○クープラン諸国の人々、コレルリ賛:パイヤール指揮、パイヤール室内管弦楽団
「諸国の人々」は、フランス人、スペイン人、神聖ローマ帝国人、ピエモンテ人の4部からなるもので、それぞれがソナード(ソナタのフランス語化したもの)とアルマンド、クーラント、ジーグといった舞曲からなります。音楽の万博みたいなものかなって思ったんですけど、民族色みたいなものは感じられません。パイヤールの演奏って、どうも私にはあんまりピンと来ないですね。
○マーラーさすらう若人の歌、亡き子をしのぶ歌:ブーレーズ、クヴァスト、オッター、ウルマーナ
両曲とも何度も聴いたことがありますが、いつも大地の歌を含めたシンフォニーのあちこちと似た旋律があるなぁっていう聴き方をしてしまうのは仕方ないんでしょうか。歌曲集としても出色のものだと思うんですが。
○メシアン・アーメンの幻想:アルゲリッチ、ラビノヴィッチ
二人のピアノの音色、タッチの違いがよくわかります。アルゲリッチは華やかで軽やかだけど、重みがない。ラビノビッチはくすんだような音色だけど、打鍵が強く響きが深いって感じです。そういう聴き方をする曲じゃないような気はしますけど。
○ベートーヴェン交響曲第7番、第8番:トスカニーニ指揮、NBC交響楽団
私はあんまり古い録音を好んで聴くほうじゃないんですが、まあこの統率力と力強さは大したもんだと思います。ただ、ホロヴィッツと合わせたチャイコフスキーのピアノ協奏曲のあ然とするような名演とまでは思いませんでした。
○バルトーク・ピアノ協奏曲第1番~第3番:ツィマーマン、アンスネス、グリモー、ブーレーズ指揮、シカゴ交響楽団他
1曲ずつピアニストもオーケストラも変えて、1枚のアルバムにしたっていう贅沢なものですが、曲自体としてあんまり感心しませんでした。第2番がいちばんバルトークらしくて、ポピュラリティもあるんでしょうけど、今いち乗れませんでした。
○グルック・バレエ・パントマイム「ドン・ジュアン」、「セミラーミス」:ヴァイル指揮、ターフェルムジーク・バロック管弦楽団
「ドン・ジュアン」(1761年初演)がとてもおもしろく、バレエの振り付けも何となく想像できそうな感じです。終曲のシャコンヌが20年以上後のモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」(1787年初演)とのストーリーのみならず音楽としての同質性を感じます。小ト短調シンフォニー(1773年)への影響もひょっとしてあるのかもいう気になりますね。
○モーツァルト交響曲K.16(第1番)、K.19a、K.19(第4番)、K.22(第5番)、K.43(第6番)、K.45b
8歳頃から14歳頃までの最初期のモーツァルトのシンフォニーですが、生命力にあふれ、めまぐるしく変化する音楽は生まれつきのものだと感じさせられます。第1番だってメヌエット楽章を入れて演奏すれば立派なものだと思います。第2、3番は他人の作とされているので欠番ですが、第4番の第1楽章でほんの数小節だけ短調になった時には、転調の天才のスタートを見たって気になりました。
モーツァルトは神童のまま変わっていないところと、大変な努力をして進歩したところと両方があるのが魅力ですね。
これを機会に今後ともよろしくお願いします。