芸能界に関する書物は、数多いが、
その中で、衝撃度が最高なものの一つは、
『虚飾の海』(恒友出版)だろう。
もはやバイブル的な扱いを受けて、
絶版なので、アマゾンでは、古本が5千円とか。
ヒット大地、
これを40才頃に読んだ。
結構、ショックを受けた。
この本、書き出しから、すごい。
芸能界に生きた同性愛者が、
「俺は、これから自殺する!」
と書かれているのだ。
そして芸能人の思い出を、
実名ではないが、
それに近い仮名で、
どんどん出しているわけだ。
この男、星伸具(ほしのぶとも)という本名。
1939年1月、埼玉県川口市生まれ。
地元中学を卒業後、同性愛に憧れ、芸能界と関わりを持つようになる。
林隆志(はやしたかし)の芸名で映画にも7本出演。
そのうち、マネージメント業を始め、芸能界のウラに、精通することになった。
だが、芸能界を追われ、自殺を決意し、書いたのが、『虚飾の海』だ。
『虚飾の海』(恒友出版)は1984年に発表され、大注目を浴び、
彼はその後、雑誌に原稿を執筆するかたわら、
『3時のあなた』などテレビ等にも多数出演。
『虚飾の海』以外の著作には、『ガラスの橋を渡るとき』がある。
衝撃度は、『虚飾の海』以上だ。
この『虚飾の海』にさかんに登場するのが、
サンミュージックの創業者の相澤秀禎だ。
(このたび2013年5月23日、すい臓がんで、亡くなった。
享年83)
(1930年1月20日横須賀生まれ、法大卒。
本名は相澤芳郎(與四郎とも記される))
どうやら、星と相澤は、かつて宿敵のような関係だったらしい。
『虚飾の海』の中での相澤は、どう見ても、悪役だ。
というよりも、相澤への怨念が、
『虚飾の海』の中には、異常に強く見られる。
ヒット大地、サンミュージックのさまざまな不幸を思うとき、
いつも星伸具を思い出す。
岡田有希子(自殺)、溝口伸郎(自殺)、桜田淳子(統一教会・霊感商法)、
酒井法子(覚せい剤逮捕・損害賠償肩代わり)、松田聖子(事務所独立)・・・
星伸具の怨念でもあるのか?
でも、同時に、芸能界は「売れたもん勝ち」の世界だ。
売れたら、15秒のCM料が億単位で入る。
売れなければ、ゼロだ。
だから、ある程度、悪どいことは、
普通のマネージメントでも、行われるということだろう。
売れる芸人は、
たいてい「悪の魅力」も持っている。
調べてみると、元ヤンキーなど、過去および普段の素行が悪い者が多い。
押尾学がその典型だが、逆にそういう押尾だからこそ、
ファンも多かったのだろう。
当然、そういうタレントには、
日常生活の礼儀マナーも、厳しく教えないといけないし、
また、悪い素行については、「もみ消し」工作もしないといけない。
「もみ消し」のためには、有力な政治家と親しくなっておいた方がいいし、
ヤクザとの裏取引も必要だろう。
「ヤクザ怖い」なんて言ってたんじゃ、
役者マネージメントはできないぞ。
また芸能界のトップには、ホモも多いので、
彼らに気に入られるためには、
オシリを貸すことも、珍しくないだろう。
少なくとも、チンチン握られて、
驚いていたんじゃ、話にならんよな。
女性タレントは、そういう機会はもっと多いだろう。
なぜなら「男はホモよりも、女好き」の方が、圧倒的に多いからだ。
そういう魑魅魍魎の世界の中で生きるには、
毒ももっていないとダメということだろう。
「きれいなバラにはトゲがある。
きれいなネーチャン、屁が臭い」と言うではないか。
相澤は、整形手術も、積極的に勧めたと東スポに書いてあった。
彼らしいエピソードだな、と俺は思った。
と同時に、実際、彼は少女タレントを自宅に下宿させ、
父親のように、優しく面倒をみていた。
つまり、芸能界のマネージメントで成功するためには、
「悪の面」と同時に、
人間的に、温かい面や優しい面も持っていないとダメなのだろう。
社会ルールも、ある程度、きちんと守らないとダメだ。
相澤は功罪も含めて、そういう両面を持っていたのだろう。
だから、芸能界で、成功できた。
実際、彼は、多くの芸能関係者やタレントにも、慕われた。
今回の葬儀でも、そのことが明らかになった。
つまり彼は、ある人間には嫌われ、また多くの人に好かれたのだろう。
ところで、『虚飾の海』や『ガラスの橋を渡るとき』には、相澤のほかに、
西郷輝彦、平幹二朗、大原麗子、梶光夫、迫水久常、
松島アキラ、深谷隆司、森進一、福岡翼、栗原玲児、
古賀政男、木下恵介、中曽根康弘、
羽賀研二、美川憲一、美輪明宏
・・・など多くの芸能関係者や政治家がずらずらと登場する。
星伸具、今、どうしてるんだろう?
ネット検索しても、ほぼ全く出てこないのが、
逆に不気味だ。
悪い人には、思えないが・・・
指導力と財運がなかっただけなのだろうか?
西郷輝彦の『星のフラメンコ』の中で、
生き続けるということか?
ヒット大地、人生60年生きているが、
ホモだけは、ホモ、いやホボ理解できない。
若い頃、知り合いのオッサンに、
キンタマを握られたことがあった。
だが、やっぱり、いい感じはしなかった。
もしもあのとき、タマ握りを許していたら、
場所が場所だけに、
もっと金と縁のある人生だったのかもしれない。
最後に、相澤のご冥福を祈りたい。
また星と相澤が、死後でもいいから、
理解し合える関係になって欲しいと、
俺は、心より、望んでいる。
無理かな?
でも、この際、目を瞑って、握手してほしい!