自民・公明両党と日本維新の会の政務調査会長が会談し、2026年度に実現することで3党が合意した、高校の授業料や給食費の無償化の制度のあり方について、2025年5月中旬をめどに方向性をまとめることを確認
参院予算委 高額療養費制度や米の関税措置への対応などで論戦 NHK 2025年3月5日 18時06分
新年度予算案は5日から参議院での審議が始まり、午後も高額療養費制度の見直しやアメリカ トランプ政権による関税措置への対応などをめぐって論戦が交わされました。
参議院予算委員会では5日と6日の2日間、石破総理大臣とすべての閣僚に出席を求めて基本的質疑が行われ、5日午後は立憲民主党と自民党が質問に立ちました。
米によるウクライナ軍事支援の一時停止について
立憲民主党の羽田次郎氏は、アメリカのトランプ政権がウクライナへの軍事支援を一時停止したことに関連し「これまでの政権から大きく方針が転換された。ロシアに寄り添っているという見方も一般的にはあるが、日本はロシア側に立つのか、それともウクライナ側に立つのか」とただしました。
これに対し、石破総理大臣は「ロシア側に立つことはありえない。トランプ大統領も『ロシア側に立つ』と言明したことは1度もないと承知している。アメリカはウクライナでの戦争で多額の財政負担をしており、アメリカの関与は引き続き必要だ。同盟国である私たちは最大限の理解をすべきだ」と述べました。
トランプ政権の関税措置について
自民党の古川参議院政策審議会長は、トランプ政権の関税措置をめぐり「自動車にも25%まで関税をかけると言っているが、日本はG7の中でアメリカへの最大の投資国だ。大統領に『日本はアメリカ経済に貢献している』と伝えてもらいたい」と求めました。
これに対し、石破総理大臣は「日本の対米貿易黒字は大きいが、それがアメリカへの直接投資の原資となっていて、アメリカ経済への貢献は相当に大きい。トランプ大統領は理屈がわかると『ああそうなのね』となるので、きぜんとして感情も込めてロジカルに訴えていきたい」と述べました。
また石破総理大臣は、今後、報復関税やWTO=世界貿易機関への提訴などを検討する可能性を問われ「常に政府内部で検討はしているが、報復関税やWTOへの提訴というような手段に至らなくても日本の国益を守ることを第一に考えており、あらゆる可能性を検討しリスクを計算するのが外交だ」と述べました。
新年度予算案について
自民党の佐藤正久氏は、新年度予算案をめぐり「高額療養費制度の石破総理大臣の方針は、国民の理解はまだまだ得られていない。高校の無償化よりもガソリンや軽油の値段を下げてくれという声もある。政治不信もある中、どのように国民の理解を得ていくのか」と質問しました。
これに対し、石破総理大臣は「国民や与野党の理解を得るべく努力していく。どうしても理解が得られないということなら、与党とよく相談しながら判断をする場合も当然あるが、まずは衆議院から送られた予算案の説明に全力を尽くす以外にない」と述べました。
高額療養費制度について
立憲民主党の笠国会対策委員長は党の会合で「高額療養費制度の自己負担額の上限引き上げの凍結を求める話はまだ終わっておらず、何としても実現するため頑張りたい。衆議院では凍結するための法案を提出しているが、ほかの野党も同じ気持ちだと思うので、しっかりと政府を追及し、石破総理大臣の決断を促していきたい」と述べました。
また、今月末までに結論を出すと与野党で申し合わせている企業・団体献金の扱いについて「来週から本格的に委員会の議論がスタートする。自民党が提出した抜け穴だらけの法案の成立を阻止し、野党をまとめてわれわれの主張を実現していくことができるかが重要であり、野党第1党として責任を果たすべく全力を挙げる」と述べました。
日本医師会 松本会長「政府の一部修正 一定の理解」
日本医師会の松本会長は記者会見で「今回、政府が患者の声もしっかりと聞いて、一部を修正したことは一定の理解を示したい」と述べました。
そのうえで「患者本人は生活や人生に直結するため、自己負担は増えてほしくないと考えるが一般の国民は保険料は下げてもらいたいと考える。社会保障は病気になった人を社会全体で支えるための制度で、財源をどのように持ってくるか、十分な議論が必要だ」と述べました。
高校授業料や給食費の無償化について
自民・公明両党と日本維新の会の政務調査会長が会談し、2026年度に実現することで3党が合意した、高校の授業料や給食費の無償化の制度のあり方について、ことし5月中旬をめどに方向性をまとめることを確認しました。
会談では、3党の合意を踏まえて修正された新年度予算案が4日、衆議院を通過したことを受けて、合意に盛り込まれた教育無償化や社会保険料の負担軽減のあり方について意見を交わしました。
そして、来年4月からの2026年度の実現で合意している私立高校を対象とした支援金の所得制限の撤廃と上限額の引き上げに加え、小学校を念頭にした給食費の無償化について具体的な制度のあり方の議論を進め、ことし5月中旬をめどに方向性をまとめることを確認しました。
また、社会保険料の負担軽減についても、実現可能なものは同じ時期に考え方をまとめる方針で、いずれも政府が6月ごろに決定することしの「骨太の方針」に反映させたい考えです。
一方、維新の会はガソリン税の暫定税率の廃止に向けて、立憲民主党や国民民主党を含む5党による協議体を設置すべきだと重ねて主張し、来週、改めて会談することになりました。
自民 小野寺政調会長「『骨太の方針』の中に入れていく」
自民党の小野寺政務調査会長は記者団に対し「予算案が3党の賛成で衆議院を通過した直後なので、これまで議論してきた内容を確認した。高校の授業料無償化と小学校の給食無償化は2026年度から進めることが合意で決まっているので、しっかり『骨太の方針』の中に入れていく。今後は実務者で協議することになると思うが、人選も含めて急いで調整し、後押ししていきたい」と述べました。
ガソリン税の暫定税率について
日本維新の会の青柳政務調査会長は記者団に対し「維新の会はガソリン税の暫定税率を2026年度から廃止するための法案を提出しており、それに向けて、自民・公明両党だけでなく立憲民主党、国民民主党を入れた5党の協議体を設置したいと要望している。スタートが遅くならないように協議を始めていきたい」と述べました。
国民 古川代表代行「『5党協議』提案に乗るつもりない」
国民民主党の古川代表代行は、記者会見で「日本維新の会は来年4月からガソリン税の暫定税率を廃止しようと言っているが、われわれは今の国民生活を考えればすぐにやらなければならないと思っているので根本の考え方が違う。『5党協議』についてどういうものをイメージしているのかよくわからないが、提案に乗るつもりはない」と述べました。
企業・団体献金について
新年度予算案は4日、教育無償化の具体策を盛り込む修正などが行われたうえで、衆議院本会議で自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、5日から参議院で審議が始まりました。
これについて維新の会の前原共同代表は、国会議員団の役員会で「いろいろなご意見を頂きながらもしっかりまとまり、ご協力頂いたことに心から感謝申し上げたい」と述べました。
そのうえで「われわれは政治とカネの問題に取り組んでいくというモードに切り替えていかなければならない。しっかりと野党が連携をしながら、少数与党の状況の中で、企業・団体献金の禁止を実現させたい」と述べ、今後は野党内の連携を強化していきたいという考えを示しました。
新年度予算案は5日から参議院での審議が始まり、午後も高額療養費制度の見直しやアメリカ トランプ政権による関税措置への対応などをめぐって論戦が交わされました。
参議院予算委員会では5日と6日の2日間、石破総理大臣とすべての閣僚に出席を求めて基本的質疑が行われ、5日午後は立憲民主党と自民党が質問に立ちました。
米によるウクライナ軍事支援の一時停止について
立憲民主党の羽田次郎氏は、アメリカのトランプ政権がウクライナへの軍事支援を一時停止したことに関連し「これまでの政権から大きく方針が転換された。ロシアに寄り添っているという見方も一般的にはあるが、日本はロシア側に立つのか、それともウクライナ側に立つのか」とただしました。
これに対し、石破総理大臣は「ロシア側に立つことはありえない。トランプ大統領も『ロシア側に立つ』と言明したことは1度もないと承知している。アメリカはウクライナでの戦争で多額の財政負担をしており、アメリカの関与は引き続き必要だ。同盟国である私たちは最大限の理解をすべきだ」と述べました。
トランプ政権の関税措置について
自民党の古川参議院政策審議会長は、トランプ政権の関税措置をめぐり「自動車にも25%まで関税をかけると言っているが、日本はG7の中でアメリカへの最大の投資国だ。大統領に『日本はアメリカ経済に貢献している』と伝えてもらいたい」と求めました。
これに対し、石破総理大臣は「日本の対米貿易黒字は大きいが、それがアメリカへの直接投資の原資となっていて、アメリカ経済への貢献は相当に大きい。トランプ大統領は理屈がわかると『ああそうなのね』となるので、きぜんとして感情も込めてロジカルに訴えていきたい」と述べました。
また石破総理大臣は、今後、報復関税やWTO=世界貿易機関への提訴などを検討する可能性を問われ「常に政府内部で検討はしているが、報復関税やWTOへの提訴というような手段に至らなくても日本の国益を守ることを第一に考えており、あらゆる可能性を検討しリスクを計算するのが外交だ」と述べました。
新年度予算案について
自民党の佐藤正久氏は、新年度予算案をめぐり「高額療養費制度の石破総理大臣の方針は、国民の理解はまだまだ得られていない。高校の無償化よりもガソリンや軽油の値段を下げてくれという声もある。政治不信もある中、どのように国民の理解を得ていくのか」と質問しました。
これに対し、石破総理大臣は「国民や与野党の理解を得るべく努力していく。どうしても理解が得られないということなら、与党とよく相談しながら判断をする場合も当然あるが、まずは衆議院から送られた予算案の説明に全力を尽くす以外にない」と述べました。
高額療養費制度について
立憲民主党の笠国会対策委員長は党の会合で「高額療養費制度の自己負担額の上限引き上げの凍結を求める話はまだ終わっておらず、何としても実現するため頑張りたい。衆議院では凍結するための法案を提出しているが、ほかの野党も同じ気持ちだと思うので、しっかりと政府を追及し、石破総理大臣の決断を促していきたい」と述べました。
また、今月末までに結論を出すと与野党で申し合わせている企業・団体献金の扱いについて「来週から本格的に委員会の議論がスタートする。自民党が提出した抜け穴だらけの法案の成立を阻止し、野党をまとめてわれわれの主張を実現していくことができるかが重要であり、野党第1党として責任を果たすべく全力を挙げる」と述べました。
日本医師会 松本会長「政府の一部修正 一定の理解」
日本医師会の松本会長は記者会見で「今回、政府が患者の声もしっかりと聞いて、一部を修正したことは一定の理解を示したい」と述べました。
そのうえで「患者本人は生活や人生に直結するため、自己負担は増えてほしくないと考えるが一般の国民は保険料は下げてもらいたいと考える。社会保障は病気になった人を社会全体で支えるための制度で、財源をどのように持ってくるか、十分な議論が必要だ」と述べました。
高校授業料や給食費の無償化について
自民・公明両党と日本維新の会の政務調査会長が会談し、2026年度に実現することで3党が合意した、高校の授業料や給食費の無償化の制度のあり方について、ことし5月中旬をめどに方向性をまとめることを確認しました。
会談では、3党の合意を踏まえて修正された新年度予算案が4日、衆議院を通過したことを受けて、合意に盛り込まれた教育無償化や社会保険料の負担軽減のあり方について意見を交わしました。
そして、来年4月からの2026年度の実現で合意している私立高校を対象とした支援金の所得制限の撤廃と上限額の引き上げに加え、小学校を念頭にした給食費の無償化について具体的な制度のあり方の議論を進め、ことし5月中旬をめどに方向性をまとめることを確認しました。
また、社会保険料の負担軽減についても、実現可能なものは同じ時期に考え方をまとめる方針で、いずれも政府が6月ごろに決定することしの「骨太の方針」に反映させたい考えです。
一方、維新の会はガソリン税の暫定税率の廃止に向けて、立憲民主党や国民民主党を含む5党による協議体を設置すべきだと重ねて主張し、来週、改めて会談することになりました。
自民 小野寺政調会長「『骨太の方針』の中に入れていく」
自民党の小野寺政務調査会長は記者団に対し「予算案が3党の賛成で衆議院を通過した直後なので、これまで議論してきた内容を確認した。高校の授業料無償化と小学校の給食無償化は2026年度から進めることが合意で決まっているので、しっかり『骨太の方針』の中に入れていく。今後は実務者で協議することになると思うが、人選も含めて急いで調整し、後押ししていきたい」と述べました。
ガソリン税の暫定税率について
日本維新の会の青柳政務調査会長は記者団に対し「維新の会はガソリン税の暫定税率を2026年度から廃止するための法案を提出しており、それに向けて、自民・公明両党だけでなく立憲民主党、国民民主党を入れた5党の協議体を設置したいと要望している。スタートが遅くならないように協議を始めていきたい」と述べました。
国民 古川代表代行「『5党協議』提案に乗るつもりない」
国民民主党の古川代表代行は、記者会見で「日本維新の会は来年4月からガソリン税の暫定税率を廃止しようと言っているが、われわれは今の国民生活を考えればすぐにやらなければならないと思っているので根本の考え方が違う。『5党協議』についてどういうものをイメージしているのかよくわからないが、提案に乗るつもりはない」と述べました。
企業・団体献金について
新年度予算案は4日、教育無償化の具体策を盛り込む修正などが行われたうえで、衆議院本会議で自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、5日から参議院で審議が始まりました。
これについて維新の会の前原共同代表は、国会議員団の役員会で「いろいろなご意見を頂きながらもしっかりまとまり、ご協力頂いたことに心から感謝申し上げたい」と述べました。
そのうえで「われわれは政治とカネの問題に取り組んでいくというモードに切り替えていかなければならない。しっかりと野党が連携をしながら、少数与党の状況の中で、企業・団体献金の禁止を実現させたい」と述べ、今後は野党内の連携を強化していきたいという考えを示しました。