uparupapapa 日記

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杉並区の保育園反対運動に関する、実務家からの考察

2016-06-07 04:33:28 | 日記
こんにちは、杉並区永福町で小規模認可保育所と、

荻窪で障害児保育園を運営している、駒崎です。

今回は、昨今話題の「杉並区公園保育園反対運動」事件について、

役所と住民の方へのヒアリングを経た上での考えを、お話したいと思います。

なお、この事件については各種マスコミで、

住民vs役所という構図で描かれている一方、

今回は役所には概ね「杉並区がんばれ!」「住民のエゴはひどい」

という意見が寄せられているようです。

こうした対立構造の現状については、

分かりやすく報道してくれている各種メディアに任せ、

僕は保育園運営の実務家として「どうしていったら良いのか」に特化してお話しします。



【杉並区が行ったこと】

まずおさらいします。杉並区は悪化する待機児童数を何とかすべく、

「すぎなみ保育緊急事態宣言」を発し、

区立公園を含めた区有地に認可・小規模認可保育所をたくさん作ろう、

と方針を打ち出しました。



-中略-



【認可保育所を建てる場所はあるのか】

住民側は「わざわざ子ども達の遊ぶ公園を使う必要はない」

「他の場所を探せ」等の意見を主張して反対しています。

さて、「他の場所」はあるのでしょうか?


【簡易検証】

「他の場所」を簡単に探してみましょう。

認可保育所の平均定員数が108人、建築面積平均が674平米なので、

そうした土地が杉並区にどのくらいあるか、

物件数No1のHomesで探してみました。


-中略-



つまり「他の場所につくれ」という主張は、

現実にはかなり難しいということが分かります。

では、打つ手はないのか。その辺りに論を進めます。




【杉並区ができること】

杉並区は頑張って区有地や区立公園を活用しようとしていますが、

国家公務員住宅跡地も活用できるでしょう。折しも日刊ゲンダイが特集しています。


大モメ杉並区を救うか 「国家公務員宿舎跡地」に保育園を

(日刊ゲンダイ)- Yahoo!ニュースhttp://bit.ly/210mNJL

おそらくタイムライン的には来年4月には間に合わなさそうですが、

手を挙げておくに越したことはありません。

また、世田谷区でも行った「物件オーナーさん、土地を借ります・買います」のチラシを、

区報に混ぜて全戸配布するのも手です。

世田谷区長との対談では「結構申し出があった」ということだったので、

ある程度期待できるでしょう。お金はかかりますが、土地を買っておけば、

将来介護施設が不足になった時に、保育所からコンバージョンもできるでしょう。

さらには、認可保育所の施設基準のハードルも見直しましょう。




【国ができること ~税制改正と小規模保育の規制緩和~】

さらに、国ができることがあります。というか、国ができることは大きい。

一つは、こうした「認可保育所物件の不足」に対して、

(世田谷区長も語っていますが)固定資産税や相続税を減免することが考えられます。

アパートを壊して、地域の役にたつ保育園にしたい、

と思った土地オーナーがいるとします。

アパートのままにしておけば、固定資産税は6分の1に減免されますが、

保育所だったらそれはなくなります。

こうしたところに対し、アパート並みの減免措置をとることで、

オーナーが保育所に土地を貸し出すインセンティブとなります。

もう一つは、「小規模認可保育所を5歳までに拡大する」ことです。

小規模認可保育所は、昨年度から施行された制度にもかかわらず、

初年度で1655園に激増しています。その理由は6人~19人定員なので、

「小さくて作りやすい」ということ。

大きい物件は見つけづらいですが、小規模の場合、相対的に見つけやすいです。



しかし、この小規模認可保育所は0~2歳まで、とされています。

(卒園後に行く場所がなかったら、例外的に「特例給付」

という制度を使って3歳以降もいることができるはできます)

なぜ年齢制限されているかというと、子ども子育て新制度施行前は

「待機児童が多いのは2歳までだし、

3歳以降は幼稚園の延長保育で預かってくれるさ」

という前提を厚労省が持っていたからです。

しかし新制度が施行されても、

特に都市部の幼稚園は延長保育を始めることはなく、

3歳以降の受け皿としての期待は外れました。

また、都内では3歳の待機児童も増えてきています。

そこで、もはや意味がなくなった小規模の年齢規制を緩和し、

「0~5歳までの子どもを、少人数で預かるのが小規模認可保育所」と再定義し、

制度改正を行うことです。そうすれば、

100人分の大きな土地や大きな物件がないエリアに関しても、

20人弱の物件を5つ作ることはできるので、待機児童解消が進められるわけです。




【まとめ】

「なんて身勝手な住民だ!」と怒る気持ちはとても分かります。

分かりつつ、やはり対話を重ねながら

「いや、代わりの場所って言っても、ないんですよ」

というのをちょっとずつ分かって頂きながら、

やれることをやっていくしかありません。



また、国は「杉並区大変そうだなー、うんうん」と対岸の火事を決め込むのではなく、

これを機に税制改正と小規模保育改革を迅速に行うことで、

自治体や事業者の取れる選択肢を増やしていく必要があるのです。

ピンチはチャンス。みんなで汗かいて、知恵出して、待機児童を解消していきましょう!!




-駒崎弘樹 | 認定NPO法人フローレンス代表理事/日本病児保育協会 理事長-

-2016年6月6日 12時10分配信 -







杉並区の住民説明会を報道した内容を見る限り、

住民エゴが前面に押し出された意見が多発していたような印象を受けたが、

その場にいなかったので真偽は不明だ。


マスコミによる巧妙な情報操作の結果、

ああいう報道がなされたとの疑念は消えない。



ただ、住民エゴによる反対意見ととばかりに断じ、

今までの無策による結果今回出てきた提案を丸のみし、推し進めるのも危険だ。


公園の持つ役割の意味は今更云うまでもないが、

単なる憩いの場のみに非ず。

防災の観点からも避難場所の確保は最重要課題なハズ。


特に南海トラフ大地震の備えを考えると、

まだまだ公園自体も少なすぎるのではないか。


そう考えると公園を潰さず、保育施設確保を実現する提案は

どんどん取り入れていくべきだと思う。


税制からの支援や、受け入れ年齢の緩和など、

傾聴に値する。



確かに税負担の公平性から見れば、

東京などの都心部のみに軽減措置をとるのは問題がある。

例え特区などの政策で乗り切るにしても、

他の地区との整合性は取れず、矛盾が生じ、反発を生む結果となるだろう。



なので税制改正は手をつけず、

軽減措置に変わる補助金を交付するなどの対策により、

実質的な支援策を講じ、今保持している施設・建築物・土地などの

保育施設への用途変更を促すのは有効な手段となると思う。

そのくらいの優遇措置は、条例でも対処できるだろう。

その財源確保を支援する国からの補助金により、

すぐにでも対応できる手段だと思うがどうか?

予算が潤沢な東京都なら、国の補助金をあてにする必要はないだろうが、

他の大都市・過密都市を抱える府県には必要な対策だと思う。



そうした用地確保の工夫と共に、

以前の日記でも述べたとおり、保母さんなどの人員確保も含め、

国の本気の取り組みが、今後の乳幼児行政の成否を制することとなるだろう。

しいては安倍内閣の看板政策である

『一億総活躍』を推進することになるのではないだろうか?



あの説明会の報道以降、

どう進展したのか外野ながら心配になってきたオヤジが一句。






案出して  お金を出して  仕事して(頂戴、役人さん)






お粗末。