摺漆は木地に漆を摺りこみ、
最小限の漆の塗装膜で仕上げる技法。
木地の木目を活かすことができる。
木目を美しく見せる反面、塗膜が薄いため、
どうしても弱い部分もある。
それは椀の底の部分。
底以外の部分は故障がほとんどなく、
薄く成形される口を付ける「吸口・天縁」や、
面積の広い側面はいたって丈夫のようだ。
人が体で触れる部分は、意識して丁寧になるが、
底がテーブルとこすれることはあまり意識されないようで、
ここが真っ先に摩耗する。
写真は三年ほど使った摺漆椀。こすれて漆が摩耗し、
木地がでてしまっている。
こうなると、使用をやめて、再度塗りなおすしかない。
新しく製作中の内塗椀は、この底の部分を多く塗り、
強化しています。