立場逆転

いつもつんちゃは家族の帰りをひたすら待った。
だから寂しがり屋のつんちゃを、
どんなときも５時間以上は独りぼっちにしたことはなかった。
まして、１３年半の間に１日たりともよそに預けたことはなかった。

病気や怪我による入院もなく、
避妊手術でさえ、日帰りの病院で受けた。
だから、つんちゃは家族がいないところで過ごしたことは１度もなかった。
必ず誰かがつんちゃ番を受け持つシフトが組まれていたので、
つんちゃの寂しがり屋は"筋金入り"だった。

それが、こんなに長く、こんなに遠く、家族から離れていることに
つんちゃへの思いが募るのは、
これまでのつんちゃとの生活から、仕方がないことだ。


つんちゃが旅立った日、会いに来てくれた幼馴染のワンコのママが見たという
壁に映ったラブラドールたちのシルエットは、
つんちゃを迎えに来てくれたたくさんの仲良しワンコだったんじゃないかと思われて
とても嬉しかった。
つんちゃは「ぼっち」じゃないんだと。
たくさんの友達に迎えられて、あちらで幸せに過ごせているんだと思えるエピソードだった。

そして今日、母が語ったのは、ここ数日の間に、夜中に３回ほどつんちゃの声が聞こえたという。

もうすぐお盆。
つんちゃが去って半年が経とうとしている。
つんちゃはしっかり里帰りするために、お泊りで帰って来る。

今度は私たちがつんちゃを待つ番だ。

われもこうに合わせて、花の色を選んでみた。


デシ：師匠、オイラも待ってるんだ～。