走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

部下が辞めたいと言われた君へ

2011年07月12日 18時54分07秒 | 悩める君へシリーズ
 能天気な性格のせいか、人から相談を受ける機会が多くなった。
 その理由としては、年を重ねてはいるが、何も考えずに生きてきたせいか、(私自身)昔のようなギスギスしたところがなくなり、答えは出なくても(自分で言うのもなんですが)結構真面目に聴くので相談相手としては最適なのかもしれない。

 今回の相談は、最も信頼していた部下が辞めたいと申し出てきたことに対する戸惑いであった。
かなり動揺されていた。さぞかし、ショックだったのだろう。
何回も言葉を変えて、「私が悪かったんです」と繰り返す。
後悔の念でいっぱいのようでした。

 それだけ、その方に対する思い入れや期待値が大きかったのでしょう。

 開口一番、「仕方ないんじゃないですか、『辞めたい』というのには相当な決心が要ったでしょうから、自由にさせてあげたらどうですか。生きていたら、たくさんの出会いと別れがあります。別れにクヨクヨしててもお互いのためにはならないんじゃないですか」と一刀両断に切り捨てたのです。
「冷たい」と思われたかもしれません。

 相談者は、仕事ができる方です。
そして、今回、仕事を辞めたいと言われた部下の方も、仕事のできる方でした。

では、なぜこんな状況になったのか。
おそらく相談者は多分、四六時中、仕事のことばかり考えておられる方です。
それだけに部下に対する期待感は大きく、いろいろと期待してしまいます。

 しかし、そのことに部下は無言の悲鳴をあげていたのです。
私は、その部下の方と個人的にお話はしていません。
でも、責任感が強く指導力のある方のようにお見受けしました。
それだけに抱え込んでしまい、とうとう悲鳴をあげてしまったのです。

 こうなれば、互いを近づけようとしても無理だと判断しました。
瞬間的なものだと近づけることはできますが、徐々に積み重なって破裂したものは、近づけることも解消することもできないと思うのです。

 組織を率いると言うのは本当に難しいことです。
特に仕事ができる指導者は部下に同様のものを求める傾向があります。

 確かに、優秀な部下ほど「伸びシロ」は大きいものです。
ただ、その伸びていくスピードが、期待する能力のスピードとは異なるということです。

 人づくりは本当に難しい。
「急(せ)いては事を仕損じる」です。
 何よりも、今回は、相談者がこのスピードを無視していたような気がします。

 そして何よりも、部下は根っこのようなもので、根っこを伸ばしていきながら岩にあたると方向を変えて伸ばしていく、そんないい意味でのしたたかさを有していると思います。
そして、そのしたたかさがあるからこそ木は大木にもなるし、より大きくなるために枝を伸ばすことができるのです。

 相談者が、本当にその部下のことを思い、その未来を思ってあげるなら、今回はその部下の思いを聞き入れてあげた方がお互いのためだと判断しました。

 人づくりは、私心を捨て、相手の成長だけを祈りながら育んでいく、それがなければ組織という木は大木になることはできないと思うのです。
そしてなによりも、子を思う親のような「寄り添う」という姿勢を持ち続けることだと思います。