マクドナルドの異物混入事件を見てるとよくもまあ次から次へと出るものだと思う。チキンナゲットを買う人はフォーチュンクッキーでも食べてる気分になるんじゃないか。元々外国人CEOになってから業績もよくないらしいし、価格設定も二転三転して経営面からあやしくなっていたところに中国の工場の問題でつまずいた。
今回の異物混入はタイの工場の問題なのか、店舗の問題なのか、混入した後のリスクマネージメントの問題なのか、そのすべてなのか、いずれにしても自慢だった徹底したマニュアルに基づくオペレーションが相当劣化していると考えざるを得ない。その意味では根っこの問題はすき屋と同じなのかもしれない。
別の面から見るとマックはずっと前から反感をもたれやすいというか、目の敵にされやすかった。ジャンクフードなんて言われて、食の画一性、無機質化の代表にされて、「ハンバーガーの材料は牛肉じゃなくて…」といった都市伝説を含めて、それ自体社会学的に興味深い現象だった。
その辺のことをもっともらしくまとめたものに『場所の「マック・ディズニー化」と真正な生活』(山野雅彦、2009)という論文がある。これによると「場所のマック・ディズニー化」現象というのは、人間主体にとって意味や価値の希薄な、「意識の志向性」を喚起しない、したがってリアリティを感じない、すなわち真正性(authenticity)を欠いた場所の増大を含意するそうだ。ファストフードにそういうのを求める方がどうかしてると思うし、リピーターと言えばダントツでディズニーランドなのだから多くの人があそこに真正性を見ているんじゃないのか。あそこは宗教施設だというのがぼくのかねてからの主張だ。
もうちょっとこの論文に難癖をつけておこう。著者はあるべき消費の場所に対する態度は、顔の見えるコミュニケーションが経験される場所において、人間と場所との心の繋がり、持続可能な生活様式を持ち、外部情報を知識へと変換し、文化を生み出す(倫理的・神話的)源泉との接触を意識しながら行動することだそうだ。小難しげに言っているが、こういうのこそが「最近女子に人気のロハスで居心地のいいお店」じゃないのか。心で繋がった常連がたむろして文化や芸術を語り合ってる店なんて一見さんにとっては棒高跳びのバーのように敷居が高い。ふつうの人がイメージする(あるいは凡百の学者の考える)真正性なんか資本は手もなく絡め取ってしまうことくらいわからないのかな。
「マック・ディズニー化」はリッツァーが言い出したらしいが、日本のオペレーションのよさ、サービスの高さを知らないんじゃないか。世界各地にあるディズニーランドの中で日本のがいちばんリピーターが多いそうだ。ぼくはアメリカのは知らないが、ユーロディズニーはできて間もなく行ったことがあって、そのオペレーションのひどさにコレジャナイとつぶやいたものだ。別の面から言えば日本のサービス産業の効率性の低さそのものであり、従業員が労働力の安売りを強いられているわけだ。
で、マックはどうなる、どうすればいいかって適当な提言というか思いつきを書いておしまいにしたいところだが、あいにく何も思い浮かばない。マック赤坂の今後よりは心配しているが、まあすぐになくなることもあるまい。その程度のものだ。
今回の異物混入はタイの工場の問題なのか、店舗の問題なのか、混入した後のリスクマネージメントの問題なのか、そのすべてなのか、いずれにしても自慢だった徹底したマニュアルに基づくオペレーションが相当劣化していると考えざるを得ない。その意味では根っこの問題はすき屋と同じなのかもしれない。
別の面から見るとマックはずっと前から反感をもたれやすいというか、目の敵にされやすかった。ジャンクフードなんて言われて、食の画一性、無機質化の代表にされて、「ハンバーガーの材料は牛肉じゃなくて…」といった都市伝説を含めて、それ自体社会学的に興味深い現象だった。
その辺のことをもっともらしくまとめたものに『場所の「マック・ディズニー化」と真正な生活』(山野雅彦、2009)という論文がある。これによると「場所のマック・ディズニー化」現象というのは、人間主体にとって意味や価値の希薄な、「意識の志向性」を喚起しない、したがってリアリティを感じない、すなわち真正性(authenticity)を欠いた場所の増大を含意するそうだ。ファストフードにそういうのを求める方がどうかしてると思うし、リピーターと言えばダントツでディズニーランドなのだから多くの人があそこに真正性を見ているんじゃないのか。あそこは宗教施設だというのがぼくのかねてからの主張だ。
もうちょっとこの論文に難癖をつけておこう。著者はあるべき消費の場所に対する態度は、顔の見えるコミュニケーションが経験される場所において、人間と場所との心の繋がり、持続可能な生活様式を持ち、外部情報を知識へと変換し、文化を生み出す(倫理的・神話的)源泉との接触を意識しながら行動することだそうだ。小難しげに言っているが、こういうのこそが「最近女子に人気のロハスで居心地のいいお店」じゃないのか。心で繋がった常連がたむろして文化や芸術を語り合ってる店なんて一見さんにとっては棒高跳びのバーのように敷居が高い。ふつうの人がイメージする(あるいは凡百の学者の考える)真正性なんか資本は手もなく絡め取ってしまうことくらいわからないのかな。
「マック・ディズニー化」はリッツァーが言い出したらしいが、日本のオペレーションのよさ、サービスの高さを知らないんじゃないか。世界各地にあるディズニーランドの中で日本のがいちばんリピーターが多いそうだ。ぼくはアメリカのは知らないが、ユーロディズニーはできて間もなく行ったことがあって、そのオペレーションのひどさにコレジャナイとつぶやいたものだ。別の面から言えば日本のサービス産業の効率性の低さそのものであり、従業員が労働力の安売りを強いられているわけだ。
で、マックはどうなる、どうすればいいかって適当な提言というか思いつきを書いておしまいにしたいところだが、あいにく何も思い浮かばない。マック赤坂の今後よりは心配しているが、まあすぐになくなることもあるまい。その程度のものだ。