ひと冬耐え偲んで潜って来た
パステルカラーの光の束が
一直線に私の部屋へと注ぎ込むと
鶏が鳴きカラス、雀が啼き
犬が吠え猫が羊が鳴きだす
長閑なコンクリートの陽炎の立つ
玄関の前は
啓蟄達の目覚めの場所になって行く
ビニールハウスの雪のトンネルを潜り抜けて来た
新鮮な青菜
エコバックから眩しい程に台所へと媚を得る
朝の味噌汁の椀の中
冬のありきりな無彩色から
新しい季節を意識した緑の有彩色
おふくろさんのエネルギッシュな愛で支えて居る
遥遠くじっと見とれる
窓には大粒の牡丹雪
春への始発心は
冬の入口の凍えの傾きとは異る
時の招待は
水の流れを意識しなぞって来るものだ