春は眠い
潮干狩りに行ったの
どこまでも続く眠りの浅瀬に
ぴちゃぴちゃあったかい波が越していく
体の上を、まぶたをなでながら
きらきらオレンジの光の輪が動く
あなたの声に合わせて
もう少し近くに来てほしい
ぼんやりそう思っているのって幸せ
眠いな、眠いね
とりとめもなく同じことを繰り返す
やさしい眼差しが
ふだんのあなたに戻ったって教えてくれる
澄みきった水の底の貝が泡を
ぷくぷく吐くような夢
今日という日が終わるまで醒めないで
ふわふわ雲のようなあたしの心
つなぎとめられるのはあなたの魔法だけ
まだ目覚めたくないから使わないで