東京証券取引所に上場する企業の2016年3月期決算は
営業利益が過去最高を更新する見込みです。
これに伴って企業の内部留保も過去最高を更新する可能性が高まっていますが、
企業で働く従業員の実質賃金はなかなか上昇しません。
利益が出ているにもかかわらず企業はなぜ賃金を上げようとしないのでしょうか。
日本企業が賃金を上げない理由とは?
日本企業が賃金を上げない理由の一つは、
賃金よりも株主への配当を強化しているからです。
日本では会社は従業員のものという意識が強く、
これまで株主に対する配当は低く制限されてきました。
しかし、安倍政権はコーポレートガバナンス改革を掲げ、
企業の配当増額を強く促す政策に転換しました。
安倍政権が配当強化に乗り出した理由は、
このままでは日本の公的年金の運営が苦しくなってしまうからです。
日本の公的年金は世界最大級の機関投資家であり、
上場企業の株式を大量に保有しています。
公的年金は年金の支払額が保険料の徴収額を上回る状況が続いており、
このままでは積立金が30年から40年で枯渇してしまいます。
企業からの配当を強化しないと、
年金を維持することが難しくなっているわけです。
配当を増額するためには、企業は当期利益を増やす必要がありますから、
できるだけ人件費を抑制しようとします。
日本の雇用制度も賃金を抑制する方向に働きます。
日本では、正社員の場合、終身雇用が基本となっており、
原則として解雇することができません。
一般的に企業が新規事業に乗り出す場合には、
新規事業に合ったスキルの従業員を採用し、
それに合わない社員は解雇することで全体の人数を調整します。
しかし日本の場合にはそれはできませんから、
人を採用するたびに余剰人員が増えてしまいます。
企業が人件費として支出できる金額には限りがありますから、
1人あたりの賃金はどうしても安くなります。
これに加えて、企業は正社員の待遇を維持するため、
非正規社員の給料をさらに低く抑えてしまいがちです。
このため、日本全体としては、賃金が上がらない状況が続いています。
賃金が上昇するための条件とは
マクロ経済的な環境もこれを後押ししています。
日本経済は過去20年間横ばいが続いていますが、
同じ期間、諸外国は経済規模を1.5倍から2倍に拡大させました。
つまり、日本は年々貧しくなっており、
日本人が買えるモノの量は3分の2から半分に減ってしまったのです。
このところの企業業績の拡大は、絶対値として富が増えたのではなく、
円安で見かけ上の売上高と利益が増えたに過ぎません。
日本企業が生み出す実質的な富はむしろ減っているわけですから、
企業はなかなか賃上げを実施しようとはしません。
日本企業が抜本的な体質改善を実施し、
グローバルな競争社会で稼ぐ体制に変われば、
賃金も上昇する可能性があります。
しかし今の日本社会はグローバルな競争社会に否定的であり、
当分、この傾向が続く可能性が高いと考えられます。
日本社会が正社員の雇用を最優先している限り、
基本的に賃金は上昇しないとみた方がよいでしょう。
一部からは強制的に賃上げを実施すればよいとの意見も出ているようです。
しかし、基礎的な経済状況が変わらない中で賃金だけを上げても、
最終的には物価の上昇に吸収され、
実質ベースでは横ばいになる可能性が高いと思われます。
-THE PAGE 2016.06.16 07:00 -
企業側の詭弁を使った言い訳で
実に滑稽だ。
どうやったらこんな稚拙な詭弁を使えるのか?
思わず鼻で笑ってしまった。
批判の順番が逆からになってしまうが、
「日本社会が正社員の雇用を最優先している」というが、
それは1990年代半ばまでの話である。
派遣法改正以降、正社員の採用は劇的に減り、
派遣・アルバイトなど、非正規社員への転換が進んでいるのは周知の事実。
正社員から非正規社員への転換を図った結果、
景気如何でいつでも人員整理を行うことを可能にした。
その結果人件費は浮き、企業内留保を蓄積・推進することができたではないか。
しかしそれが一人当たりの実質労働賃金減少を招き、
結果として
「日本人が買えるモノの量は3分の2から半分に減ってしまった」
のではなかったか?
「今の日本社会はグローバルな競争社会に否定的」と云うが
一体何処が否定的なのか?
貿易立国日本と云うが、生産拠点をより安い人件費の海外に移転し
空洞化を招いているのが現状だろう。
そして内部留保のそもそもの根本原因である
「安倍政権はコーポレートガバナンス改革を掲げ、
企業の配当増額を強く促す政策に転換」
とあるが、それは年金原資確保を狙った安倍内閣の思惑と、
それを錦の御旗として利用し、
株式の増資のし易い環境整備と株高操作が企業側の動機で、
それが無ければ、いくら安倍内閣が旗振りをしても応じなかったろう。
株式増資、株高操作、内部留保と云う貯金。
それらのような企業側にうま味があるから
積極的に協力したとは云えないか?
安倍内閣も年金原資の枯渇を防ぐため、
株式投資の利潤増加を図り、公的年金の運営に役立てると云うが、
資金運営の失敗による巨額の損失には触れていない。
本来無知で無責任な政治屋さんたちに
年金の運営を株式投資に頼っていること自体、
自殺行為なのだ。
1980年代以降、
「三公社五現業」と云われた日本の国営企業体はどんどん解体され、
国の運営は税金のみの収入に頼る構造になってしまったが、
その国営企業解体の原因は、各々の経営能力の欠如からくる累積赤字。
民営化や、事業分野の自由化などせず、
外部からの経営コンサルタントの招聘などの対策を施せば
それぞれの企業体の経営能力を組織の見直し、
収益の上がる体質に改善できたはず。
小泉・竹中が推進し民営化した郵政のような企業体は、
元々国営なのに企業的経営を明治時代から採用していた。
その収益は国の特別会計に計上され、
実質的に国の収入になっていた。
つまり旧郵政省は、税金で食べていたのではなく、
全て切手で食べていたのであって、
そこに税金は一切使われていなかったのだ。
民営化された今でもその構図は変わらない。
そんな形態の国営企業体を再度復活させ、いくつも増やし
収益の上がる組織として鍛え上げれば、
素人の博打のような株式投資で火傷を負う必要はない。
年金投資の失策が、配当率のかさ上げを誘発し、
それが企業内留保を招き、人件費の抑制へとの流れが正当化され、
日本全体が貧しくなる。
安倍内閣がいくら「一億総活躍」を叫んでも、
労働者の実質賃金を1990年代の水準まで
大幅に引き上げない限り、日本経済の
貧困への負の連鎖への道からの脱却は不可能なのだと思う。
そのためにも、企業内留保を直ちに解消させ、
国民の実質所得の上昇へと誘導しない限り、
この国に未来はない。
企業に対する減税に減税を重ねる今の経済政策。
そんな安倍さんのやっている企業優遇政策は本末転倒であり、
根本から誤っていると指摘するオヤジが一句。
留保する 不支持決断 明日まで
お粗末。
営業利益が過去最高を更新する見込みです。
これに伴って企業の内部留保も過去最高を更新する可能性が高まっていますが、
企業で働く従業員の実質賃金はなかなか上昇しません。
利益が出ているにもかかわらず企業はなぜ賃金を上げようとしないのでしょうか。
日本企業が賃金を上げない理由とは?
日本企業が賃金を上げない理由の一つは、
賃金よりも株主への配当を強化しているからです。
日本では会社は従業員のものという意識が強く、
これまで株主に対する配当は低く制限されてきました。
しかし、安倍政権はコーポレートガバナンス改革を掲げ、
企業の配当増額を強く促す政策に転換しました。
安倍政権が配当強化に乗り出した理由は、
このままでは日本の公的年金の運営が苦しくなってしまうからです。
日本の公的年金は世界最大級の機関投資家であり、
上場企業の株式を大量に保有しています。
公的年金は年金の支払額が保険料の徴収額を上回る状況が続いており、
このままでは積立金が30年から40年で枯渇してしまいます。
企業からの配当を強化しないと、
年金を維持することが難しくなっているわけです。
配当を増額するためには、企業は当期利益を増やす必要がありますから、
できるだけ人件費を抑制しようとします。
日本の雇用制度も賃金を抑制する方向に働きます。
日本では、正社員の場合、終身雇用が基本となっており、
原則として解雇することができません。
一般的に企業が新規事業に乗り出す場合には、
新規事業に合ったスキルの従業員を採用し、
それに合わない社員は解雇することで全体の人数を調整します。
しかし日本の場合にはそれはできませんから、
人を採用するたびに余剰人員が増えてしまいます。
企業が人件費として支出できる金額には限りがありますから、
1人あたりの賃金はどうしても安くなります。
これに加えて、企業は正社員の待遇を維持するため、
非正規社員の給料をさらに低く抑えてしまいがちです。
このため、日本全体としては、賃金が上がらない状況が続いています。
賃金が上昇するための条件とは
マクロ経済的な環境もこれを後押ししています。
日本経済は過去20年間横ばいが続いていますが、
同じ期間、諸外国は経済規模を1.5倍から2倍に拡大させました。
つまり、日本は年々貧しくなっており、
日本人が買えるモノの量は3分の2から半分に減ってしまったのです。
このところの企業業績の拡大は、絶対値として富が増えたのではなく、
円安で見かけ上の売上高と利益が増えたに過ぎません。
日本企業が生み出す実質的な富はむしろ減っているわけですから、
企業はなかなか賃上げを実施しようとはしません。
日本企業が抜本的な体質改善を実施し、
グローバルな競争社会で稼ぐ体制に変われば、
賃金も上昇する可能性があります。
しかし今の日本社会はグローバルな競争社会に否定的であり、
当分、この傾向が続く可能性が高いと考えられます。
日本社会が正社員の雇用を最優先している限り、
基本的に賃金は上昇しないとみた方がよいでしょう。
一部からは強制的に賃上げを実施すればよいとの意見も出ているようです。
しかし、基礎的な経済状況が変わらない中で賃金だけを上げても、
最終的には物価の上昇に吸収され、
実質ベースでは横ばいになる可能性が高いと思われます。
-THE PAGE 2016.06.16 07:00 -
企業側の詭弁を使った言い訳で
実に滑稽だ。
どうやったらこんな稚拙な詭弁を使えるのか?
思わず鼻で笑ってしまった。
批判の順番が逆からになってしまうが、
「日本社会が正社員の雇用を最優先している」というが、
それは1990年代半ばまでの話である。
派遣法改正以降、正社員の採用は劇的に減り、
派遣・アルバイトなど、非正規社員への転換が進んでいるのは周知の事実。
正社員から非正規社員への転換を図った結果、
景気如何でいつでも人員整理を行うことを可能にした。
その結果人件費は浮き、企業内留保を蓄積・推進することができたではないか。
しかしそれが一人当たりの実質労働賃金減少を招き、
結果として
「日本人が買えるモノの量は3分の2から半分に減ってしまった」
のではなかったか?
「今の日本社会はグローバルな競争社会に否定的」と云うが
一体何処が否定的なのか?
貿易立国日本と云うが、生産拠点をより安い人件費の海外に移転し
空洞化を招いているのが現状だろう。
そして内部留保のそもそもの根本原因である
「安倍政権はコーポレートガバナンス改革を掲げ、
企業の配当増額を強く促す政策に転換」
とあるが、それは年金原資確保を狙った安倍内閣の思惑と、
それを錦の御旗として利用し、
株式の増資のし易い環境整備と株高操作が企業側の動機で、
それが無ければ、いくら安倍内閣が旗振りをしても応じなかったろう。
株式増資、株高操作、内部留保と云う貯金。
それらのような企業側にうま味があるから
積極的に協力したとは云えないか?
安倍内閣も年金原資の枯渇を防ぐため、
株式投資の利潤増加を図り、公的年金の運営に役立てると云うが、
資金運営の失敗による巨額の損失には触れていない。
本来無知で無責任な政治屋さんたちに
年金の運営を株式投資に頼っていること自体、
自殺行為なのだ。
1980年代以降、
「三公社五現業」と云われた日本の国営企業体はどんどん解体され、
国の運営は税金のみの収入に頼る構造になってしまったが、
その国営企業解体の原因は、各々の経営能力の欠如からくる累積赤字。
民営化や、事業分野の自由化などせず、
外部からの経営コンサルタントの招聘などの対策を施せば
それぞれの企業体の経営能力を組織の見直し、
収益の上がる体質に改善できたはず。
小泉・竹中が推進し民営化した郵政のような企業体は、
元々国営なのに企業的経営を明治時代から採用していた。
その収益は国の特別会計に計上され、
実質的に国の収入になっていた。
つまり旧郵政省は、税金で食べていたのではなく、
全て切手で食べていたのであって、
そこに税金は一切使われていなかったのだ。
民営化された今でもその構図は変わらない。
そんな形態の国営企業体を再度復活させ、いくつも増やし
収益の上がる組織として鍛え上げれば、
素人の博打のような株式投資で火傷を負う必要はない。
年金投資の失策が、配当率のかさ上げを誘発し、
それが企業内留保を招き、人件費の抑制へとの流れが正当化され、
日本全体が貧しくなる。
安倍内閣がいくら「一億総活躍」を叫んでも、
労働者の実質賃金を1990年代の水準まで
大幅に引き上げない限り、日本経済の
貧困への負の連鎖への道からの脱却は不可能なのだと思う。
そのためにも、企業内留保を直ちに解消させ、
国民の実質所得の上昇へと誘導しない限り、
この国に未来はない。
企業に対する減税に減税を重ねる今の経済政策。
そんな安倍さんのやっている企業優遇政策は本末転倒であり、
根本から誤っていると指摘するオヤジが一句。
留保する 不支持決断 明日まで
お粗末。