○母&母系解説(Family Story)
加3冠馬、米クラシック馬がいる優秀な母系
母タッチフォーゴールドは英で3戦1勝の成績を残し、4歳時に繁殖牝馬として日本に輸入されました。 母としては、オープン特別の紅梅Sなど3勝のタッチザピーク(父スペシャルウィーク)、2勝をあげたゴールデンプライズ(父ホワイトマズル)、七夕賞2着、新潟記念4着など中距離重賞で活躍中のタッチミーノット(父ダンスインザダーク)を産むなど、コンスタントな繁殖成績を残しています。 そして2011年に産まれた、ダイワメジャーを父とする牝駒がこのタッチフォーゴールド11です。 父がダイワメジャーということで、兄姉以上にスピード色が強い血統と言えます。 目標としては桜花賞、NHKマイルCといったマイルG1が予想されますが、それだけでは終わらない大物感も感じられる配合です。 それを裏付けるかのように大物を輩出している母系にも注目です。 祖母ダイジンは加G1シリーンSの勝ち馬で、産駒に加古牝馬チャンピオンのセレネイディングがいます。 祖父母からは加3冠馬ウィズアプルーヴァル、米3歳クラシックのG1ベルモントSを勝ったタッチゴールドが出ています。 さらに4代母の一族には、加3冠馬イズヴェスチア、米G1サンタマルガリータH勝ちのヘルシーアディクションも名を連ねており、北米を代表する名門牝系のひとつと言えるでしょう。 中距離向きの持続力あるスピードと、ダートや力の要る馬場向きのパワーに期待が集まります。 |
○橋口調教師インタビュー(2013/4)
――見た目の印象、もしくは初めて見た時の印象はどうでしたか? 牝馬にしては重量感があり、背中からお尻にかけてのラインが良くて、全体的にバランスの良い馬というのが最初の印象です。 ――現時点での兄レッドブレイゾン(父アグネスタキオン)との比較はいかがでしょうか。 牡馬と牝馬の違いはありますが、本馬はブレイゾンに負けないくらいの骨量があります。 お兄さんは長手の馬ですが、こちらは父がダイワメジャーということもあってドッシリ感がありますね。 ――どのような路線を想定していますか? 育成場での仕上がり具合にもよりますが、早ければ夏には入厩させて、9月の秋競馬にはデビューさせたいですね。牝馬ですし、血統や体型などからも、距離はマイルあたりと考えています。 ――この馬の現状でのセールスポイント、課題などが分かれば教えて下さい。 牝馬特有の線の細さは感じないし、いかにもパワーがありそうです。 血統の良さが馬体にも上手く出ているので、このままのイメージで成長していって欲しいと思っています。 ――本馬への期待、抱負の程をお願いします。 血統的な背景や馬体、そして柔軟性のある歩様からして、もちろん来年のクラシックを睨んだ使い方をしたいと考えています。ポテンシャルの高い母系ですから、期待も楽しみも大きいですね。 |
○配合診断
2代母DaijinはカナダのG1勝ち馬で、近親にTouch Gold(ベルモントS)やWith Approval(カナダ年度代表馬)らが出る名牝系。 兄姉にもタッチザピーク、タッチミーノット、レッドブレイゾンと活躍馬が出ており、これらの父はすべてサンデーサイレンス系。 サンデーサイレンスとMr.Prospectorが出会うと互いの柔らかな体質がオンになりやすいので、他の部分でパワーの血を補う必要があり、その際に最も有効なのがアメリカ血脈でも屈指のパワーを誇るBuckpasserの血で、サンデーサイレンス+Mr.Prospector+Buckpasserのトライアングルからは、サイレンススズカやゼンノロブロイなど数多くの活躍馬が出ています。 タッチフォーゴールドは父がMr.Prospectorで母母父がBuckpasserなので、サンデー系種牡馬と配合すると自ずと「黄金のトライアングル」が完成することになります。 この馬もオープン級の期待は当然でしょう。 |
○馬体解説
頭部と体の大きさのバランスが取れ、鈍調さのない利発な目をしています。 馬体は父ダイワメジャー同様前胸が古馬のように大きくせり出しているので首の付け根の下方部が短くなっています。 この形状だと肩を基点として頭を下方へ振りやすくするので、スピードの乗りが速くなります。 四肢の繋が短めなのでピッチの速い走り可能になり、母父ミスタープロスペクターの回転の速さ×父のパワーが加わった産齣と言え、マイル前後の距離で大成する楽しみをもっています。 |
2012年11月
2013年3月