大晦日

2007-12-31 18:05:03 | 雑事
ニ〇〇七年も、いよいよ本日まで。皆々さま方、大変お世話になりました。

来年も変わらぬご贔屓のほど賜われますれば、何より幸甚に存じます。良いお年をお迎えくだされますよう、ご祈念申し上げます。ありがとうございました。

『天皇ごっこ』

2007-12-29 00:32:12 | 書籍
見沢知廉、第三書館、1995年。まずは作者見沢知廉その人について述べるべきでしょう。昭和三十四年生まれですから、政治の季節には遅れてきた青年なわけですが、相当に政治的に早熟だったようです。中学で右翼活動に参加、その後、非行に走りますが、高校でブント派の学生組織員となります。やがてその新左翼に失望、こんどは新右翼に加わり、書記長局長を歴任します。

やがてイギリス大使館への火炎ゲリラや、スパイリンチ殺人で逮捕。懲役十二年。獄中で書かれたこの『天皇ごっこ』で、文学賞を受賞します。出所後、右翼活動をしながら、また文筆家としても名を拡めます。しかしながら長い監獄生活による後遺症、重度の神経症や線維筋痛症など心身にわたる病を抱え、一昨年事故とも自殺とも言われますが、ビルから落ち四十六年の生涯を閉じます。

獄中で書かれ文学賞を得た小説を大幅に加筆したのが、この単行本版『天皇ごっこ』です。第一章は獄中生活を営む主人公たちと昭和天皇崩御に伴う恩赦の物語。最終章は、どさくさに紛れて北朝鮮に渡った三島由起夫の流れを汲む極右と、日本赤軍よど号事件犯極左たちとの邂逅の物語。全体に、戦中戦後現代と歴史を超え、場所を変え、右と左の天皇をめぐっての文字どおり生死を賭けての右往左往が語られます。

あくまで天皇という日輪を中心にいだいて近代化を成し遂げた日本という国の業が語られ、そして執筆当時右のはずの作者は、しかし、右も左も理想郷を瞼にみるロマンチストであることに変わりはないと言っているようにも思います。左右もなにも分からずとも生きていける現代にあって、たしかに天皇打倒も天皇殉死も、ロマンチストの言い草であるのかもしれません。

自分は関係ないや、と笑えますか?、革命を志す翼持つ若者は、ある意味無害ですが、権力を持ったイデオロギーは大変危険です。政治やマスコミは、口当たりのいい甘味料に隠して、右だか左だかのイデオロギーを大衆にこっそり与えようとしています。文章を書く者として、音楽を奏でる者として、言いたいのは、革命より反抗です、カミュに倣って言えば。

ひと段落しなかった

2007-12-27 23:24:03 | 雑事
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」夏目漱石『草枕』。年もおしせまってから、まったく不本意なことに忙しいです。いろいろとお客さんから声がかかってしまって。しかも年明け早々にも書類が欲しいとか。たまりませぬ。これは、同僚が正月休んでるなか出勤かなあ。とほほほほ。

『抵抗の歌』

2007-12-25 22:36:37 | 書籍
新しいトピカル・レジスタンスソング集。協楽社発行。奥付はあっても、発行年の記載はありません。定価は350円です。おそらく一九七○年ぐらいの発行でしょうか。今日はまた変わったところで、譜面集の紹介です。

ひょんなことで手に入れたこの一冊。闘争などとっくの昔に過ぎ去ってから育った、かなり遅れてきた世代にとっては衝撃的です。ヘルメットにゲバ棒を手にした若者の写真。機動隊。黒人兵。若いボブ・ディラン。「おれの命はおれのもんだ てめえたちの勝手にゃさせないぜ」といったプロパガンダ。

作者不詳の「進め全学連」という歌。「一、闘いの火ブタを切ろう今ここに みずからの解放のため 大きな嵐をまきおこせ 進め 全学連 俺たちに明日はない  ニ、さつに追われて地にもぐる やがて革命たっせいの 勝利の日までがんばろう 進め 若者全学連  三、内ゲバ外ゲバのりこえて おれとお前で開放を ゲバルト・ソングでがんばろう 進め 若者全学連」

ほかにも「機動隊ブルース」とか、「Oh! 昭和元禄」とか、これ真剣にパンクでカバーしたらとっても格好良いのではないですか。ちんどんを始めた流れから、昔の譜面に(そして昔の楽曲に)とても興味がわいていて、ちらと見かけては入手しています。今日は戦中発行の軍人を賛美した、とても愛国主義的な曲の譜面を入手しました。軍歌というのもまた、強烈です。

こうやって興味を持って譜面を眺めれば、読めるようになるではとの思いもあります。しかし、そんな思惑を超えて、譜面収集なんて、またひねくれ変わった趣味が増えるのでは、という危惧もあるのでした。

大掃除

2007-12-23 17:07:03 | 雑事
昨日はアパートの部屋を掃除しました。歩くと床に足あと残るような、埃のつもり具合でしたが、おお、すっきり。ついでに水回りも気合いできれいにして、と。

夜は昔からの友だちと呑んでました。ひさしぶりでした。楽しかったな。お世話さまでした。今日は足利で音楽してくるつもりです。

仕事もひと段落、掃除もして、年越しへの準備着々です。

ひと段落

2007-12-21 23:48:55 | 雑事
ようやく仕事、一息つきました。もっとも溜まりに溜まった顧客データの整理と、お客さんへの膨大な年賀状書きが残っていますが。それでも会うべき人には会い、近々の書類作成も終了しました。はー。

明日は部屋の大掃除をしなければ。もう埃だらけでひどいもんですよ。あ、それから毎年必ず、仕事が落ち着くと風邪ひいたりしています。気が抜けるんですかね。気をつけないと。

物欲の発露

2007-12-19 23:52:27 | 音楽
忙しいです。くたくたです。年内に会っておかなければならないお客さんを巡礼しております。あと少し、あと少し、がんばれ。本もなかなか読めず、ごろごろしながら雑誌をぱらぱら見たりしてます。

そこで見つけたのが、これ、EDIROLのR-09。とても欲しくなってしまいました。たしか、はまださんが前に持っていたような気がします。手のひらサイズのポータブル・レコーダーです。適当な場所に置いて、ワンタッチでステレオ録音。それをパソコンに取り込めます。音質も良いとのこと。もしもお持ちの方、ご覧でしたら感想お知らせくださいませんか。

自分の演奏を客観的に聴いてみたい、というのが主な動機です。どんなんでしょうね。前はバンドでライブの際にPAからライン録音してもらったりしていましたが、最近は酒呑んでばかりで、めっきりそんなことしてないですし。あ、それから音源をCDに焼いて、名刺代わりにもしたいです。セッション的に今度共演しようか、なんて話が出たときには役に立ちそうです。

呑み疲れ

2007-12-17 22:38:35 | 雑事
はい、三連チャン呑み終わりました。さすがにお疲れです。でも、楽しかったなあ。はしゃいじゃいました。お付き合いいただいた皆々様方、ありがとうございました。

そんなわけで週が明けても日がな一日ぼんやり。いかんいかん。今日は早く寝ましょうかね。

年忘れ

2007-12-15 20:25:23 | 雑事
昨日は東京で呑み、今日は群馬で呑み、明日は埼玉で呑みです。呑み呑み酔いどれ日記になってきました。音楽もせず、ひたすら酒を浴びてきます。ウコンの力に頼りっきりです。

今年もあとすこし。身体を壊さぬよう、それだけは気をつけようと思います。風邪がはやっている様子、皆さまもご多忙の折、体調など崩さぬようご注意あれ。

忙しい

2007-12-13 11:59:54 | 雑事
十二月の年末を疾走中。お仕事大変です。でも、今週末は土曜日曜と忘年会。ストレス忘れて飲みますか。出版業界は、近年慢性的に不況です。やあ、なんとかならんもんですかね。根の深いことに、これ日本の景気の問題というより、おそらく出版業界の構造的な問題なのです。というわけで、業界関係の本をまとめて読書中。

こちらのブログご覧いただいている方からお薦め頂いた本も、読み進めております。どうもありがとうございます。さてさて、それから音楽のほうは、来年身内の結婚式で「テイク・ファイヴ」を演奏することになってしまいました。ジャズかあ、五拍子かあ、でも憶える良い機会かな。ちんどん本番もありますし、少しずつやり始めないと。

雑雑感感

2007-12-11 23:59:18 | 雑事
ブログを書き進めるにあたって、まあ毎日はどう考えても無理だから二日は空けないようにと心に決めました。その結果、いまでは隔日刊に落ち着いてしまいました。カレンダーが市松模様になっております。でもまあ、ね。このぐらいが負担にもならずちょうど良いのかな。

年末、あんまり予定が入らないなあと思っていたら、ここにきてずんずんお話が舞い込みます。しかも、どういうわけだか、かぶるんですよ。不思議ですよねえ。お声かかると、全部同じ日だったりします。年末は分かりますけど、なぜか二月のイベントがかぶっていたりします。なぜ、その前の週でも後の週でもないのか!ひとの考えることは皆ほとんど同じということでしょうか。

年内、外回りも来週いっぱい。あとひと踏ん張りです。がんばろうと。

『ゴッド・ブレイス物語』

2007-12-09 23:51:06 | 書籍
花村萬月、集英社文庫、1993年。ゴッド・ブレイス、バンド名です。ボーカルにして主人公の朝子は、十九歳。伝説のミュージシャンにして、コカイン中毒で自滅した石神の元恋人です。高校生の頃、石神に出会い、毎日ウィスキーでうがいをしながら河原で発声練習をさせられました。今では彼女は、ハードブギバンドのフロントとして東京では一目置かれるまでになっています。

ドラムのカワサキさんは、プログレッシブジャズの太鼓たたきでは伝説と呼ばれた子持ちの四十代。ギターのヨシタケは若手ながら、スタジオミュージシャンとして名を馳せる色男。朝子の幼馴染みのタツミは感性で曲を支える堅実なベーシストです。彼らは、知りあいの弱小芸能プロに騙され京都のクラブで演奏することになってしまいます。器材を取り上げられ、金も貰えず、朝子はクラブでホステスをしながら、バンドは一ヶ月を過ごす羽目に陥ります。

老いも若きも男も女も入り組んだ色恋沙汰。破滅的で、過去の自分と、型どおりまともに生きられない痛みと、それぞれが抱え、しかし彼らは音楽という表現に自分自身を打ち込むのでした。

バンド小説というのはジャンルとして確立されていませんが、ロード・ノベルやハードボイルドと同じように一括りに読み込むのも面白いと思います。漫画では『BECK』や『NANA』が有名ですね。バンドメンバーにある程度類型的なキャラクターを当て嵌めることもできますし、青春小説としても成立します。可能性としては面白く拡かれたジャンルだと思いますね。

明日の音楽

2007-12-07 23:55:57 | 音楽
明日はがっつり音楽したいところですが、残念仕事が終わらず。昼間は会社に行かねばなりません。夜はまず、ちんどんの練習。毎週練習が入っていますが、ひとまず始めが肝心ということで。曲を憶えるうえでも、あ、こいつやる気があるなと思われるためにも。今日もこれから、こっそりとシンセサックスで練習するつもりです。

明日はちんどんの後、足利に廻ってセッションに励もうとも思っています。ほんと、ぐわあとサックス吹くのは気持ちがよいのです。グロウルの(喉でうなる音の)ロックテナーから、マウスピースを噛み締めることで一気にリードの振動数を上げ、と同時に喉でうなるから喉の絶叫に変化させ、倍音構成をカオスに持っていく。豚の啼き声とすすり泣きの噴出。これシンセサックスでもソプラノサックスでもできないテナーの醍醐味です。

明日はきっとハードです。でも楽しいんだな、これが。

『実測軍艦島(序)』

2007-12-05 23:39:49 | 書籍
高密度居住空間の構成、東京電機大学阿久井研究室。『都市住宅』第百三号、鹿島出版社。昭和五十一年五月。小説単行本ばかりではなく、雑誌、それも建築関係の専門雑誌を紹介します。「軍艦島」とは、長崎県長崎港から約十八kmの海上に浮かぶ、南北480m、東西160mの非常に小さな島、端島の別名です。

なぜこの小さな島が「軍艦島」と呼ばれるのか。明治期より炭坑として栄え、最盛期には五千三百人の鉱夫その家族らが生活を営むため、日本最初の鉄筋コンクリート住宅など高層の建物群が築かれました。往時の人口密度は、一ヘクタールあたり千人を超えたそうです。遠くから見たその姿は、島というより軍艦そのものでした。

この凄まじい人口密度は香港をも凌ぐ世界一、さらに大正五年建築のコンクリート住宅は、あの保存運動で有名な同潤会アパートを上回る歴史を誇っています。一歩、島に入れば雨に濡れずに歩きまわれたほどに、入り組み積み重ねられた集落。この本土から隔絶されたビル群のなかで人々は、まさに揺りかごから墓場までを過ごしました。

公共施設として役場、派出所、郵便局、病院、幼稚園から中学校、神社、寺、公民館、老人クラブ、共同浴場、映画館、パチンコホール、麻雀屋、卓球場、弓道場、公園、体育館、テニスコート、海水プール、居酒屋などなど。人口密度に比例する凝縮した施設群。そして、戦前の封建的な階級労働制度から、戦後の労働組合の誕生による自治組織の成立、戦災復興を目指す日本の石炭振興政策と経済成長、奇しくも軍艦島閉山の昭和四十九年は高度経済成長の終焉と軌を一にします。

六.三ヘクタールのこの島は、ほとんど日本の縮図を体現していたと言っても良いかと思います。建築の雑誌らしく、写真と図面が豊富です。その一枚、離れた海上から眺めた軍艦島の姿は、筆者の目には軍艦というよりも、まるで多摩丘陵の新興住宅地を一山切り出して無理矢理海に浮かべたように見えます。そしてまたその姿には、とても想像力を掻き立てられます。直截に言及はなくとも、映画、小説、さらにはゲームでも、この島をモデルにした作品は多数あるようです。

昭和五十一年刊行のこの号では閉山直後、その特異で貴重な建築群の調査報告がなされています。それから三十年あまり、貴重な建物群は崩落倒壊の危険があるそうです。一方で、保存運動に伴う世界遺産への登録申請も行われているとのこと。安全地域への一般公開も長崎県は行う予定だそうです。実は来年、九州へ行く予定があります。島への上陸が可能であるのなら、ぜひ行ってみたいな。

BABY CUBIC 「SHOW TIME」

2007-12-03 23:53:49 | 音楽
このブログにて正面きってCDを紹介させていただくのはお初かもしれません。BABY CUBIC 「SHOW TIME」 <収録曲>  1.Lucky Me  2.フジの唄  3.Sweet Kiss  4.恋をしないで

ちょうど去年の今頃でございます。友だちが大宮でライブをやることになりまして、そのイベントで偶然お目ににかかりました。当時のブログからの抜粋。「偶然聞いたBaby Cubic、琴線に触れました。決して今風ではなく、そして夏木マリをカバーしたりするセンス」「衣装に凝ったり舞いを披露したりと趣向を凝らしていますが、いえいえ音もとても格好いいです。エッヂの効いたガレージギターサウンドとうねるベース、スタンディングドラムは古き良い加減でこれはびびっときますね。個性的なボーカルと可愛らしいコーラスはアンダーグランド歌謡曲的です」べた褒めです。

あれから一年、ちょくちょくCDを取り出しては家で車で、拝聴させていただいております。そしてその音を耳にするたび、新鮮です。不肖筆者の個人的な歩み述べさせていただくと、ロカをやりながら、弾き語りの伴奏としてフォークや演歌、さらにブルースやパンクをつまみ食い、遂には歌謡を深めるためチンドンまでやっております。多少大仰な言いかたをさせていただければ、その歩みの延長線上、確実に歴然とBABY CUBICの音楽(とコンセプト)は存在しております。

その後、数回ライブに伺わせていただきました。が、今年四月に解散。そして一生の不覚としていまも慚愧の念に襲われるのは、その解散ライブに行けなかったこと。誠に悔やまれます。再結成は...難しいでしょうかね。気長にお待ちいたしております。