○母&母系解説(Family Story)
米の女傑サビンから受け継ぐ力強いスピード
母ジュメイラビーチの生まれ故郷である米に根を張る母系ですが、米競馬界を代表する名牝の一頭となったのが、ジュメイラビーチの四代母にあたるサビンです。 G1ゲイムリーH、G1イエローリボン招待Sを牡馬相手に勝利したサビンは、重賞8勝を含む計18勝を挙げた、まさに「女傑」と呼ぶに相応しいパワフルな競走馬でした。 このほかにも、米G2馬セントアンダン、やはり米G2を制しているストリートサウンズ、米G3ホースのラフティカスなどを輩出しているこの母系は、力強いスピードと、1800m前後のレースを得意とする中距離適性を武器としています。 |
○吉沢譲治の配合診断(Analyze)
母の父シルヴァーデピュティは2歳戦向きの仕上がりの良さだけでなく、成長力も備えた短中距離血統で、アメリカの代表産駒にシルヴァービュリットデイ(BCジュヴェナイルフィリーズ、ケンタッキーオークス)がいる。日本でもディバインシルバー(北海道スプリントC)、アタゴタイショウ(函館2歳S)、デピュティーアイス(仁川S)、トゥルーリーズン(セントライト記念3着)ら多数の外国産馬が活躍しておなじみだ。芝、ダート兼用だが、力のスピード血統だけにダートのほうが信頼でき、芝は時計のかかる馬場や雨で渋った馬場が合う。母のジュメイラビーチも新潟の芝1800mで勝ち上がったが、その後はダートの短距離で活躍した。
四代母のサビンはアメリカで2~5歳時25戦18勝、G1のイエローリボン招待Sなど芝の中距離をタフに勝ちまくった名牝。その子孫たちはコンスタントに走る確実さがありながら発展性に欠けていたが、2007年5月、母ジュメイラビーチの半弟セントアンダンが、米G2のチャーチルダウンズS(D1400m)を勝つ新たな展開を見せた。名競走牝馬の系譜は、どこかでひとたび弾みがつくと他の繁殖牝馬に次々と連鎖していくもの。その点でも本馬は楽しみな存在だろう。 父のスペシャルウィークはシーザリオ(オークス、アメリカンオークス)、インティライミ(京都大賞典、日本ダービー2着)でおなじみ。産駒は2歳の重賞から楽しめる反面、早熟タイプ、マイラータイプも目立つが、この母系との配合なら芝適性、成長力、2400m級のスタミナも問題はないはずだ。シーザリオを育てた角居調教師に、そのあたりは存分に引き出していただこう。 |
○1口出資条件(Investment)
気鋭トレーナーの手腕で潜在能力が開花するか
体質面に弱さがありながら、計4勝をマークした母ジュメイラビーチの競走能力は、管理した萩原調教師が「順調にレースを使えていれば、オープン入りは間違いなかった」と証言する非凡なものでした。
その母の初仔にあたるジュメイラビーチの06は、父にG1・4勝のタフネスホース、スペシャルウィークを得たことで、母方のひ弱さを払拭できるかもしれません。
現在のところ、馴致、育成のメニューを順調にこなし、丈夫であることを示しています。このジュメイラビーチの06を管理するのが、関西の気鋭、角居勝彦調教師。クラシックに強い角居師の手腕で、潜在能力が大きく開花することが期待されます。 |