと(戦争シリーズ②)』 物書きネット90円、でじたる書房に申請中315円、ホンニナル出版1470円(B6で62頁、税込み)

 召集令状一枚で日中戦線に狩り出された剣道場主の長男剣崎鋭介が過酷な体験から狂人と化し、『百人切り』と恐れられる。義弟の憤死、戦友の犬死・・戦乱に咲いた中国娘との不可思議な愛と日本人の子を身籠る中国女に対する無礼打ちの際頭に浮かんだ隻眼の妹が人間性を取り戻させる。南京城陥落に貢献したが、時が流れ、戦犯に問われた鋭介の運命は? 色は匂へど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ ・・

 

 12作目:『ナナカマド(戦争シリーズ③)』140円、315円(申請中)、1630円(B6で84頁、税込み)

 「いろはにほへと(戦争シリーズ2)」の続き。日中戦争で敵味方の孫世代がひょんな切っ掛けで出会い、愛を育み、紆余曲折を経て、結婚へと漕ぎ着ける。そこには健治の祖父の働き掛けがあった。式場で祖父は京華の祖母にあの時を尋ねる。祖父母の秘められた複雑な過去とは? 陽と陰を引きずりながら、生き続ける人生模様。浮かび上がる戦争による庶民の運命の軌跡・・。日中間の架け橋になろうとする新郎新婦の意気込みが伝わってくる。

 これで12作目の出版化が終わりました。現在2作を新人賞に応募中。『黒い服の客』の執筆を続行中です。

 

 最後に、44作目の『旅愁散文詩』をご覧にいれます。

  四十四. 米国ボストン (ロブスターとの格闘)

                 昭和六十年五月

   怖いニューヨークを後にして、ボストンへの列車に乗った。その地は北緯42度、日本では室蘭辺りである。車窓からの5時間の眺めを愉しんだ。喧騒のニューヨークから一路北へ。海岸沿いに走り、前方にロング島を見やりながら、右手に大西洋の海原を、左手に大平原を、喬木から潅木へ、広葉樹から針葉樹への移り変わりがこの目に飛び込む。車外の寒さを感ず。

 ボストン駅に着いた。プラットホームが線路と同じ高さなので驚いた。日本で経験した事の無い事の一つである。旅行社がチャーターしたバスで塵一つ無い茶の舗装道路、手入れの行き届いた緑、ガス灯のあるレンガ造りの家並、石畳の街路を、そこかしこに見ながら、高級ホテルで格式高いコプリー・プラザホテルに到着した。大理石のバスルーム、トイレ、ツイン部屋。ベッドの縦と横が狭く、おや・・、日本人(東洋人)向きにしつらえた部屋かなと苦笑した。

 盛装の若き男女が行き交うフロント。間も無く音楽が漏れ出てきた。(ははーん、ダンスパーティーだな)高校3年から大学生位の男女が何組もステップを踏んでいる。目パッチリ、ピンクのドレスにふくよかな肉体を包んだ娘が出て来た。二言、三言言い、手であっちへ行けと言うジェスチャーだった。何を言ったか、聞き取れなかったが、部屋の中を覗いたり、入ったりしちゃあ駄目よ。貴方方の来る所じゃないわと言うような意味であったろう。(何を小生意気な小娘よ。親のすねかじりで、服を買って貰い、高級ホテルでダンパを開くなんて)と、つい大人気なく心の中で呟いてしまった。言葉が判らないため、相手の真意を汲めず、勝手に当方がひがみ根性で悪く解釈したのかも知れないが。何はともあれ、言葉が正確に掴まえられなければ、感情が一人歩きする事を知った。言葉の内容もさること事ながら、相手の感性に訴えるボディーランゲージも一層重要である事を思い知った。

 4階の我がルームに戻ろうとして、廊下の角を曲がった所で、英語で話し掛けられた。「451号室は何処でしょうか?」「僕は453号室ですから、ご案内しますよ」

宿泊の場合は、小心なため必ず建物の間取り、非常口を頭に叩き込んでいる。あの映画、『タワーインフェルノ』、また日本でのホテルニュージャパンの大火災のテレビ映像を脳に深く刻んでいるので。深酔いしてたら役に立たないかも・・。

「この建物は古く、継ぎ足したりして迷路みたいですね」と言いながら、、壁に指で、間取り、エレベーター、非常口を描き、教えてやった。アメリカで役に立とうとは夢にも思っていなかった。聞いたところによると、母娘で南部のマイアミから旅行に来たとの事。母親は60前後の小太りで白髪であった。娘さんは年の頃35位か、背は170センチ位で、顔立ちはあの『終着駅』のキャサリン・ヘプバーンばりの美女であった。別れ際、母親が、「貴方は日本からいらしたのね」「そうですよ。良く判りましたね。中国人、韓国人、台湾人と間違わずに」「そりゃあ、判るわよ。どうも有難う」「いいえ、どう致しまして。それじゃ、また」

経済大国日本がアメリカの庶民にも知れ渡っているのだなあと、つくづく思った。(後で、部屋の方に遊びにいらっしゃいよ)と言ってくれるのを内心期待したが、映画のストーリーみたいはいかないものだ。部屋に入り、(いやあ、誘うのは女性からでなく、男性からなのかなあ)とか、(この辺の地理は不案内で良い場所も知らないし、また初対面で女性2人の部屋で飲むのも気が引けるし・・)とか思いつつ、何時しか寝息を立てていた。

 夕食は52階建て(229米)のプレデンシャル・タワーの屋上レストランで午後7時から今回のパックツアーで一緒になった製薬会社の男と摂った。午後9時になっても周囲は白々としており、チャールズ川のヨット、トリニティ教会の尖塔、ボストン塔、マサチュセッツ工科大、ハーバード大が展望出来た。民衆は午後10時頃まで外食し、遊んで、翌日の仕事に差し支えないのかと、他人事ながら心配した。テレビでかつて見た大きなロブスターが一人に1匹が目の前に出され、ペンチの使い方を教わり、食べてみた。確かに美味! その内、手が痛くなり、ペンチ労働でエネルギーを消費してはロブスターを食して栄養補給している自分に気付いた。手の運動、口の運動の繰り返しで疲労困憊し、三分の一を残す羽目になった。

 1636年創立の米国最古の大学ハーバード大学で『抗潰瘍剤ファモチジン(ガスター)の薬理学的研究』に関する我が学術論文をポスターセッションではあるが、発表出来た光栄は何時までも心に残り続けるであろう。

奥の校舎は蔦が絡まる赤レンガ、その前庭から白、黒、黄の膚の学生の談笑が聞こえてきた。  

                                 〈了〉


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