プロ野球・日本ハムのリーグ優勝が決まった2日夜、喜びの輪の中に斎藤佑樹投手(24)の姿があった。オールスター戦直後の7月末に2軍に降格し、9月29日に1軍復帰したばかり。これから続くクライマックスシリーズやその先の日本シリーズで再び輝く姿は見られるのか?
2日、栗山英樹監督の胴上げに加わった斎藤。「この場所にいられることがうれしい」と喜んだ。「ケガをしなかったし、今年は基本的にはいいシーズンでした」と振り返ったうえで、「ただ先発ローテーションを1年間守れなかった。来年の課題」と悔しさもあらわにした。
2年目の今季は波乱に満ちていた。斎藤は西武との開幕戦でエース涌井秀章投手に投げ勝ち、プロ初完投勝利を挙げた。5月4日のオリックス戦までに4勝と勝ち星を重ねたが、その後11戦で1勝6敗と絶不調に。7月29日のオリックス戦で四回途中6失点でKOされ、2軍降格した。
2軍でも厳しかった。9月半ばには、千葉県鎌ケ谷市の2軍球場で行われた社会人・JX-ENEOSとのプロアマ交流戦で先発登板したが、6回4失点で敗戦投手になるなど計5敗を喫した。
不調の原因は何か。元々、斎藤はストライクとボールの出し入れや駆け引きでかわす投球スタイル。走者を出しても粘って失点は免れるのが持ち味だ。ただし、それもある程度のレベルの球の伸び、キレがあってこそ。試合を重ねるごとに、球の質が落ち、四、五回までの中盤に崩れてしまうケースが増えた。斎藤と同じ早大OBで、元中日の解説者、谷沢健一氏は「プロとしての体ができていない。努力して基礎的な身体能力を上げれば、元から持っている大舞台での強さ、投球術があるのだから、また通用する」と指摘する。
2軍暮らしは斎藤にとっては試練だが、自身は「今の結果ではなく、成長するためになることをやる」と前向きに捉えていた。9月25日のイースタン・リーグのDeNA戦では、球を低めに集めて内野ゴロの山を築かせ、7回4安打無失点。会心の内容だった。
リリーフ要員のコマ不足を理由に、1軍昇格が決定。30日のソフトバンク戦で、プロで初めて中継ぎ登板した。3点リードされた八回にマウンドへ。先発時とは違い「コントロールもアバウトに全力で投げた」と力を込めた16球を投じ、1回を無失点で乗り切った。栗山監督は「少しは前に進んでいるかな」。吉井理人投手コーチは「何で2軍で打たれていたのかな、という球を放っていた」と評価した。
吉井投手コーチはさらに「(今後は)中継ぎの経験が少ないので先発で勝負してほしい」と話している。大舞台に強い斎藤の活躍をファンは期待している。
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