2022年5月5日の沖縄タイムスは、5月3日の米軍のMH-60ヘリ(海軍所属)の津堅島沖で海面ギリギリでの訓練を報じていた。事前にはパラシュート降下訓練をやると告知されていたはずだ。
3月末にも私の地元に近い名護湾許田沖でホバリング(空中停止)しているMH-60から下りる、上がる訓練が行われている。そこは訓練空域でも海域でもないはずだ。これほどの低空飛行は明確な航空法違反事案だが、米軍には航空特例法が適用されており、航空法の適用が多数チャラにされている。
この種の訓練は、しばしばゴムボートなどを伴い行われる。敵地潜入・撤収の行動だ。何の機材も使用しない、泳いでもあるだろう。
ただ撮影ポイントから、あれほどの距離があると、なかなか超望遠レンズをもってしても鮮明に写しとることは困難だ。ヘリローターによる上昇気流が海面を吹き上げるからなおさらだ。
関連して先ほど書いた、茨城空港(百里基地)から離陸した民間機が陸上を飛び、横田空域を飛び越えて飛んだ事案に絡めて解説しておこう。
私が意外に思ったのは、茨城空港を南下し、鹿島灘に出、右旋回し埼玉県上空から山梨県上空に入る。右に鳳凰三山、甲斐駒を見た付近は甲府・富士五湖辺り上空だと思われる。左に富士山が見えると機内放送で言っていた。この付近は横田空域で、米軍機優先区域だ。横田基地の管制の許可がなければ飛行できない。場所によって高さ制限を米軍が課している。
茨城方面から飛べば、⑥の区域(埼玉・東京・神奈川の一部)は高さ2438.3m以上、横田区域の⑤は、3657.6m以上、③の山梨県東部(富士山北側)は4876.8m以上でなければ飛べないのだ。茨城空港離陸だからどんどん上昇しており問題ないが、逆に下りる便はどう飛んでいるのだろうか。
私は全然意識しておらず、あれは鳳凰三山だとか甲斐駒だ、御岳だとやっていただけだった。たまには遊び心もいいのだが、油断できないのが日米地位協定であり、実質としての「米日地位協定」だ。
日本法である航空法に「航空交通の管理」が定められており、「国土交通大臣」が主語となっているが、横田ラプコンなどの米軍管理下の空域では米軍が主となって運行を管理しているのだ。首都圏の空も米軍が席巻しているのだと私たちは知っておくべきだろう。
なお、百里基地などの航空自衛隊の飛行も、米軍との協議なくしては飛べないのだろう。私たちは実態をつかんでおきたいものだ。同じように沖縄の空も米軍嘉手納管制を無視できないのだ。
日本国とは、誠におかしな国なのだ。