TOY-TORCHA

60歳お父ちゃんの「つまらなくって、何の役にも立たない」と大評判の馬鹿まる出しブログ。

ヤスオさん(仮名)が、お葬式の席で取乱してポイ捨てしてしまった話。

2020-12-03 11:21:17 | 日記
先日、親類のお葬式に行ってまいりました。
亡くなったのは、九十過ぎのおばあちゃん
です。

老衰との事でしたので、
泣きわめく人などもありませんし、
父ちゃんも、会場で二十数年ぶりの知人、
ヤスオさん(仮名)に会えたりしまして、
和やかな雰囲気の中、
式は順調に進んでおりました。

が、棺に思い出の品を納めるというときに、
急に泣き出した六十近い孝行息子。

普段から本当に熱心にお母さんの面倒を
見ていましたので無理もありません。
境遇の似ている父ちゃんも
もらい泣きしてしまいます。

葬儀屋のおにいさんが、それぞれの
品物のいわれを説明し、参列者が一人ひとつ
預かっておばあちゃんのまわりに並べて行きます。

靴は、外用と室内用が用意されてたし、
お気に入りの衣類が三着もあったりした他、
冥土の旅のお弁当みたいな紙包みが四つあったり、
思い出話にまつわる大きな写真が数枚……等々、
「そんなに入れなくてもいんじゃね?」
って思いながら泣いてたんですが、
おにいさんの説明は、果てしもなく続き、
「好きだった歌のCDです」、「愛用の杖です」……。
とどまるところを知りません。

徐々に棺桶が、可燃ごみ置き場みたいに
なっていきます。

そいで、ちょっとめんどくさくなってきた
親戚連中が、
「今度は姉さんが入れなさいよ」とか、
「あたしゃさっきズボン入れたわよ」とか
ざわついてるんですけど、
孝行息子は品物が一つ紹介される度に
また泣いて、父ちゃんもつられてまた泣いて……。

で、お兄さんが「靴下です」。

なんだか、ねずみ色とコゲ茶色の
くそ混ざったような色の
丸まった靴下が出て来ましたよ。

そりゃあ靴下も履かなきゃ冥土へ旅立てない
かもしれませんけど、だけども でも しかし、
よそのおばあさんが履き古した靴下ですよ。

あんまりさわりたくないですよ。

みんなが譲り合いの精神を発揮していたら
孝行息子が涙声で、
「ヤ、ヤスオさんお願いします、うぅぅっ」
ヤスオさんてのは父ちゃんの知人ですよ。
「え、おれ?」
かなり取乱しちゃって、独り言の声がでかい。
あわてて平静を装っておごそかに靴下をつまみ、
泣きそうな顔で棺桶にポイ……。

人の不幸を笑うのは良かないですけどね、
あんまり可笑しかったんでつい書いちゃいました。

コメント (8)
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