「宿泊税」割れる意見：2025年千葉県知事選挙

千葉県知事選挙「宿泊税」割れる意見　一部候補の演説が兵庫で　NHK 2025年3月10日 18時20分

今月16日に投票が行われる千葉県知事選挙。現職と新人のあわせて4人が立候補しています。

自民党・立憲民主党・日本維新の会・公明党・国民民主党の県組織と市民ネットワーク千葉県は、現職の熊谷さんを支持。共産党は小倉さんを推薦しています。

この候補者の間で意見が分かれているのが「宿泊税」の導入です。

（千葉局取材班）

「宿泊税」の導入めぐって
去年12月
熊谷知事
「今後、持続的に千葉県の観光や宿泊事業が成り立っていくために宿泊税の導入が妥当である」
「宿泊税」は、ホテルなどに泊まった際に料金に上乗せされる税金で、東京都や京都市など全国の10を超える自治体が導入しています。
千葉県は、1人1泊あたり150円を一律で徴収する方針で、税収の見込みは年間40億円余り。4分の1にあたるおよそ11億円は、交付金として市町村に配分する予定です。
「宿泊税」導入の背景にあるのが、観光需要の高まりに伴う、自治体のコストの増加です。

浦安市では、市が処理するごみのうち、大型テーマパークがある舞浜エリアのホテルが占める割合が年々増加しています。

今後、費用を十分に賄えなくなるおそれがあるということです。
ただ、宿泊施設の一部からは、客足が遠のくのではないかという懸念の声も出ています。
千葉県南部 館山市の民宿
県南部・館山市の民宿です。
料金は、素泊まりで1泊5000円から。ビジネスや合宿などで連泊する人も多いといいます。
民宿を経営 山田裕祥さん
山田裕祥さん
「10日も泊まると（宿泊税は）当然1500円になりますね。修学旅行とか、臨海学校とか他の県に行ってしまわなければいいなとは思ってます」
県が去年、導入を検討する過程で宿泊施設に行ったアンケートでは、宿泊税の導入に「賛成」か「どちらかと言えば賛成」は40％余り。「反対」か「どちらかと言えば反対」は30％余りでした。

反対意見の中には、一律で定額を徴収することへの疑問などが寄せられたということです。
「宿泊税」候補者の賛否は？
宿泊税について、知事選挙の候補者はどう考えているのか。

NHKは4人にアンケートしました。
熊谷候補は導入に「賛成」
「宿泊・観光業の人手不足が深刻な中、人口減少地域の振興のためにも 大胆な施策推進が必要だ」としています。
小倉候補は「反対」
「宿泊税の導入は利用者への負担増と同時に、観光振興に逆行する。県として観光振興に必要な予算を拡充すべき」としています。
黒川候補は「賛成」
「外国人や一般観光客向けのインフラを整備しようと思えば　当然のこと」としています。
立花候補は「反対」
理由について回答はありませんでした。
知事選挙では、▽2期目を目指す現職の県政運営への評価や、▽水道料金を値上げする県の方針、▽災害対策、▽子育て支援策などについても論戦が交わされています。
投票は今月16日に行われ、即日開票されます。
議論を呼ぶ、一部候補による兵庫での演説
一方、今回の選挙では、一部の候補者の選挙運動が議論を呼んでいます。
4人の候補者のうち、こちらの2人が、告示後最初の週末、千葉県から遠く離れた神戸市で、街頭演説を行ったのです。
立花候補
今月1日。立花さんは神戸市で、選挙運動用のタスキを掛けて、演説を行いました。

演説のほとんどは兵庫県政をめぐる問題に関する内容で、現場は一時騒然としました。
黒川候補
続いて、黒川さんも同じ場所で演説を行いました。
ほかの候補者に言及したり、経済振興策について訴えたりしていました。
こちらは、告示からの1週間に「X」上で「千葉県知事選挙」とともに投稿されたことばです。数が多いほど大きく表示されます。

黄色で示したように「神戸」や「運動を兵庫県」といったことばが並び、関心の高さがうかがえます。
こうした運動、公職選挙法には禁じる規定はありませんが、選挙制度に詳しい専門家は。
神戸大学大学院法学研究科 品田裕教授
「（選挙運動を）そもそも選挙区外でする人がいるということは想定されていない。表現の自由、言論の自由、政治活動の自由、こういったものが最大限保障される一方で、有権者が、何が適切か、どこまでが許されるべきことか、共通認識というものを持つということは非常に重要だろう。そこをきちっと議論しないといけない」