ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【再訂正】「第7高射特科群」を巡る謎・怪を探るー②(20200329)

2020年03月29日 | 米軍/自衛隊
◎ななし様からコメントを戴き、改めて以下の様に訂正します。誠に申し訳ありませんでした。(2020年9月23日ーヤマヒデ)

 宮古島に第7高射特科群が西部方面隊(司令部ー熊本県熊本市)傘下の竹松駐屯地(長崎県大村市)から、その一部がこの3月に移されてきた。
 やや立ち入って経緯を整理しておく。この竹松駐屯地には第346高射中隊と、第327高射中隊、第328高射中隊と第307高射搬送通信中隊があった。定員は510名だったとのことだ。このうち、今回宮古島に来たのは第346高射中隊と第307高射搬送通信中隊の一部、計200名が宮古島に移駐したのだ。第7高射特科群の司令部も宮古島の駐屯地に移転したのだ。
 この第346高射中隊は、2018年3月、基本装備を地対空誘導弾改良ホークから03式中距離地対空誘導弾に更新されていた。これによって、より迅速に、360度のターゲットに対して、同時多目標に発射可能になったのだ。
 高射特科群は、4個の高射中隊と1個の高射搬送通信中隊で構成されている。宮古島の第7高射特科群に、今後石垣島に造られようとしている中隊と、奄美大島に造られた特科中隊(現在は福岡県飯塚市にある第3高射特科群傘下)も今後第7高射特科群に編成替えされるだろう。
 なお陸自の組織として、福岡県飯塚市の飯塚駐屯地にある第2高射特科団の傘下の第3高射特科群は西部方面隊の直轄部隊である。ここが訂正するところだが、第7高射特科群も以前から西部方面隊の直轄部隊であり、第2高射特科団第7高射特科群ということだ。西部方面隊の直轄部隊であるということは、那覇にある第15旅団の傘下でないのだが、西部方面隊という九州・琉球諸島全体をカバーしている部隊であり、「島嶼防衛」と言われているように対中国を見据えた最先端の部隊というだ。 
 
【再整理】ここでは、あらためて陸自の高射特科部隊が如何なる配置にあるのかを確認しておきたい。上記の「高射特科部隊」は高射特科(対空ミサイル)部隊全体を指している。また、「高射特科群」の「群」は規模・まとまりを表わしている。ひとつの「高射特科群」は4個の「高射中隊」からなる。1個の「高射中隊」は4個の「高射小隊」から構成されている。要するにひとつの高射特科群は16個の高射特科小隊からなっており、16台の対空ミサイルを擁する部隊だということだ。
 高射特科群はそもそも各方面隊直轄の部隊だということだった。方面隊傘下の師団(8000名から9000名の規模)や旅団(4000名から5000名の規模)には、一部の例外を除き高射特科連隊・大隊・中隊がある。これらの師団・旅団傘下の高射特科連隊等は師団・旅団の防空が任務である。
方面隊の各高射特科群の装備は、03式中距離地対空誘導弾だ。各師団・旅団の高射特科連隊等は81式短距離地対空誘導弾や11式短距離地対空誘導弾が配備されている。

 改めて以下のように整理する。

◎方面隊傘下の高射特科群
◎北海道-北部方面隊-東千歳駐屯地に、第1高射特科団本部があり、
①東千歳(道央)に第1高射特科群がある。
②名寄(稚内の南側ー道北)に第4高射特科群がある。
 この他に、第2師団(旭川)に第2高射特科大隊があり、
 また、第7師団(日高郡静内)に第7高射特科連隊がある。

◎東北-東北方面隊にあった第5高射特科群は廃止された。 
 第6師団の郡山に第6高射特科大隊がある。
 第9師団の岩手に第9高射特科大隊がある。
 第9師団の八戸に第101高射特科隊がある。

◎首都圏周辺-東部方面隊
③松戸(千葉県)に第2高射特科群がある。一部が朝霞(東京)に、古賀(茨城県)に、下志津(千葉市)にある。

◎近畿・中国・四国-中部方面隊に 
④青野原駐屯地(兵庫県)に第8高射特科群がある。
 この他に、第10師団傘下の愛知県豊川に第10高射特科大隊がある。

◎九州・沖縄-西部方面隊-西部方面総監部傘下の飯塚駐屯地(福岡県飯塚市)に第2高射特科団本部があり、
⑤同地に第3高射特科群がある 
⑥沖縄県宮古島に第7高射特科群(一部)が移設された。
第7高射特科群の一部は長崎県大村にある竹松駐屯地にある。
この他に、第8師団の北熊本に第8高射特科大隊があり、第15旅団の沖縄島八重瀬分屯地に第15高射特科連隊がある。この傘下に白川、勝連、知念、南与座(すべて沖縄島)にそれぞれ高射中隊が置かれている。
 以上見てきたとおり、6個の高射特科群と、師団旅団傘下の部隊が陸自の対空ミサイル部隊として全国に配備されているわけだ。それでは何を守るためなのか?
 例えば松戸にある第2高射特科群は首都防衛だろう。第1師団を守り、官邸や省庁の機能を守るのだろう。北部方面隊の部隊は対露を意識したものだろう。西部方面隊の各部隊は朝鮮半島・中国の動向を睨んでいるのだ。長崎県大村市から宮古島に移された(南進)第7高射特科群は中国との境界線を見据えた部隊であり、「島嶼防衛戦略」の中で「先遣隊」と位置づけられている。真っ先に戦端を開きかねない攻撃的な危うい存在となりかねないのだ。
 


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (名無し)
2020-09-12 21:19:23
高射特科群は18年3月の改編の遥か以前から方面隊直轄・・・。
そもそも野戦防空を担う師団・旅団隷下の高射特科大隊(連隊)とは、当初から運用の目的が違う。(だからホークや中距離地対空誘導弾を装備している。)
返信する
ご指摘の通りでした。 (ヤマヒデ)
2020-09-16 23:26:04
 ご指摘戴きありがとうございました。確かにご指定の通りの構成ですね。コメントの掲載が遅れてしまい、申し訳ありません。
 よって本文についても改めて全面的に書き直します。暫くお待ち下さい。
  
返信する
Unknown (名無し)
2020-10-17 10:23:32
訂正頂き恐れ入ります。あと何点か気になる点が。
・第101高射特科隊(八戸)は引き続き東北方面隊直轄(第5高射特科群より縮小改編・第9師団隷下ではない)
・記載省略されていますが、他のすべての師団・旅団に高射特科大隊(中隊)が配備されている。また即応機動連隊にも高射小隊(93式近距離地対空誘導弾を装備)が配備されている。
・沖縄返還以来、本島に配備されていた第6高射特科群(本土と離れているという地域特性上、唯一方面隊直轄ではなく旧第1混成団隷下だった)がある。装備(ホーク→中距離地対空誘導弾)からも分かる通り、任務は本島の防空。(那覇の空自・高射群は、より広域(高高度)防空が任務)
第1混成団の第15旅団への改編に伴い、高射特科群から高射特科連隊に改編され、旅団隷下部隊に野戦防空が提供できるよう11式短距離地対空誘導弾配備を1個中隊に配備。(残り3個中隊は引き続き中距離地対空誘導弾を装備)
返信する
細部に亘るご指摘に感謝 (ヤマヒデ)
2020-10-27 12:44:36
 「ななし」様 
 改めて細部に亘るご指摘をいただきありがとうございます。まだまだ不勉強であり、至らぬところがあろうかと思います。自分で確認しながらより正確な認識をもつつもりです。
 今後も何かあれば、ご指摘ください。事実に基づくご指摘であれば、当然、訂正します。
返信する
Unknown (山田哲夫)
2021-05-30 02:57:12
始めまして。
流れ流れてこちらにたどり着きました。

>「高射特科群」は4個の「高射中隊」からなる。1個の「高射中隊」は4個の「高射小隊」から構成されている。要するにひとつの高射特科群は16個の高射特科小隊からなっており、16台の対空ミサイルを擁する部隊だということだ


と記述がありますが、こちらのソースはどこからでしょうか?文献などがございましたら、教えていただけないでしょうか。
返信する
ご質問に充分お答えできません (ヤマヒデ)
2021-05-30 12:00:28
ご注目とご質問に感謝。
確かに防衛省が出している各部隊の紹介欄には出てきません。今後、文献を当たり直し、確度の高い情報としていきます。暫くお待ちください。
 ただ第7高射特科群(長崎県竹松駐屯地)の「竹松駐屯地の沿革」(防衛省編)のサイトに2018年3月の改変が出ています。そこに327、328高射中隊が記されており、330、329高射中隊が同年3月に廃止になっています。つまり以前は4個中隊だったことがわかります。これが2018年3月末に327、328と346高射中隊が新編され、この346が第7高射特科群司令部ごと2020年3月に宮古島に移りました。今3個中隊となっていますが、4つめが石垣島に配備される計画なのでしょう。
 また東部方面隊傘下の第2高射特科群は、松戸(千葉県)、朝霞(東京)、古河(茨城)下志津(千葉)の4カ所となっています(防衛省の各部隊紹介欄)。その他、Wikipediaの情報を参考にしており、誤りや不十分な点があるかもしれません。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。