この映画は1960年の公開ですから、もう50年近く前のものです。古きよきアメリカをビリー・ワイルダー監督が描いた古きよき映画です。そんな時代のアメリカのことなんて知っているはずもないのにどの場面を見ても無性になつかしく感じます。保険会社で出世を夢見るバクスター(ジャック・レモン)が最初にいる大部屋ではたくさんのサラリーマンが計算機を操作しています。彼らはいつ頃コンピュータに取って代わられたのかなという思いがよぎります。
話自体はバクスターの憧れていたエレヴェータ・ガール(これも今では日本のデパートでしか見れないでしょう)のフランがおえらいさんと不倫をして、よりにもよって自分の部屋で自殺未遂を図って……というものですから決して明るい話でもないと思うんですが、明るいさわやかなコメディに仕上がっています。この映画のストーリーで今の監督が描くとどうなるでしょうか。
フラン役のシャーリー・マクレーンはとても魅力的です。それもあって見てる方は彼女がなかなかバクスターのせつない気持ちに応えてくれないのにやきもきします。湿っぽくならず、誤解されても言い訳もしないバクスターよりもずっと。……私はこの映画のポイントはここにあると思います。登場人物に感情移入してしまうのはいい映画なら当然ですが、登場人物以上に想いをめぐらせてしまう、俳優が演技していないところまで引っ張られていくというのは名監督ならばこそでしょう。観客は知恵比べや頭の体操をしたいんじゃなく、手玉に取られたいのです。
話自体はバクスターの憧れていたエレヴェータ・ガール(これも今では日本のデパートでしか見れないでしょう)のフランがおえらいさんと不倫をして、よりにもよって自分の部屋で自殺未遂を図って……というものですから決して明るい話でもないと思うんですが、明るいさわやかなコメディに仕上がっています。この映画のストーリーで今の監督が描くとどうなるでしょうか。
フラン役のシャーリー・マクレーンはとても魅力的です。それもあって見てる方は彼女がなかなかバクスターのせつない気持ちに応えてくれないのにやきもきします。湿っぽくならず、誤解されても言い訳もしないバクスターよりもずっと。……私はこの映画のポイントはここにあると思います。登場人物に感情移入してしまうのはいい映画なら当然ですが、登場人物以上に想いをめぐらせてしまう、俳優が演技していないところまで引っ張られていくというのは名監督ならばこそでしょう。観客は知恵比べや頭の体操をしたいんじゃなく、手玉に取られたいのです。
きっとすごくいい映画で気に入っちゃったからでしょう。
GW以降見た映画について書かずにサボっていたんですが、紹介にならなくてもいいからメモ的に書きおいておこうとしてるんです。まだもう少しあります。
コンパクトな文章なのに、「そういう映画か~」とわかったような気になりましたから。
そして確かに手玉にとられるのが本来の快感ですよね。