http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201512/20151202_35004.html より転載しました
<戦後70年>731部隊の証言集め20年
盛岡市鉈屋町の高橋龍児さん(63)が、旧日本軍「731部隊」(関東軍防疫給水部)の元隊員の証言を集め続けている。活動を始めて20年余り。これまで本の出版や資料展の開催に取り組んできた。戦後70年の節目に「加害者側の責任は真実を語ること。1人でも多くの元隊員に会いたい」との思いを強くしている。
高橋さんは1994年に盛岡市であった「七三一部隊展いわて」の実行委員会に参加。県内の元隊員11人と出会った。95年に証言をまとめた「731部隊の真実」を出版した。
元隊員の高齢化が進み、証言してくれた人のほとんどが亡くなった。部隊の少年隊員だった花巻市の元隊員もその一人。50回以上、当時の様子を聴いた。
墓から遺体を持ち出して解剖したこと、毒ガス実験に立ち会ったことなどを打ち明けてくれた。戦時中に書いた手記8冊を遺品として受け取った。高橋さんは「弱音は決して吐かない人だったが、罪の負い目を感じながら亡くなったのでは」と振り返る。
戦後70年がたち、戦争の記憶の風化が進むことに危機感を抱く。新たな証言を加えた本の出版や731部隊をテーマにした映画の上映会を企画している。
高橋さんによると、県内には60人以上の元隊員がいる。「さまざまな主張があるが、731部隊は負の歴史。若い世代に知ってもらうためにも、自分の体力が続くまで元隊員を探したい」と決意を語る。
731部隊は旧日本軍が細菌兵器を開発、実用化する目的で1936年に創設した。中国東北部ハルビン郊外に研究施設を置き、細菌兵器や毒ガスなどの研究をした。中国人らの捕虜に人体実験をしたとされる。
2015年12月02日水曜日