2010年9月21日(火)
秋が始まったはずなのに、まだまだ暑い・・。
今年は、雷ちゃんが7月の夏休み入りに来たけれど、えっちゃんは、受験生、
忙しくて来られなかった。
孫たちが大きくなるのは、早いねえ。
三年前のえっちゃんたちの様子です・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「夏の質問」
夏休みに孫のえっちゃんと雷ちゃんが泊りがけで遊びに来たので、夕方、二人を近所の児童公園へ
連れて行った。しばらくすると、ブランコを漕いでいた雷ちゃんがブランコの支柱の根元近くの地面を
じっと見詰めだした。えっちゃんと一緒に覗きこむと、そこにはカブトムシの死骸が転がっていた。
寸足らずと感じたのは上半身しかないからで、もうアリがたかっている。なにも、そんなもの見なくても
と思ったとき、えっちゃんが聞いてきた。
「ねえ、おばあちゃん、人間はどうして共食いしないの」
このカブトムシは鳥かなにかの犠牲になったのではないかと思うが、えっちゃんには共食いと見えたのだろう。
〈小学三年生になると難しいこと考えるんだねえ〉
と、成長を感じるが、
〈どうしてって言われても、そんな根源的な質問、パパやママにして欲しい〉のが本音だ。
だが、私を見上げるえっちゃんの期待にも応えてやりたく、
「人間はまずいから、食べるとお腹を壊すんだよ」
と、とっさに答えてしまった。考えただけで胃がむかつきそうとの私の実感だが、
「ふうん」
と、素直に頷くえっちゃんを見ると、しまったと思う。このまま息子夫婦の耳に入ったら、
「いいかげんなこと教えて、教育上良くない」
と言われるかもしれない。それにしても、子供の感性はあなどれない。夏の午後突然に、
「人は人を食べてはいけない」
という人類のタブーの訳を教える立場にたたされてしまった。そんなことなど考えもせずにこの歳まで
平凡に生きてきたつけで、そういえばどうしてなんだろうと、立ち往生だ。
えっちゃんも雷ちゃんの脇にしゃがんで熱心にカブトムシを眺めだした。そんな二人を見守りながら、
こんな答えで納得させて良いのか、なんとかちゃんと教えてあげなくてはと焦る。
〈人食い人種なんてむかしむかしのどこか遠くの未開の地の冒険物語の人々。悲惨な戦場で……とか、
飛行機の不時着で……とか、たまに耳にしても、それはギリギリの極限状態での話。やはり、別世界の話で
私の身近なこととしては想像したくもない。えっちゃんだって、人間はしないと思っている。
「共食い」なんて言葉を聞くだけで、おぞましさに胸がどきどきする。私の中では、しっかりタブーとなって
いるけれど、そうねえ……、もし、人間が共食いをするとすると、真っ先に狙われるのは、この子達のような
柔らかそうな子供や赤ちゃん。今は力が弱いけれど未来のある子たちだ。子供たちがみんな居なくなってしまう。
そんなこと絶対にダメだ〉
「えっちゃん、あのね、共食いなんてすると、人類は滅亡するんだよ」
私としては、さっきよりずっと深い答えのつもりだったが、えっちゃんは立ち上がりながら、さっきと同じように
「ふうん」と、笑顔で頷いただけだった。
そろそろカブトムシから離したい。私は、
「おうちに帰ろう」
と、まだ見ていたそうな雷ちゃんの手をとって歩き出した。すると、雷ちゃんが、
「カブトムシさんは、カブトムシのお医者さんに治して貰うんだよね」
と、聞く。そんなことを考えていたのか。私は、
「そうよ、カブトムシさんは天国でカブトムシのお医者さんに治して貰うのよ」
と、そういう話ならと自信を持って答えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それにしても、3人目の孫になるく~ちゃん、早く出ておいで・・・。(^^)
秋が始まったはずなのに、まだまだ暑い・・。
今年は、雷ちゃんが7月の夏休み入りに来たけれど、えっちゃんは、受験生、
忙しくて来られなかった。
孫たちが大きくなるのは、早いねえ。
三年前のえっちゃんたちの様子です・・。
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「夏の質問」
夏休みに孫のえっちゃんと雷ちゃんが泊りがけで遊びに来たので、夕方、二人を近所の児童公園へ
連れて行った。しばらくすると、ブランコを漕いでいた雷ちゃんがブランコの支柱の根元近くの地面を
じっと見詰めだした。えっちゃんと一緒に覗きこむと、そこにはカブトムシの死骸が転がっていた。
寸足らずと感じたのは上半身しかないからで、もうアリがたかっている。なにも、そんなもの見なくても
と思ったとき、えっちゃんが聞いてきた。
「ねえ、おばあちゃん、人間はどうして共食いしないの」
このカブトムシは鳥かなにかの犠牲になったのではないかと思うが、えっちゃんには共食いと見えたのだろう。
〈小学三年生になると難しいこと考えるんだねえ〉
と、成長を感じるが、
〈どうしてって言われても、そんな根源的な質問、パパやママにして欲しい〉のが本音だ。
だが、私を見上げるえっちゃんの期待にも応えてやりたく、
「人間はまずいから、食べるとお腹を壊すんだよ」
と、とっさに答えてしまった。考えただけで胃がむかつきそうとの私の実感だが、
「ふうん」
と、素直に頷くえっちゃんを見ると、しまったと思う。このまま息子夫婦の耳に入ったら、
「いいかげんなこと教えて、教育上良くない」
と言われるかもしれない。それにしても、子供の感性はあなどれない。夏の午後突然に、
「人は人を食べてはいけない」
という人類のタブーの訳を教える立場にたたされてしまった。そんなことなど考えもせずにこの歳まで
平凡に生きてきたつけで、そういえばどうしてなんだろうと、立ち往生だ。
えっちゃんも雷ちゃんの脇にしゃがんで熱心にカブトムシを眺めだした。そんな二人を見守りながら、
こんな答えで納得させて良いのか、なんとかちゃんと教えてあげなくてはと焦る。
〈人食い人種なんてむかしむかしのどこか遠くの未開の地の冒険物語の人々。悲惨な戦場で……とか、
飛行機の不時着で……とか、たまに耳にしても、それはギリギリの極限状態での話。やはり、別世界の話で
私の身近なこととしては想像したくもない。えっちゃんだって、人間はしないと思っている。
「共食い」なんて言葉を聞くだけで、おぞましさに胸がどきどきする。私の中では、しっかりタブーとなって
いるけれど、そうねえ……、もし、人間が共食いをするとすると、真っ先に狙われるのは、この子達のような
柔らかそうな子供や赤ちゃん。今は力が弱いけれど未来のある子たちだ。子供たちがみんな居なくなってしまう。
そんなこと絶対にダメだ〉
「えっちゃん、あのね、共食いなんてすると、人類は滅亡するんだよ」
私としては、さっきよりずっと深い答えのつもりだったが、えっちゃんは立ち上がりながら、さっきと同じように
「ふうん」と、笑顔で頷いただけだった。
そろそろカブトムシから離したい。私は、
「おうちに帰ろう」
と、まだ見ていたそうな雷ちゃんの手をとって歩き出した。すると、雷ちゃんが、
「カブトムシさんは、カブトムシのお医者さんに治して貰うんだよね」
と、聞く。そんなことを考えていたのか。私は、
「そうよ、カブトムシさんは天国でカブトムシのお医者さんに治して貰うのよ」
と、そういう話ならと自信を持って答えた。
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それにしても、3人目の孫になるく~ちゃん、早く出ておいで・・・。(^^)