夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

コルトー・イン・ジャパン1952

2006-04-20 | music

 アルフレッド・コルトーは1877生まれですから、この最初で最後の訪日のときには既に77歳でした。戦後の復興もまだ途上でもあり、今よりも教養的な意味でクラシック音楽の地位が重かった当時の我が国にとっては名ピアニストの訪日は、大変な話題であったようです。今のように呼び屋さんがとっかえひっかえ「期待の新人」から「最後の巨匠」まで来日させるのとはわけが違います。その演奏会やこの録音について、ドキュメンタリーのようにまとめた詳細なライナーノーツを読むと当時の我が国のクラシック界についていろんなことを想像させてくれておもしろかったですね。

 コルトーはナチスの傀儡であったヴィシー政権と関わったことなどで、戦後は何かと不遇な日々を送っていたこともあり、ヨーロッパのみならず南米や日本にも船と飛行機を使った演奏旅行をしたようです。我が国だけでも20数回のコンサートを行っています。録音は築地のビクターのスタジオで52年の12月1日と3日の2日間行われたそうですが、それでCD2枚分2時間以上を録ってしまっています。

 収録曲はショパンがやはり多く、半分以上を占めています。私は前にも書いたことがあるように思いますが、ショパンは性格的に合わないような感じで、好きじゃないんです。女の腐ったような感じだからって言うと、女性から反発を受けちゃいますね。男の腐ったような感じでもいいんですがw。でもそれだけが理由というわけでもないような気がします。ともかく唯一、コルトーのショパンだけはいいなあと思ってて5枚組みのCDボックスで時々聴いています。

 で、このCDなんですが、冒頭はピアノ・ソナタの第2番「葬送」で、いきなりびっくりするくらいテクニックがヨレヨレですw。まあ、ショパンのソナタとかコンチェルトとか、長いものは私は全然評価してないんで、かまわないんですが。演奏の問題を別にしてもショパンはストラクチュアを必要とする曲は向いてないっていうか、下手ですね。バッハと正反対ってことですが、でもそれが好きじゃない理由でもないようです。

 ところが、前奏曲や練習曲、即興曲とかの特に技巧的じゃない曲、ショパンがふと感じたことを書き留めたような作品になると、ふわっと香りが立つようないい演奏になります。音がこぼれちゃったりはあるんですが、全盛期って言われる30年代の演奏でもミスタッチの多い人で、でもアドリブじゃないのか?なんて感じもあるんであまり気にならないです。あ然とするようなテクニックで押しまくる、例えばホロヴィッツみたいな人はテクニックが衰えると聴くに耐えないんですが、コルトーみたいな人はそんなこともなく、幸せだなって思います。でも、なぜコルトーの演奏がそんなに好きじゃないショパンを気持ちよく聴かせてくれるのかよくわかりません。……って、なんだか私も男の腐ったような感じで、うじうじ書いてますねw。



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2 コメント

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なっ・・ (いちご)
2006-04-21 03:49:29
びっくりするぐらいのヨレヨレのテクニックw

それはちょっと聴いてみたいですねw

ショパンは個人的には普通という評価ですw

でも好きじゃないものを好きだと思わせるというのはすごいものを感じます

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ヨレヨレw (夢のもつれ)
2006-04-21 08:46:15
コルトーのヨレヨレはとてもおもしろいですよ♪コンセルヴァトワールかなんかの先生で、テクニックにはうるさかったみたいですが。彼のピアノは真似しようとしてもできないでしょうね。



ショパンってテクニック的に完璧だとかえってウソくさく感じちゃうところもあるのかなって思います。
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