○母&母系解説(Family Story)
近親に2歳女王レーヴディソール、迷いなく照準はクラシックロード
愛で生産され、仏のレースで入着経験を持つアルレシャは、未勝利のまま競争生活を引退。 現在は日本に導入されている名種牡馬キングスベストの種を宿した状態で日本に輸入され、2012年に初仔となる牝駒レッドアナベルを産みました。 そして日本最高額の種付け料を誇る首位種牡馬ディープインパクトを父に迎えて生まれた2番仔となる牝駒が、アルレシャ13です。 父ディープインパクト×母父マルジュの配合からは、桜花賞馬マルセリーナが誕生しているだけに、アルレシャ13にもクラシック戦線での大成功が期待されています。 母系は日本競馬界との相性も素晴らしいファミリーで、アルレシャ13の祖父母にあたるニュミディーから連なる血脈からは、仏G1サンタラリ賞馬で、2000年のG1ジャパンCにも参戦したレーヴドスカー、G1阪JFを制し、最優秀2歳牝馬に選出されたレーヴディソール、G2青葉賞勝ちのアプレザンレーヴ、G1阪神JF2着のレーヴダムールらが登場してきています。 また、仏G2オカール賞を制しているニュミデ、仏G2ロワイヤリュー賞馬ファビュラスホステスも同じ一族の出身。 2歳重賞競走に強い仕上がり早さだけでなく、3歳以降の成長力を兼備していることも母系の魅力となっています。 その血を受け継ぐアルレシャ13だけに、長期に渡るトップホースとしての活躍も十分に望めるはずです。 |
○配合診断
2代母レーヴディマンは名繁殖レーヴドスカーの全妹にあたり、愛1000ギニーのBethrahを産んで母としての有能さを証明しました。 母アルレシャはそのBethrahの全姉で、レーヴドスカーの産駒はナスキロ柔い体質のストレッチランナーが多いのですが、アルレシャはMill Reef≒Rivermanのニアリークロス4×4を持つので、やはり産駒はしなやかにストライドを伸ばして走れる体質に出るでしょう。 ディープインパクト×Marjuはマルセリーナと同じで、この組み合わせはAlzaoとラストタイクーンを通じる「Northern DancerとナスキロとAttica≒Tom Foolの組み合わせのクロス」と、BurghclereとWelsh Flameを通じる「CrepelloとBorealisとHyperionとCourt MartialとAloeの組み合わせのクロス」になるのがポイント。 すでに桜花賞馬が出ている組み合わせでしっかりした根拠のある配合パターンですから、柔らかくストライドを伸ばして斬れる中距離馬として、大成を期待される一頭といえます。 |
○馬体解説
ディープインパクト×母父マルジュはG1馬マルセリーナと同じ配合で、小柄な割に華奢なイメージはありません。 牝馬でもひ腹のラインが上がらず、腰角にも丸みがある体型です。 母が若いこともあり、本馬には筋肉の柔らかさがよく伝わり、皮膚のキメの細さが目を引きます。 肩甲骨の角度はマイル~2000メートルに適性を示し、ベースが広く、き甲部分から下方へ大きく膨らんでいます。 上腕骨、前腕骨も太く、前脚のかき込むパワーに期待できます。 前脚はソエが出なかった父同様、肘関節→腕節→球節が一直線で歪みがなく、強い調教もクリア。 首は頸溝、上腕頭筋のライン共に浮き出ていて筋肉が多く、首のバネも良好。 繋は平均的な長さと太さなので、馬場状態にも適応能力があります。 |
○石坂正調教師インタビュー
父に現役ナンバー1種牡馬ディープインパクトを持つアルレシャ13。 数多くの名馬を育て上げてきた、栗東の石坂正調教師ですが、ディープインパクト産駒の牝馬ということでは、牝馬3冠馬に輝いたうえに、G1ジャパンCで史上初となる連覇を達成、さらに2014年には首G1ドバイシーマクラシックを制した、極め付けの名牝ジェンティルドンナが厩舎の所属馬に名を連ねています。 「アルレシャ13も、ディープインパクト産駒らしい、“ピリっとしたところがある”牝馬だなという印象を持ちました。 まだまだ変わってきそうで、今後どのように成長してくるのか、僕自身、強い興味を抱いています」 アルレシャ13の曽祖母ニュミディーから拡がるファミリーからは、G1愛1000ギニー馬ベスラー、G1阪神JFを制したレーヴディソール、同レース2着のレーヴダムールといった、マイル向きのスピードを武器とする強豪牝馬たちが登場しています。 「アルレシャ13も、スピードに優れたタイプであることは間違いないでしょう。 競走馬にとって、まず何よりも求められるのはスピード能力ですから、それが備わっていることは、非常に頼もしい材料ですね。 また、父ディープインパクトや母系から出ている活躍馬を見ると、瞬発力にも優秀なものを持っているはずです」 血統的要素、そしてアルレシャ13が持つ資質から考えて、最初の大きなターゲットとなってくるのは、スピードと瞬発力、そして仕上がりの早さも要求される、G1阪神JF、G1桜花賞となってきそうです。 「もちろん、デビュー時期は今後の調教過程を見ながらの判断となりますが、夏場から秋口にかけての、芝1400~マイル戦で使い出したいというイメージは持っています。 桜花賞で圧倒的強さを誇るディープインパクト産駒ですから、アルレシャ13も桜の季節に満開に咲き誇って欲しいですね」 |
2014年10月
2015年2月
2015年5月