<安倍内閣>女性2閣僚辞任 野党結束 追及の手を緩めず
毎日新聞 10月20日(月)23時34分配信
小渕優子前経済産業相と松島みどり前法相を「ダブル辞任」に追い込んだ野党は、安倍晋三首相の任命責任を連携して追及する構えをみせている。これまで自民党「1強」状態を攻めあぐんできたが、「政治とカネ」の問題で攻守逆転を狙う。両氏の辞任で疑惑に幕引きさせないよう、引き続き衆院政治倫理審査会(政倫審)などで説明を求める方針だ。
民主党の海江田万里代表は「当然、(首相の)任命責任を視野に対応したい」と党本部で記者団に述べた。首相自身も任命責任を認めており、野党に攻撃材料を与えた格好だ。みんなの党の浅尾慶一郎代表も「説明がない限りは、トカゲのしっぽ切りという印象を持たれる」と記者団に語り、引き続き国会で説明責任を果たすよう求める考えを示した。
2閣僚の同時辞任を受け、民主、維新、次世代、みんな、共産など野党7党の幹事長・書記局長は国会内で会談し、「政治とカネ」の問題を予算委員会などで追及する方針を確認した。小渕、松島両氏に政倫審で説明を求めることに加え、経済産業委員会と法務委員会への参考人招致も視野に入れている。
同時にほかの新任閣僚が抱える問題も取り上げ、9月の内閣改造の「失敗」を世論にアピールしようとしている。第1次安倍内閣以降、閣僚の辞任は時の政権の体力を奪ってきただけに、小渕、松島両氏の辞任を千載一遇のチャンスととらえている。
各党の会談では、江渡聡徳防衛相が政治資金収支報告書に自らの資金管理団体から寄付を受け取ったと記載していた問題や、西川公也農相が和牛商法の安愚楽(あぐら)牧場から献金を受け取った問題など、他の閣僚らを標的にして攻勢を強めることでも一致した。民主党の枝野幸男幹事長は「各党間で連携、連絡をしっかりとって足並みをそろえよう」と共闘を呼びかけた。
野党は第2次安倍内閣発足後、特定秘密保護法の成立や憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認など重要政策で賛否が分かれ、与党から足並みの乱れを突かれてきた。今国会では何とか一致点を探ろうという動きが出ていたが、これまでは十分な成果を上げていなかった。ただ、今回は与党に近い次世代の党でも、山田宏幹事長が「政治とカネの問題として、野党一致して取り上げていこうということだ」と記者団に述べ、他党に同調する姿勢を示している。
共産党の山下芳生書記局長は記者会見で「辞めて終わりでない。特に小渕氏は公職選挙法の供応接待にも問われる問題がある。議員の資格も問われる」と指摘した。
しかしながら、1日に2人も大臣が辞表を提出するなんて前代未聞の出来事。
もっとも、誰一人途中辞任のなかった「第二次安倍内閣」においても、「飛鳥涼」のシャブ事件のきっかけになったとされる、パソナの「仁風林」に出入りしていた当時の現役大臣が少なからずいたという話(全国向けマスコミはほとんど報じていないが)があったことを踏まえると、内閣の改造に踏み切らねばならなかったのは確か。だから、内閣改造そのものについての判断は「間違っていなかった」と考えられる。
ところが、「もっと女性の活用を」と言った手前、安倍が「体裁」だけを繕い、恐らくまともな「身体検査」をしないまま、大臣を任命したというのが今回の改造内閣ではなかったか。
さらに言うなら、今回の改造内閣はより一層、「安倍カラー」の強い陣容でもあった。つまりは、第一次時代の改造内閣で失敗した陣容と「そっくり」なのである。
ところで、小渕辞任のきっかけになったのは、赤旗の下記の記事が最初ではなかったかと思われる。
2014年9月18日(木) 小渕経産相 第3の“財布” 企業・団体献金2758万円 自民党群馬県ふるさと振興支部
第2次安倍改造内閣で2度目の入閣をした小渕優子経済産業相(衆院群馬5区)に、資金管理団体、みずからが代表を務める「自民党群馬県第5選挙区支部」とは別に、第3の“財布”ともいうべき政党支部の存在が本紙の取材で明らかになりました。
選挙区支部と分担してカネ集め
この政党支部は、「自民党群馬県ふるさと振興支部」。群馬県選管への報告などによると、父親の故小渕恵三元首相の関連政治団体「恵友政経懇話会」(同県高崎市)と同じ場所に「主たる事務所」を置いて、1995年7月に設立されました。事務担当者は、同県中之条町の「小渕恵三後援会」と同じ場所に事務所を置いた「群馬振興研究会」の会計責任者と同一人物で、事実上、小渕元首相の関連支部でした。
小渕優子経産相は2000年6月の総選挙で父親の跡を継いで初当選。ふるさと振興支部の「主たる事務所」はその後、前橋市を経て、09年12月に高崎市内に移りましたが、現在の同支部関係者も本紙の取材に「小渕経産相の政治団体だ」と認めました。
12年末の総選挙での小渕優子候補の選挙運動費用収支報告書によると、収入1654万円のうち、事務所無償借り上げ、労務無償提供を除く実収入1500万円は、第5選挙区支部1000万円、ふるさと振興支部500万円。全額、両支部の寄付で選挙をたたかったことになります。
12年分の政治資金収支報告書によると、第5選挙区支部が東京、大阪など県外企業も含め1480万円の企業・団体献金を集めたのに対し、ふるさと振興支部は群馬県内の企業が大半で2倍近い2758万円の企業・団体献金を集めています。このうち、500万円を小渕候補の陣中見舞いに回したほか、選挙区内の自民党県議の支部に各50万円、計400万円を寄付しています。(図参照)
一方、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」と、「小渕優子後援会」はそれぞれ2000万円を超す資金集めパーティーを開催していますが、記載義務のある20万円超のものがなく、購入先はいっさい不明。形を変えた企業・団体献金の可能性があります。
第5選挙区支部が、自民党本部から受け取っている1775万円は、すべて政党助成金(税金)でした。
小渕優子後援会も含め、未来産業研究会、両政党支部の4団体間のやりとりを除くと、小渕氏は、1年間で約1億2000万円の実収入を上げていました。うち、1億1141万円は、企業・団体献金、政治団体からの寄付、税金、パーティー券収入でした。
この記事が出たほぼ一ヶ月後に小渕は辞任した。
さて、これまで全く足並みが揃わなかった野党陣営だが、小渕、松島の両女性大臣の「首を取った」ことで一気に結束感を高めつつある。
もっとも、政策面についてはいまだにバラバラであるが、かねてから小沢一郎が、「政策面よりもまずは自民党を倒すことが先決だ!」と主張してきた通りの展開にはなってきた。
ま、「深入り」はもちろんやってはいけないが、少なくとも小渕優子については、政治倫理審査会(政倫審)、はたまた証人喚問を行うべきではないかと考えられる。何せ、政治資金を公私混同していた疑いが強いからね。
千載一遇のチャンスを、野党はしっかりとモノにしろ。