前回のゲロ事件には後日談があります。
奇しくも、その現場にも立ち会い、歴史の目撃者となった父ちゃんは、
この悲惨な事件を次の世代へ語り継がねばならないという「使命感」
あるいは、「ブログのネタにはちょうどいいか感」に突き動かされ、
ここにその一部始終を報告させていただくものであります。
最初のゲロ事件から15年以上の歳月が流れたある日、
カミヤマ君のお父さんが亡くなったという知らせを受けた父ちゃんは、
幼なじみのヒラノ君と共に、お線香をあげるためカミヤマ君ちへ向かいました。
で、なんでそういうことになったんだったか、細かいところは憶えてませんけど、
カミヤマ君、ヒラノ君、父ちゃん、それからケンちゃんの4人で、
スナックに行ったんです。
カウンターに並んで、しんみり酒を飲んでると、
事情を知らないスナックのママに、「カラオケで盛り上げろ」
みたいなこと言われたケンちゃんが、カミヤマ君を元気づけようと思ったのか
単にカラオケが好きだったからなのか知りませんが、えらくはりきって、
井上陽水の「闇夜の国から」をみんなで歌おうと言い出しました。
みなさんご存知でしょうかね、
♪闇夜の国から二人で船を出すんだ 海図も磁石もコンパスも無い旅へと♪
っていう歌です。
ケンちゃんは、
「じゃあマイクは俺が持つからね!カミヤマ君はコレたたいて、
ヒラノ君はコレふって……」って、タンバリンやらマラカスやら配ってまわり、
父ちゃんには、
「淳ちゃんは、俺が手で合図したら わー♪わー♪って歌うんだよ」って、
ハモる役を押し付けて、まず練習が始まりました。
「ちがうちがう、タンタンタンだよ!」
「ゆーっくりぃ、ゆーっくりぃ、あーちがう!」
「そこはもっと早くだよ!」
お父さんが死んじゃったばかりのカミヤマ君にも
情け容赦のない指導が加えられます。
後で知ったんですがケンちゃんは、父ちゃん以上に酒に弱かったんだそうです。
カウンターに並んで座る三人の後ろをちょろちょろ走り回って、
あーでもないこーでもないと、どーでもいいようなコトを怒鳴り散らしてるうちに
酔いが回ってしまったのでしょう。
気が済んだころには、もう完全に目が座ってました。
いよいよ本番、前奏が流れます。
♪チャララララーン チャンチャーンチャラッチャー♪
♪♪やっみよぉのぉボ、ボエェェェ……
っつって、案の定、ゲロ大量噴射ですよ。
ゲロの音は、ボエン ボエン ボエン ンンン……て感じに
エコーがかかってました。
ケンちゃんの隣にいたのはカミヤマ君。
被害甚大。
お父さんは死んじゃうわ、ゲロは飛んで来るわ、むごすぎます。
天中殺かと思いましたね。
記憶が定かではありませんが、
汚れた床を掃除させられたのも汚れついでの
カミヤマ君だったような気がします。