以下書くことは、2021年8月2日の沖縄タイムスに出た記事を元に、私の分析を加える。米日の空挺団が、2021年7月30日グアム島アンダーセン基地でパラシュート降下訓練を行ったという。米空軍MCー130特殊作戦機(機数不明)が横田基地から離陸した、とある。部隊は陸自が第1空挺団(千葉県習志野)などとあり、米陸軍は第1特殊部隊群が参加したとある。
陸自の第1空挺団は、自衛隊唯一の空挺団(パラシュート降下部隊)であるが、「など」とは、特殊作戦群も参加したのだろう。こちらは、所謂特殊部隊であり、敵地潜入、破壊工作、友軍の誘導などを少数でやる部隊。米軍は沖縄の読谷村の第1特殊部隊群(グリーン・ベレー)であり、第500軍事諜報団(読谷村)も参加した可能性が高い。
こうした訓練が行われるのは中国への島嶼奪還作戦が念頭にあるからだ。敵に占拠された空港を取り戻すという過激な特殊部隊的な作戦であり、場所をグアムに移動してやることじたいが軍事機密を保つ意味があるだろう。詳細はあきらかにされていないが、2021年3月16日に行われた日米安全保障協議員会(2+2)での合意があるようだ。
防衛省のHPから共同文書を見ていこう。第1段落で「(前略)米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力による日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを強調した。(中略)日米は、自由で開かれたインド太平洋とルールに基づく国際秩序を推進してゆくことへのコミットメント(合意)を新たにした」。
第2段落は中国への対応。自由の航行作戦や尖閣ばかりか、台湾海峡に言及。中国への飛躍的な関与を表明したことになり、要注意だ。
第3段落は朝鮮半島ー対北への対応。第4段落は豪州などとの多国間安保について。第5段落が本件と大きく関わっている。「一層深刻化する地域の安全保障環境を認識し、閣僚は、日米同盟の役割・任務・能力について協議することによって、安全保障政策を整合させ、すべての領域を横断する防衛協力を深化させ、そして、拡大抑止を強化するための緊密な連携を向上させることにあらためてコミットした。宇宙やサイバーといった領域、及び情報保全をさらに強化していくことの重要性を強調した。さらに、閣僚は、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持し、将来的な課題へ対処するための、実践的な2国間及び多国間の演習及び訓練が必要であるとあらためて表明した」。(第6段落から第8段落まで省略)
だとすると、今回の共同演習も宇宙・サイバー・電子戦対応を含む可能性が高いだろう。こうした作戦は、中国による琉球諸島への攻撃を誘い込み、こうした攻撃への奪還作戦というハードな共同作戦になるだろう。与那国島・石垣島・宮古島等を戦場とするものであり、私は断じて許容できるものではない。演習とは言え、ここまで進展していることに、私たちはもっと大きな反対の声をあげていかなければなるまい。
重要土地規制法が成立していることも併せて、撤回を迫る闘いが問われているのだ。
MC-130特殊作戦機から降下する米国陸軍部隊 2020年1月12日 習志野演習場 陸自対1空挺団降下はじめ式にて山本英夫撮影