ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「ダラ奥」

2016-12-15 | エッセイ
2016年12月15日(木)

今日は、先日の火曜日のエッセイサークルに出したエッセイを・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ダラ奥」
 夏ごろからか、気づくと部屋の中を一ミリほどのコバエが飛ぶことが多くなった。
ネットで遊ぶ私のノートパソコンの画面に寄って来たり、マグカップの縁に止まったり、
食事中のテーブルにまでも来る。とても煩い。ここは、独り暮らしの私だけの空間で、
コバエやゴキブリなどと共存する気は無いのだが、私が、手でバチッと打とうとしても、
素早く逃げられてしまい、悔しい。
 いったい、どこから来るのだろう?私が怪しいとにらんだのは、リビングの隅にある、植木鉢だ。
一軒家の頃は、家の中には、ときどき切り花、庭に、山茶花や紅梅、満天星、百日紅、金木犀といった
四季の花木を植え、母の日に貰った鉢植えのカーネーションも、花が終わったら、庭に下して、
部屋の中に花の鉢を置くことは、あまりなかった。それが、マンションへの引っ越し祝いに、
親戚から、フォーミデブルという白い蘭の一種を頂いた。その後、「金の成る木」という、
緑の葉の厚い木もダンスの友人から頂いた。
「庭の無いマンション暮らしには、緑で潤いを」とのお気持ちで、私も、我が部屋にやって来た
高そうな花や緑の木を受け入れ、家事嫌いでダラダラ暮らしが好きな「ダラ奥」なりに、
お世話は、した。毎日、鉢に水をやり、晴れた日はベランダで日光浴、陽が落ちる前には、
リビングに入れていたが、白い花は、次のシーズンは、もう咲かず、金の成る木の葉も、
ところどころ茶色の皺が出来てきた。栄養が足りないのかもしれない。たまたま、別の友人が、
確か、百日草だったか、お庭の花を鉢ごと下さったことがあり、前の冬、花も終わったしと、
その赤玉土の入った土をフォーミデブルと金の成る木の鉢に入れた。土は捨てるのも面倒だし、
勿体ないし、丁度良いとしか考えていなかったのが、痛恨のミス。その養分のところに、
コバエが湧いたのかもしれない。いや、きっとそうだ。なんということだろう。
 主婦としてなんとかしなくてはと、後手に回ったが、台所で使っていたコバエホイホイを
二つ買ってきて、テーブルの上と植木鉢の側に置いてみた。翌朝、見てみると、どちらにも、
コバエが何匹も捉えられている。植木鉢の側の方が、数が多いので、確証が得られた。
ここから湧いたのだと思うと、もう、虫が許せない。私は、フォーミデブルと金の成る木の根元に、
しゃ~っと殺虫剤を吹き付けてから、鉢をベランダに出した。水を遣ると、コバエが湧いてくる
ような気がして、水も遣らなかった。
 夏の名残りの陽射しの中で、程なく、葉っぱはぐったりしてきた。全体に水が足りないのは
見て取れ、植物とはいえ、生き物をこのまま枯らすのも、後ろめたい。そこで、先週、思い切って、
金の成る木をくれた友人にヘルプ要請をした。
「あの、申し訳ないんだけれど……、お願いがあるの。以前、頂いた金の成る木と、
うちの蘭の土に、コバエが湧いてしまったみたいなの。もう、部屋の中に置くのも無理で・・。
お宅のお庭だったら、少しコバエが付いていても大丈夫かなあと……。あの、そちらで、
お世話して貰えないかしら?」
 せっかく下さった方に、言いにくかったが、彼女は、
「ああ、大丈夫よ。他にも、いろんな鉢植えがあるから」
 と、拘らずに、私のずうずうしい申し出を引き受けてくれ、ほっとした。
 植木鉢を彼女の家に届けると、部屋からは、コバエも姿を消し、やっと、私の部屋の安穏が戻ってきた。
 今日、その友人宅に寄ったら、庭のベランダに、他の鉢と並んで、二つの鉢も日光を浴びていた。友人は、
「フォーミデブル、脇から生えた枝を切ったら、すっきりしたよ」
 と、にこにこと、植木たちのお母さん顔をしていた。私は、鉢の辺りに目を凝らしたけれど、
コバエの姿は見えなかった。良いお家に貰われて、良かったね。
 だが、夜、パソコンの合間に、キッチンに行くと、目の前をふっと小さな黒い影が横切った。
あっ、又?え~、見なかったことにしよう。まあ、逃げていってくれるし、一匹くらいだしと、
横を向いてやり過ごすことにした私は、お世話いらずのネットの世界に戻ることにしたのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
合評会では、Oさんが、
「畑の土を植木鉢に使うと、虫が湧くわよねえ」と。経験者は、落ち着いて批評してくださった。
でも、先生は、
「いやあ、鉢をくれた人に引き取ってもらうなんて・・・!(←あきれ顔・・)
ダラ奥っていうけれど、その行動力は、ダラじゃないですねえ」
ですって。
確かに、おっしゃるとおりです。
鉢を引き取って、また、育てて下さっている某友人さん、ありがとうございます。m(_ _)m

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする