ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「花の名前」

2011-05-04 | エッセイ
2011年5月4日(水)

月曜日に行ったドイツ村で買ってきたデイジーとマリーゴールドを花壇に植えて、
花壇がちょっと華やかになった・・・。(^^)

初夏・・そろそろベニハナトキワマンサクも咲きだしたかな?
そこで、数年前に、ベニハナトキワマンサクに出合った頃のエッセイ・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「花の名前」

 車を止めた時、その駐車場の垣根の木に赤紫の花が咲いているのに気づいた。
近寄ってみると、辺りを掃いていた男性が、
「マンサクだよ」
と、教えてくれた。そこで、マンサクって黄色い花だとばかり思っていたけれど、
違ったのかと納得してしまった。
だが、友人と話をした折に、
「マンサクが赤紫に咲いていてね」
 と語ると、庭に花をいっぱい植えている友人は即座に、
「違うわよ。マンサクは黄色。それに早春の花よ。今は初夏だから、季節も違うし」
 と、手を横に振りながら断言した。
「そういえばそうよね。きっと、隣の木と間違えて教えてくれたのね」
 と、私は慌てて話を引っ込めた。
 別に私は、人様の言葉をすぐに聞き入れる謙虚な人柄というわけではない。
実は、花の名前がさっぱり分からないのだ。
頭に浮かぶのは、桜、チューリップ、バラ、ひまわり、コスモス、朝顔、菊等々、
これくらいは分かると言う方が恥ずかしいほどのメジャーな花ばかり。友人から株で貰った
アガパンサスが咲くと、そんな難しい花の名前を言える自分が嬉しくて、
おしゃべりの最中に「アガパンサス、アガパンサス」と、とりたてて言う。車を運転して
いて、道端の花壇に、ホームセンターで買って玄関前に植えたマリーゴールドを見かけると、
助手席の父に、
「あれ、マリーゴールドよ」
 と、いちいち教える。あまり花の名前を知らない反動で、知っている花については、
ことさら名前をあげたくなるのだ。とはいえ、「無知」を自覚している私は、詳しい人に
「違う」と、言われればすぐになびくというだけのことなのである。
 その場はそれでやり過ごせるとして、花の名前を知らないと言うことは、私を
落ち着かない気持ちにさせることがある。花の名前に詳しい人は、育ちが良く穏やかで
ナチュラルな生き方をしているように思えるのに、自分は、
「私を包む自然界のごく表面を視線が滑っていくだけのうかうかとした人」
なんじゃないかと、密かに畏れている。だから、綺麗な花ねと、私がぼんやりと見ている
傍で、花の名前をしっかり分かって鑑賞している人たちは、名前と実態が一致した
もっとビビッドな世界に居るのではないだろうかと、うらやましい。とはいえ、私の場合、
〈では努力して覚えよう〉とはならない。
ものぐさなのである。
 そういう私であるが、犬の散歩や自治会の防犯パトロールボランティアで町内を
歩きまわる時には、いろいろなお宅の庭で丹精されている『名を知らぬ花々』を
通りすがりに愛でている。それで、犬の散歩で通りかかった町の端にあるお宅の庭に
同じ木が植えてあるのに気付いたのである。赤紫の葉っぱに赤紫の花なので、間違いない。
それでは、あの花は、いったい何の花なのだろう。私は、その家の前を通るたびに
首をひねった。
 花の季節は過ぎ、夏には赤紫に茂っていた葉っぱが、秋になるにつれ、だんだん緑を
帯びてきて、赤紫の色は枝の先に追いやられて行くようになった。防犯パトロールで
花に詳しい女性と同じ班になった日に、丁度くだんのお宅の前を通ったので、私は、
彼女にその木の名前を聞いてみた。彼女は、じっとその木を見上げてから、
「たぶん、ベニマンサクだと思う」
 と、おっとりと答えてくれた。ベニマンサク!それで、謎が解けた。あの男性は、
あながち間違ったことを教えてくれたわけではなかったのだ。
 翌日、私は友人にご注進した。
「以前のあの赤紫のマンサクって花、昨日詳しい人に聞いたら、ベニマンサクって
言うんですって」
「そんな花があるなんて、知らなかったわ」と驚いた様子だった友人だが、二日後に
会うなり言われた。
「あの花、正式には、ベニハナトキワマンサクっていうのよ」
 友人は、植物図鑑を調べ、『ベニマンサク』が無かったので、索引から
『ベニハナトキワマンサク』を探し出したのだ
そうだ。やはり、本物の花好きにはかなわない。
 ベニハナトキワマンサク。私は、その赤紫の葉っぱの木のあるお宅の前を通るたびに、
花の名前一つ分、私の世界が広がったと感じる。これからはもう、私が佇む風景の
どこに潜んでいようとも、ベニハナトキワマンサクを見つけ出せそうに思えてくる。
そして、来年、また赤紫の花が咲いたら、私は嬉しくて、友人との会話の中にその名前を
何度も差し挟まずにはいられないだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数年前・・・ハハがまだ老人保健施設にいて、チチが元気で、ポチも元気だった頃・・。
ポチ散歩がなくなって、ベニハナトキワマンサクが咲いているお宅の前を通ることがなくなったなあ・・・。

夜、ジナンがやってきた。(^^)
茨城とか会津とか新潟、長野をまわってきたそうだ。
お土産は、日本酒「久保田 紅寿」。
紅寿って、このへんでは見ないけれど、千寿と万寿の間くらいのグレードだそうだ。
名前が良いよね。
久しぶりの日本酒を頂きながら、ジナンの話を聞いたけれど、茨城も海側は津波に
ひどくやられているそうだ。橋の手前までは、津波にやられ、橋の向こうは、
火災で焼け野原・・・とか。
そして、会津の桜は満開だったそうだ。人出は本当に少なかったけれど、と・・・。

今年も花は咲いてくれているのだなあ・・・。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする