月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

諸根悦豫

2009年11月19日 23時26分43秒 | 仏々相念(住職日記)
働くということは金ではない・・・

頭の下がる言葉です。
今朝、テレビを点けると94歳のお婆ちゃんが出ておられた。
なんと現役の理容師さんなのです。

完全予約で日に2~3人の散髪なのだそうです。
ご主人が戦死なさってずっとその店を守って来た・・・
2人の子どもの成長を励みにひたすらがんばって来た・・・

しかし、長き人生には辛い縁にも触れる・・・
娘さんの死・・・
辛かったでしょうね・・・

仏壇の下の引き出しには、大切なものがある。
自分の遺骨を入れる袋、子どものへその緒、夫の戦争の旗、等々
自分の棺に入れるものを見せてくれた。

でも決して暗さを感じさせない。
明るく強い、今を送っておられました。

散髪を終えたお客さんに
「これ、持って帰りな!」
と、ビールと日本酒を差し出していた。
子や孫に接するが如く・・・

後日、お客さんは「おばあちゃん、これ・・・」
野菜、お刺身、等持ってくる。
また、冷蔵庫にあるものを渡す・・・

贅沢をせず、質素に、慎ましく
お客さんとのつながりが宝なのでしょうね・・・

それに比べて私は、情けないことです。
ほしい、ほしいが収まりません・・・
ぺーぺーなのに偉そうなこと・・・

お婆ちゃんの言葉を頭を下げながら聞かせて頂きました。