元気だった頃のじいちゃんが
作った庭の掃除が、
とうちゃんの日課。
(動かす箒に猫がじゃれ
つくので無駄に大変です)
集めた枯葉で焚き火をしながら
ふと目をやれば、隣の空き地の
背の高い木が、ゆっくりと
風に枝を震わせています。
晴れ渡った冬の空に舞う
無数の枯葉を目で追い、
とうちゃんは思います。
「ああ、今この瞬間、
この広い世界には、
あれらよりも
もっともっとたくさんの
人々が、悲しい思いに暮れて
いるのだろうな」 ……と。
そして、とうちゃんは
祈るのです。
「その葉っぱ、うちの庭には
飛んできませんように……」
自分の事しか考えられない男。