出向してくれるな

　私が以前勤務していた会社は、大手の企業の子会社でした。ですから、会社の経営陣の半分以上は親会社から出向してきた人が占めていました。私の勤務していた会社は子会社とはいえ、経営については親会社と一体になった生産分身会社みたいな会社ではなく、独立した経営を行っていました。

　そかなことで、一般従業員の中まで親会社の出向者があふれるほどやってくるというわけではありませんでしたが、経営の中枢は出向者が握っていました。子会社がこんな人に来てもらいたいなんて言えないでしょうから、親会社が決めた人がやってくるわけです。人間的に素晴らしい人もいれば、なんだこりゃみたいな人もいます。

　仕事はせずに責任もとらず、親会社に長年勤務したお祝いで子会社の役員になって、悠々自適に過ごそうなんてのがいます。また、営業部門の長として親会社から出向してくる人は、仕事のやり方が親会社のブランドで仕事をしていた人なので、子会社のような知名度のない会社の営業にはマッチしません。例えば親会社での営業ならば、その社名を名乗ればだれでも知っている企業で、すくなくとも話を聞いてもらうアポイントぐらいはすぐとれるでしょう。ところが、知名度がない会社ではそんなことは通用しません。

　ですから、親会社からから出向してきた営業マンは、子会社の組織をひっかきまわして混乱させたあげく、売り上げはのばせないというのがほとんどです。全く子会社にとっては不要などころか士気ややる気を落とすひでえやつばかり送り込まれてきます。

　子会社に出向してくる親会社の人間も、成果をあげられないやつは、のしをつけてでも送り返す制度が必要です。