八尾市市民活動支援ネットワークセンター「つどい」(ブログ)

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「和ろうそくは、つなぐ」お話会 【その2】

2023-01-11 17:50:58 | 取材記録(2021~2024年度)

こんにちは。

つどい業務責任者の新福です。

さて、さて、和ろうそくのお話の続きです。

振返り
和ろうそくは、蝋と芯の軸である和紙と灯芯(とうしん)と真綿で出来ています。

前回は、主に蝋のお話とそれに関連して、藍の発酵での蝋カスの利活用と、それに関連してむしろと小鹿田焼(おんたやき)のうわぐすりとつながるお話をしました。
まぁ、つながる・つながるの連続でしたね(*^_^*)

今回は、和紙から出発してお話をまとめます。
 

和紙が和ろうそくの芯の軸になるまでの旅


 和紙の原料は、ミツマタを使用します。
 岡山県美作氏のミツマタ農家さんがいらっしゃいます。
 和紙になるまでの過程は、上の図の通りです。
 釜でミツマタの皮を茹でる際にアクを取るため石灰を入れます。木灰だと色がつくため、石灰を入れます。
 ちなみに、お札にもミツマタが入っているそうです。ミツマタは繊維が細かく短いのが特徴です。
 収穫時にミツマタに傷がつくと、和紙にする際にも傷がのこってしまうそうです。

 さて、大西さんがすごいのは、和紙を漉く際の「簾(す)」はどこから?という疑問を原点に探し求める点です。
 で、見つけられました。その原点。


和紙を漉く「簾」は真竹と絹糸で出来ている
 
 
  お話会の際に投影されていたお写真です。ひごを作っている様子です。
  竹は竹でも真竹(まだけ)を使用し「ひご」にして0.6mmまで細かく裂きます。
  0.6mmに裂く際に、1.5センチ四方の中に25本のひごが入るそうです。
  

 
  ひごを作る時の道具です。0.6mmのひごを作ることが出来る方は、静岡県でお一人だけだそうです。


 

  簾の長さがいる時は、0.6mm同士のひごをつなぐために、先端同士を0.3mmの半分にしてドン付きにして編むそうです。
  すごい技ですね。
  
  簾は100年以上使っても竹は腐らないそうです。ただ編む際に使う絹糸は痛むので、
  簾を編み直すのに100万円程度するそうです。

  漉く紙によっては、ミツマタを原料に箔合紙(はくあいし)という高級和紙として金箔を挟むのに使われます。
  
   
  金箔を扱う様子です。箔合紙で金箔を挟んでいます。ちなみに金4グラムを金箔にすると畳1帖になるそうです。


金箔の話から、仏壇に使われる金箔を接着する漆の話になりましたm(_ _)m
 漆は、木を金属でコーテイングする際に使用される最高級品の接着剤です。金箔でコーテイングした直後に真綿(絹)で拭く事で傷つきません。

 その漆を採取する様子の写真も、お話会で投影されていました。

 
     
 木の元の方から専用の道具で漆の木を削り、血液のように漆の液体を流します。8月が1番採取できる量が多いそうです。
 それでも年間100Kg採取するのが精一杯だそうです。漆の木を削っても採取できるのは耳かき1杯程度だそうです。道のりが長いですね  (;一_一)
 11月には漆の木を切り倒し、また萌芽更新で15年後には、写真のような大きさまで木が成長します。
 漆のシェアについては、現在は国内では5%のみで、95%は中国産です。
 国内の5%ですが、ほとんどが現在、日光東照宮で使われているため、市中に回ることはないそうです。
 
 漆の精製は京都で行われているそうです。毎年採取する漆の品質が粘りや色など異なるため、精製も職人技の様です。
 精製された漆が使われるのは日光東照宮など、何百年も多くの方が訪れる建物等に使用されるため、見られるという意識がとても高いようです。
 そりゃ、そうですね。日本の歴史・文化を支え、日本のイメージにも影響を与えるほどですね。


 
 

  
 漆を塗る刷毛です。塗るというより漆を埋め込む感覚だそうです。なぜなら、長期間50年は持つようにという目的なので、埋め込むという感覚になります。
 塗る刷毛の製造は、埼玉県におひとりだけいらっしゃいます。刷毛は人の髪の毛です。女性が多いそうです、本来は男性の髪の毛の方がよいそうです。
 写真の通り、10年間はほったらかしに蔵で保管されてから、刷毛に使用するそうです。


 
 漆は石ぐらいに硬くなり、硬化させます。特に梅雨時期の湿気がある時が硬化できるようです。
 漆鉋(うるしかんな)、または漆掻き鉋(うるしかきかんな)で、漆の木を削ります。
 この道具も、福島県いわき市に1人しかいらっしゃらず、しかも1年に1本使い切る道具です(すぐ研磨・研がないと使えないのでしょうかね)。
 (包丁の鍛冶屋さんで60才位の方だそうですね)。
 研磨する際の炭、研磨炭というのがあるそうです。これも福井県で1件だけだそうです。

 職人さんもものづくりも、絶滅危惧種ですね。


 結構な文量になりました(/(/ω\) 次回は、灯芯(とうしん)と真綿のお話が出来ればと思います。

 今回も、最後までご覧いただき、ありがとうございました。



「和ろうそくは、つなぐ」お話会【その1】

2023-01-11 14:54:34 | 取材記録(2021~2024年度)

 こんにちは。

 つどい業務責任者の新福(しんぷく)です。

 今回は「八尾の絵の本ひろば広げよ会」主催の「和ろうそくは、つなぐ」お話会にお伺いしました。

 
 「旧 植田家住宅」で開催されました。
 申込制でほぼ満員、盛況に開催がスタートしましたよ。


 
書籍「和ろうそくは、つなぐ」の著者であり、お話会で話される大西暢夫さんです。


 
 さあ、和ろうそくの「長~い旅」のはじまりです 
 和ろうそくのお話が始まり、スクリーンに惹きつけられながら、お話を聴きました。
 和ろうそくの話を聴きながら、様々な世界が広がる2時間があっという間に過ぎ去っていきました。


 和ろうそくの写真です。そして和ろうそくを手造りされている和ろうそく職人の松井さんです。
 (愛知県岡崎市で手造りをされておられます)




 「長~い旅」のはじまりのきっかけ(物が循環する世界) 
 和ろうそくとの出会いは、たまたま大西さんが和ろうそくの取材に行かれたことから始まります。
 和ろうそく職人の松井さんのお話が理解が出来なかった事から、この世界にのめり込まれました。
 出てくる言葉、物自身がわからなかったからです。
 毎月の原稿の締切りで、このシリーズを書き始めながら、物が循環する世界に入って行きます。
 
 取材当時、和ろうそくで使用される蝋(ろう)は、日本で4件しか製造されていませんでした。
 大西さんの足で日本全国に飛び回りました。
 

 
 物が循環する「藍(あい)」の世界・まずはハゼの実から 
 和ろうそくと関係なさそうな写真ですね。藍の発酵の様子の写真です。
 なぜ、和ろうそくの話で、なぜ藍なのか?実はつながっているからです。

 ▼下の図解をご覧くださいね。▼



 

 蝋(ろう)は、ハゼの木にたわわに実ったハゼの実が原料です。
 ハゼの実を蒸し、専用の圧搾機で絞ります。
 この圧搾機も戦前のもので80年以上使われています。
 こちらで使用する圧搾機はすでに2台が使えなくなり、お写真が最期の1台です。
 機械ごと温めないと蝋が流れないですね。冷たいと蝋が固まるさかい、たしかにそうだわ(>_<)
 圧搾機では抽出率が20~25%までしか蠟が取れないようです。
 ここではありませんが、他の方法としては薬品を使用すると90%の抽出率になるそうです・・・

 ハゼの実が収穫される長崎県島原市から東へ進むと、佐賀県鳥栖市のJR鳥栖駅があります。
 この駅には、ハゼの写真が掲載されています。当時はハゼの市があったのか、ハゼの実を扱っていたのでしょうね。

 ちなみに佐賀県鳥栖市には久光製薬の九州本社があります。

 で、で、で、前振り長くなりましたm(_ _)m

 藍を3回目に発酵する際に、蝋を絞ったしぼりカスを甕(かめ)の横にしぼりカスを置いて、しぼりカスに火を点け、くすぶりだします。
 くすぶることで、藍が入った甕(かめ)は熱せられることで、3回目の発酵が出来ます(上の写真が熱せられた甕(かめ)の様子です)。
 まったく無駄にならず、藍の発酵で利活用されているのです。
 
トリビア
 ちなみに、ハゼの木の8割は熊本県水俣市が8割のシェアだそうです。
 1990年に長崎県の雲仙普賢岳が約200年振りに4年3ヶ月続いた大噴火により、5,000本のハゼの木が消失しました。
 雲仙普賢岳の大噴火は、私は小学校4年生でしたが、テレビで取り上げられたのを、よく覚えています。
 ちなみに大阪では、鶴見緑地で「花と緑の博覧会(花博)」が開催された年です。
 (私は学校の遠足や親と親戚で花博に行ったことを覚えています。)



 「藍(あい)」は、何でつながるの? 

 

 話が進んで藍染めをする際に染液を造ります。
 その際に藍を3回発酵させた蒅(すくも)と木の灰(木灰:もくはい)を入れた水で染液が出来上がります。
水がヌルヌルとしているのはアルカリ性が高いためです。広葉樹の木灰でないとPH13(強アルカリ)までにならないそうです。
 PHって、小学校の理科の実験でリトマス試験紙で青に染まったらアルカリ性でしたよね。その指標がPH(ペーハー)でしたよね。
 た・し・か・・・
 
  
 水に沈んだ木灰は、大分県日田市で製造されている小鹿田焼き(おんたやき)という陶器の
釉薬(ゆうやく:うわぐすり)に使用されます。物がごみにならず、無駄なく使用されています。
 釉薬は陶器のコーティングだとご理解くださいね。
 本焼きは窯で1,200度で焼かれます。そのためか、灰はバケツ1杯しかでないそうです。
 窯の中は釉薬が1,200度の中でガラスぽく輝いています。釉薬を溶かすために1,200度まで温度を上げるそうです。
 写真は釉薬をする前の工程です。

 藍そのものは、徳島県で栽培されています。今は人参畑が広がるようになったそうです。
 昔、藍は徳島県が栽培が盛んだったそうです。
 藍を発酵する際に、水師が同じ発酵方法を全国に広めたそうですね。昔は水師と藍師は別だったそうです。


 「藍(あい)」の発酵は3回、2回目の発酵のお話 


 藍のお話が中心なってしまうのは、藍は3回発酵するためです。
 2回目の発酵の時は、むしろを隙間なく藍にかけ、藁の菌が発行を助けます。
 藁は稲の藁の事です。日本は田んぼが多く、日本の食料自給率が低い中、米は自給出来ているので、
稲の藁も確保できているので、大丈夫だと思いがちだと思います。
 しかし、米の収穫時、コンバインで収穫するのですが、稲まで細かくし田んぼに戻すため、
むしろで編める藁を確保することは、とても難しいのです。
 徳島県で藍の栽培をしていますが、むしろは佐賀県の米農家さんから調達しているのです。


トリビア
 ちなみに、編み物として、畳のい草があります。
 これも土に戻りそうですが、実は畳表のい草を編む際に、一部にナイロンが使用されているそうです。
 そのため、産業廃棄物として処理をされているそうです。完全に土に戻せないため、便利さ・生産・消費を優先するため、
そのような課題が生まれたのでしょうね。


まだまだ、途中までしかお話をまとめていませんので、続きは、別のブログ記事で掲載いたしますねm(_ _)m

今回は、これでお腹いっぱいって感じですね(@_@)
ありがとうございました。