坂東英二は、1940年4月5日生まれ。
中国の満州出身だ。
(正確には、吉林省の図們市で生まれ)
日本へ引き揚げてきたのは、5歳前後だろう。
(引き揚げ後は、徳島県で過ごした)
こういう人間が、どのような精神状態になるか?
それは「デラシネ」だ。
デラシネとは、「根無し草」というフランス語だ。
ヒット大地、坂東は、ずばり、
デラシネ症候群だと思う。
デラシネ症候群は、ヒット大地の考え出した
精神病であるが、坂東の場合、とても当たっていると思っている。
つまり「幼児期に故郷を追われた」というデラシネの体験は、
どんなに成功しても、自分をある心理に、追い詰めるわけだ。
その心理とは・・・
「いつか、自分は、ひどい目に遭うんじゃないだろうか?」
という無意識的な恐れだな。
その結果、どんなに成功しても、
「俺は今、何か、しないといけない。でないと、いつかひどい目に遭う」
・・・と、自分を追い立てるんだ。
坂東は、高校野球で大活躍。
その後、中日に入団したが、
その契約金で、牛乳販売店を買収したという。
その後も、現役時代から、
次から次へと、副業をたくさんやっていたそうだ。
でも大抵は失敗だったとか・・・。
バブルのときも株投資で大失敗。
一時は17億くらいの借金があったとも、言われている。
でも、10年がかりで返済したらしい。
バブルのときは、「何かせずに入られなかった」んだろうな。
わかる、わかる。
坂東の人生、その繰り返しだ。
失敗、成功、成功、失敗・・・・
そう、実は、坂東の場合、失敗することにも意味はあるんだよ!
どういうことかって?
こうだ・・・
彼は、「失敗」することによって、
「満州を追われた」・・・というデラシネの過去の追体験をしているんだ。
そうやって、自分の過去の傷を、癒そうとしているんだ!
考えてみれば、悲しいもんよのぉ!
坂東の今回の脱税事件だって、
「いかに儲かっても、そのうちダメになる」
という恐れが、心のどこかにあったからなんだろうな。
そう考えると、罪は罪だが、ある意味で、かわいそうだよな。
デラシネの良くない例としては、いろいろある。
たとえば、満州出身の脚本家のジェームス三木だ。
彼は、女性たちとセックスをしまくった。
実にあきれた話だが、デラシネ症候群と考えると、
ある程度は理解できるじゃないか。
しかしデラシネは、悪いことばかりではない。
いい方向にも働く。
その証拠に、満州出身者は、戦後日本で大活躍しているじゃないか!
だろ?
また、心に一本筋が通っている満州出身者も多い。
例を上げよう!
たとえば・・・
作詞家のなかにし礼は、ただの流行歌の作詞家ではない。
クラシック音楽にも造詣が深いし、
いい小説も書く。
政治評論もする。
いい男だ!
漫画家のちばてつやも、恐怖の男・梶原一騎と対立しても、
自分を通し、『あしたのジョー』を描き上げた。
ヒット大地の大好きな漫画家だ。
漫画家の赤塚不二夫は、ナンセンスを、自分の人生で貫き通し、
辞世の言葉は、「あ、オッパイだ!」であった。
でも、彼の漫画は実に面白かった!
歌手の加藤登紀子は、
東大出身の流行歌手という難しい地位を維持し、
「ほろよいコンサート」を発案し、実行に移し、
受刑中の夫、藤本敏夫と、獄中結婚した。
日本テレビの矢追純一は、
UFOを追いつづけた。
小説家の安部公房も、
『砂の女』『他人の顔』『箱男』など、
シュールな小説を書き続け、
女優の山口果林を、深く愛した。
(ついで言えば、車のチェーンの簡単装着法を考え出した)
女優の有馬稲子は、朝鮮からの引き揚げだが、
普通の女性では耐えられない体験を、
いくつも、経験しながら、それを見事に克服している。
精神的には、実にタフな女性だ。
感心するぜ!
・・・・このように見ていくと、
デラシネ症候群には、プラス面は、多々あるよな。
坂東の場合は、以前にも書いたが、
堅実に生きていれば、性格は明るく、働き者なんで、
いい人生が待っているはずだぜ!
ヒット大地は確信する!
坂東はまた、たくましく、カムバックするだろう!・・・って。
そう!横綱大鵬のように!
そう!大鵬もまた、デラシネ症候群なのだろうな。
横綱大鵬は樺太出身で、脳梗塞から立ち直った!
そして国民栄誉賞を受賞した!
ヒット大地、デラシネ症候群が、
今後の坂東の人生に、
プラスとして、作用することを祈っているぞ!