私は6月9日~12日、東京に出かけ、第47回「視点」(東京都美術館)を見てきた。3年ぶりだった(去年は高知展に伺った)。今年は624名から1272作品の応募があり、255名、265作品が入選・入賞したそうだ。
全体的に言うと、美しい作品・巧い作品が増えており、私には不満が残った。極論を言えば、他の公募写真展との差が不分明になっていないだろうか。「リアリズム」を名乗る以上、撮影者の意図が問われているはずだ。自分はどこに生きており何を感じ・考えているのかをもっと表現したいものだ。
コロナ禍の暮らしが3年となり、コロナ禍を主題にすることにも疲れてきたのだろうか。随分過去に撮ったものが散見された。私が気になったのは、視点賞が「2022年終末時計100秒」(6枚組)だったことだ。イージス艦を焼き込んで、おどろおどろしく描き、「なんだこれー」。実に巧く印象的に描き出している。しかし象徴的すぎて、是がリアリズムなのかと私は疑う。
今日日の問題はいやというほど、各地に転がっているはずだ。私だって、美しくあって欲しいし、人々は幸せであって欲しい。だからこそ、美しくも幸せでもない諸々と対峙していくしかないではないか。何がリアリズムなのか、私は日々考えていきたい。
沖縄に帰ってきたら、日々轟音が鳴り響いている。雷鳴が砲撃音とみまがうこともある。素材がありすぎて、如何にまとめたら良いのか悩ましいのが「復帰50年」の沖縄だ。ということで6月13日からじっくりと撮り、考えていこうと思っている次第。
というのは、去年も今年も、「視点」で基地・軍事・安保問題を撮っている人は、殆どいないのだ。今年で言えば、横田基地近くの学校をまたいで着陸するC-17大型輸送機だけだった。また、あれだけ話題になっている羽田飛行場への住宅街をまたぐ着陸態勢(米軍による横田空域が潜む)を描いた写真もなかった。
安保・軍事問題は全国の問題であり、今正にこの国が米国の手下として軍事侵略可能な国に成り下がってきた現実に、ご注目いただきたい。77年前のように「沖縄戦」(天皇制をまもるための時間稼ぎの戦争)は起きたが、「本土決戦」は起きなかった過去と、今は全く事情が違う。万が一起きたら、基地や原発のあるところ、都市中枢は、あっというまに大破し、消滅するだろう。
暗い現実と向き合うのは辛いが、ここでびびっていたら、私たちに明日はないのだ。軍事産業が儲かる政治・経済と日本国憲法は真逆なはずだったのに。
「ミサイル基地建設が進む森と里」山本英夫
石垣島
2022年02月27日15:52 開南
2021年12月17日11:05 開南
2022年2月27日11:25 嵩田山近くの森で(基地建設現場まで300m) ヤエヤマオオコウモリ
2022年2月27日12:18 嵩田山の尾根
2021年12月17日12:11 開南
2021年12月17日 11:54 開南から見た壊されている森・建設現場