TBSのドラマ「半沢直樹」は、
歴史上に残る視聴率だった。
こういうドラマが視聴率を取るのは、
日本社会にとっていいことだ。
テレ朝の「相棒」と言い、
「科捜研の女」と言い、
日本人の知的水準が上がったということだ。
「水戸黄門」「桃太郎侍」「ありがとう」
・・・など、過去の高視聴率ドラマが、
なんとも、バカらしく思える。
「水戸黄門」は、まるっきりウソの史実に基づいたものだ。
ちょっと考えただけでも、「おかしなドラマ」ということがわかる。
あれだけ騒ぎを起こしたら、
隣町に、すぐ知られるはずなのに、平気で旅行している。
「桃太郎侍」はもっとひどい。
桃太郎は、毎週15人殺し、8年間で、5000人殺したのに、
正義の男だ。
しかも、大騒ぎして殺している最中、
取締りの役人(町奉行)が現れることは一度もない。
15人殺したのに、翌日、町奉行の何のお咎めもない。
あまりにバカバカしくて見てられない。
「ありがとう」は、全員が善人で、
少年時代のドラマだったが、
見てられなかった。
そういう時代から、
「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」や「ロングバケーション」や
「ビューティフルライフ」
などの恋愛物や
「金八先生」や「ひとつ屋根の下」や「家なき子」などの愛情物や、
「女王の教室」「家政婦のミタ」「ごくせん」などの
「とんでる不思議な女性たち」シリーズなどを経て、
「半沢直樹」がブレイクした。
ただし「半沢直樹」のようなドラマは、
「白い巨塔」「スチュワーデス物語」「熱中時代」や映画の「マルサの女」などの
内部告発物や職業物として、以前からあった。
「半沢直樹」は銀行が舞台ということだ。
銀行が舞台のものは、
単行本の面白いドキュメンタリーとして、
「横田濱夫」の「はみ出し銀行マンシリーズ」がある。
ヒット大地も、かなり読んだが、
これは、銀行内部の出来事を面白おかしく書いたもので、
実は、本当の銀行自体は、あまり面白くない・・・というのが、定番だった。
(読者の興味があるのは、「女がらみの不正融資)くらいか)
でも「半沢直樹」は、
「倍返し」などのフレーズを駆使して、
結構、面白く仕上がっていた。
ただ、フィクションだから面白いのであって、
現実では、ありえない部分も、
時々見られた。
一番ありえないシーンは、
元統合失調症の「近藤」が、
銀行の金庫の8桁の暗証番号を、
意味もなく、覚えてしまう・・・というところ。
(しかも、「遠くで、他人が打っているもの」だ)
「いくらなんでも、これは、ありえんだろう」
と、ヒット大地は思った。
最後のシーンで、
大和田が、取締役会で、半沢に土下座するのも、
実際の銀行では、絶対にありえん話だよな。
他にも、いろいろある。
たとえば次長の半沢が頭取と、たびたび会うのも、
実際の銀行ではありえんだろう。
同僚の渡真利(及川光博)が、
銀行内の秘密情報を知りすぎっつうの。
これもありえんぜ。
黒崎検査官がオカマ言葉を使いすぎ(笑)。
そんなバカな(ただし面白いから、これは許すが)。
その他、元町工場の社長の竹下(赤井英和)が、
大阪の高級クラブに、
きたない作業着に野球帽で出かけるのも、ありえん(笑)。
妻の花も変だ。
半沢が、
家庭内でいい雰囲気のとき
半沢がいつも花を後ろから抱きしめていた。
前から抱き合うのが、普通だろ?
また半沢には、幼稚園児の男の子供がいるにも関わらず、
登場したのは、1回だけ?
しかも回想シーン。
ハンサムな半沢直樹の父親が、目の細い笑福亭鶴瓶ってのも、
ちょっとね(でも、これも面白いから許す)。
極めつけがある!
小さいネジを、半沢が握り締めて、指から血が出るなんて、
絶対にありえん!(笑)
指の筋肉の弾力性をなめんなよ(笑)。
・・・・ま、上げれば、切がないので
この辺で、止めておくが、
俺が思うに、フィクション度は
50%!
・・・・ま、これがテレビ・ドラマの限界だぜ。
本当の真実は書けないし、
書いたとしてもつまらんだろう。
でもほぼ100%フィクションの水戸黄門よりは
進化しているし、
「ジーパン刑事」などが出てくる「太陽にほえろ」よりはいい。
それにしても、「こち亀」の警官のピンクの制服は口アングリだよな。
でも、その前はもっとひどかったぜ。
「まぼろし探偵」は、オートバイが空を飛んだし、
「少年ジェット」は、「ウーヤーター」で大地震を起こした。
「不思議な少年」は、「時間を止めた」(これが一番すごい!)。
でも、たとえ「半沢直樹」がフィクションだらけでも、
視聴者は、多くのものを学んだと思う。
今回、読者が「半沢直樹」から学んだことを、箇条書きで、上げてみよう。
- 銀行上層部に、心のきれいな人はいない(大和田などの策士やヒラメが多い!)
- 銀行上層部は、本当に才能のある人間を受け入れない(半沢が何度も、落とされている!)
- 女性は恋愛よりも、仕事において、真の自己実現を見る(壇蜜のネイルサロン開業)
- 事件の裏には、借金と女あり(男が事件を起こすとき、たいていは金と女がその動機だ)
・・・などだと思う。
そう。
社会の上層部は、政治を見てもわかるとおり、
「真に実力のある人間を受け入れない」ということだ。
(政治では、たとえば後藤田正晴が実力を兼ね備えていたが、副総理が限界だ。
彼は、総理になるのを、かたくなに拒否した。
真相を知っているからだろう)
そして、たびたび笑っちゃうことがあった。
それは・・・・
「半沢直樹」では、「出向」を、
「片道切符の島流し」=「最大の不幸」と取り扱っていることだ。
考えても見たまえ!
「出向」して数年後、確かに給料は相当減るが、
でも一般の労働者から見ると、
たいていは、管理職であるし、
恵まれていることは確かだ。
だろ?
要は気持ちの持ち様だ。
逆に、「出向」=「片道切符の島流し」は、
一般大衆への侮蔑になっている。
違う?
そういう意味で、最後マニラに出向になった浅野の妻が、
「出向の方が良かった」と発言してたよな。
これ聞いて、俺は思った。
この女が、一番マシな人間かもしれない。
あと、笑っちゃったこと・・・・
転勤と言うと、
いつも「最悪の土地」として、
北海道の根室が出てくることだ。
ドラマの定番だ。
これ、根室の人に失礼だよな。
根室もいいとこだぜ。
どんな番組にも、
「差別」は、つきものってわけだな、ハハハハ。
でも俺は思う。
「半沢」を見たからと言って、
読者の精神レベルは、全然上がらんだろう。
「倍返し」などと言ってるうちは、
しょせん、まだまだ人間として、小物だからだ。
でもよぉ・・・
「半沢直樹」出演の俳優の皆様、ごくろうさま!
楽しかったよ!
とくに片岡愛之助が熱演だった。
彼の顔芸に助演男優賞を上げよう!
パチパチパチ。(笑)