夢のもつれ

なんとなく考えたことを生の全般ともつれさせながら、書いていこうと思います。

即詠2行詩50篇

2007-04-13 | poetry
最近は詩のご注文が途絶えているんですが、作りたいなって思って、ネットで探してみたら奇特な方が100のお題を配布されていました。これをそのままふつうに詩にする気がしなかったんで、2行だけの詩にしてみました。詩の元になるイメジェリや言葉遊びだけって感じで、それを展開していないわけです。それだけに早くできますが、全部が全部すんなりできるわけでもありませんでした。……まあ、そんなことで今回は半分の50だけです。



001 愛してる
もう少し早く言ってほしかった
苦しめるだけの言葉なんかいらない

002 悪魔
部屋の隅からじっとあたしを見つめている
ひさしぶりに会った友だちのようにあたしも微笑む

003 雨の中
窓の外にあたしが立っている
意地を張ってもいいことないのにと語りかける

004 家路
どの家の明かりもあたたかい
あたしを寄せつけない壁の向こうに

005 いつか終わる
終わっちゃったね
人生の終わりにもそう言えればいいのに

006 一方的
あなたから見えるあたしを知りたい
あたしが見ているあなたを伝えたい

007 意図した省略
いちばん言いたかった一行を消して
なにげないメールにする

008 嘘つき
恋の初めの不安と終わりの思いやりが
あたしを嘘つきにする

009 英雄
女には強いのかしら弱いのかしら
冷たすぎるのかしら熱すぎるのかしら

010 オルゴール
どこから聞こえるのかわからない
時間の廊下の向こうから?

011 カーテン
カーテンは窓のドレス
ダイヤモンドの夜景を引き立てる

012 回転
いつか回らないのも食べに行きたいね
いつもそう言いながら食べるのがいいの

013 鏡
今日は自分の目を見ていない
今日もとても孤独な一日だった

014 鍵
結婚するって聞いたときよりも
鍵を返されたときの方がつらかった

015 影
風が吹くと樹々が揺れ
影が動くと新緑が光る

016 数える
出会った日、キスした日
別れた日、空白の日々

017 既視感
おかしいくらい同じなの
でも、その後を覚えてないの

018 記念日
あなたにも言わない日がある
あなたにもそういう日があるのかな

019 君を待つ
どうしたの?
思いつめたみたいに見えるけど

020 郷愁
ひさしぶりに空を見上げた
昔のあたしを教えてくれた

021 近況報告
会ったときに言うね
メールでもチャットでも伝えられないから

022 空気
重いときだけ感じるもの
なくなったときだけ気づくもの

023 苦笑
あなたのやさしさなのかな
怒ってくれてもいいのに

024 雲
青い地球をふわりと包む
軽くて白いお布団

025 狂うほど
燃え上がる髪の毛
音を立てて崩れるあたしの心

026 携帯電話
時間の隙間を埋めるもの
心の隙間を作るもの

027 ケチャップ
オムレツ、ホットドック、ハンバーガー
子どもっぽいから、指につけてなめるの

028 血液
海からの風があたしを通り抜け
流れて足元をぬらす

029 現状維持
ちょっと進んで、ちょっと戻って
いろいろあったんだけどね

030 幻想
あの香りには覚えがある
今見えているものがすべて幻想だとしても

031 紅玉
小さくて酸っぱくて固くて
あたしみたいだって?

032 桜
来年もいっしょに見たいね
それも夢のような花が言わせたの?

033 時間
時間は流れない、人が変わるだけ
時間は測れない、時計が回るだけ

034 嫉妬
あたしの心にはがん細胞がある
すべてを蝕み、真っ黒に覆う

035 シャボン玉
パチンとはじけて
おとぎ話の世界が消える

036 白い帽子
くっきりとした影が首筋に落ちて
君が微笑んでいるのがわかった

037 スカート
遠くから手を振っているのに
どうして知らんぷりするの?

038 誓約
さよなら、もうおしまい
何も聞きたくないの

039 切断
腕が痛いの
闇の中でそう叫んだ

040 喪失感
自分でもびっくりするほど
なんの感情もなく涙が流れるの

041 底無し
のぞき込んじゃダメ
あなたがあなたを引きずり込むから

042 ダーク
ぼんやりとした怪物が喉を上げて
あたしを飲み込んでいく

043 ダイヤモンド
小さな天使が中にいるんだよ
子どものときのウソをまだ信じてる

044 太陽
あなたにまた会えるなら
あたしは生きていてもいいな

045 知識
あなたはなんでも知っているから
何にも知らないあたしが好きなの?

046 月
月をじっと見ていると
地球って不思議だなって思うの

047 手遅れ
そう決めたのよ
恋愛において議論は意味がないって思わない?

048 天使
もしかすると見えるかもしれない
心の窓が陽射しに向かって開いたときに

049 扉
押して開ける、引いて開ける
あなたはどっちなの?

050 友達
一晩中他愛もないことを話してた
だから今でも心の支え



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6 コメント

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即詠… (ぽけっと)
2007-04-14 16:40:32
字数の自由な短歌ですね。

いいのがいっぱいあるけど私のイチオシは…
「白い帽子」、とても素敵です。

どれどれ私も…
「空気」
人ごみの中で見つけたあなた
その回りだけがぽっかりと暖かい

がんばってひねり出した割には結構ありきたりでしたね
50、てやっぱりすごいです!
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えへへ (夢のもつれ)
2007-04-15 15:51:22
つまんないことしてないでマジメに詩を書きなさいって言われるかなって思っていたんで、うれしいです。残りを作る意欲がわいてきました。

「白い帽子」はすぐにイメージが浮かんできたんで、やっぱりそういうのがいいのかもしれません。2行にしたのは短歌や俳句みたいにならないようにって思ったからですけど、作ってると「何々とかけて」みたいになっちゃうことが多かったですね。

「空気」いいんじゃないですか。たくさん作ると自分のことがいろいろわかりますよ。きっと。


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凄いですねぇ。 (ゆら★)
2007-04-22 12:45:44
2行で詩の世界感をだせるなんて素敵ですね。





個人的には『嘘つき』が好きです。
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いえいえ (夢のもつれ)
2007-04-23 18:20:00
ゆらさん、コメントありがとうございます。
短い方がかえって空気感みたいなものは出しやすい気がします。

嘘つきは確かにゆらさんテイストな感じですね☆
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こんちゃ☆ ()
2007-04-24 13:55:10
久しぶりに夢Sanの詩見ました^^
ありがとうございます^^

夢sanなりの優しさを感じました^^

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あ、兔さん☆ (夢のもつれ)
2007-04-24 16:55:02
確かに日本語だとそうですね。

私なりのやさしさ……なんか照れますが
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