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実は領土の問題に関しては、例えばクリミアの問題も今後15年間棚上げという、2014年より前の段階への復帰の可能性も含む合意案だった

2025-03-06 01:35:29 | ウクライナ紛争
トランプ政権 善悪共有せず?米ウク会談決裂 ロシアは? NHK 2025年3月5日 17時46分

「いまのトランプ政権はウクライナとロシアのどちらが正義でどちらが悪、そういう善悪の基準を共有していないということだと思います」

激しい口論となったアメリカとウクライナの首脳会談についてこう話すのは、ロシアの外交・安全保障政策に詳しい笹川平和財団の畔蒜(あびる)泰助上席研究員です。

前代未聞の会談決裂の背景には何があるのか。今後の停戦に向けた動き、そしてロシアはどう出てくるのか。詳しく話を聞きました。

(国際部記者 有水崇)

笹川平和財団 畔蒜泰助 上席研究員
※以下、畔蒜上席研究員の話
会談での“口論”どう見た?
ゼレンスキー大統領はやはり「正義とは何か」を訴えたということなんだと思います。「自分たちに正義があるんだ」ということが、ウクライナがこれまで3年間、苦しい戦争を続けてきた一番の柱になった気持ちなんだと思うんですよね。

ただ残念ながら、いまのトランプ政権はそういう、ウクライナとロシアのどちらが正義でどちらが悪だと、そういう善悪の基準は共有していないということなんだと思います。

そうした中で「正義とは何か」ということを訴えて、トランプ大統領を説得しようとしたのは得策ではなかったのだと思います。
激しい口論となったゼレンスキー大統領とトランプ大統領(ホワイトハウス 2月28日)
停戦に向けた動きどうなる?
今後、アメリカ国内、あるいはトランプ政権内で、ウクライナに対する支援を大幅に削減、あるいは停止していくべきではないか、そういう議論が、停戦が実現する前に始まる可能性があるということなんだと思います。

これまでも、トランプ政権がロシア寄りの立場を強く示すということで非常に微妙な関係ではありました。

ただ唯一、今回の合意がなされれば、ウクライナとトランプ政権の関係も改善に向かうんじゃないかという期待感があったわけですが、今回こういう形の決裂に至ってしまったということで、両国の関係はさらに悪化する可能性が高いと思います。

これは今後の停戦交渉にとっては非常にマイナスで、ロシアにとって有利な状況となっています。
トランプ大統領との会談のあとロンドンを訪れたゼレンスキー大統領(3月2日)
ロシアはどう受け止めている?
当然のことながら、ロシアにとってより有利な状況をつくる出来事だと判断しているでしょう。ロシアからすると、アメリカとの関係改善を進めつつ、ウクライナでの戦争を継続する。そういう選択肢が生まれてくるわけですよね。

アメリカとしては、ロシアとの関係とウクライナとの関係、両者を同じテーブルにつけるためにやっているわけですが、ロシアはアメリカに対して「あなたの停戦に向けた仲介を拒否したのはウクライナ側ですよね」というふうに、今回の決裂を言うことができるわけです。

まして、今後アメリカがウクライナへの支援を削減、あるいは停止するという形で圧力をかけることになれば、ロシアにとっては今回の会談の結果が大きなプラスになると捉えていると思います。
ゼレンスキー大統領について「和平を望む人物ではなかった」と語るトランプ大統領
停戦に向けたロシアの条件は?
ロシアの立場は明確です。

ロシアの条件は「ウクライナのNATO非加盟」。それから「ウクライナの非武装化」、「非ナチ化」。それぞれどういう意味合いなのかは詰めていかなければいけないわけですが、この3つの条件。そして、現状の戦線、いまのロシアの占領地域をウクライナが認めること。

あわせて4つの条件が受け入れられない限り、停戦しないというのがロシアの立場です。そして、実はいま、アメリカはこの案にかなり近づいているわけです。

ウクライナからするとウクライナの安全保障をどう担保するのかが大きな問題で、逆にロシア側からするとロシアの安全保障をどう担保するかという話になってくるので、そこが一番難しいところだと思います。
領土についてはどう考えている?
実は、戦争が始まった直後にトルコとベラルーシで停戦交渉をやっていて、最終的には2022年の3月末から4月半ばにかけて、いわゆるイスタンブール・コミュニケと言われる文書ができていたわけです。

文書は、双方が合意できるよねという部分と、合意できないよねという部分、両論併記の部分も含めてできあがっていました。
イスタンブールで開かれたロシアとウクライナの停戦交渉(2022年3月)
内容を見ると、実は領土の問題に関しては、例えばクリミアの問題も今後15年間棚上げという、2014年より前の段階への復帰の可能性も含む合意案だったんです。

これで停戦ができる状況が整ったと考えていたにもかかわらず、ロシア側からするとウクライナが最終的には拒否した。だとすると、その後のドンバスやヘルソン、ザポリージャ4州の併合というのは、ロシア側の考えでは、ウクライナに対する罰なんだと。

われわれは本来ならばもっと領土の問題に関しては交渉の余地があったのに、結局ウクライナが拒否した。だからこれはもう後戻りできない問題になっているというのが、いまのロシア側の立場なんです。

もともとロシアにとって領土の問題そのものは大きな問題ではなかったのに、現時点では当然の要求になっているわけなんです。

4州併合を定めたとする条約に署名するプーチン大統領(2022年)
トランプ大統領に対応できる?
第1次政権のときのトランプ大統領とのコンタクトの経験から、ロシア側は「トランプ大統領というのは1つの問題に対して、10分ぐらいしか関心を維持できない」と思っています。

だとすると、トランプ大統領が「すぐ停戦だ」と言っている中で、「そうじゃない。これにはこういう歴史的な経緯があって、こんなに複雑な問題だ。これを1つ1つ除去していかないとこの戦争は止められない」という話を仮にプーチン大統領がトランプ大統領にしようとしても10分では説明しきれないわけです。

ロシアとしては、有利な形で終われるのであればこの戦争をやめて国際的な孤立状態から脱したいという思いはある一方で、根底の問題が解決しないままでは停戦できないというジレンマもかかえていると思います。
米ロ首脳会談(ドイツ ハンブルク 2017年)
ロシアは今後どう出る?
トランプ政権というのは、ウクライナ問題を解決する上でバイデン政権と違って明らかに交渉の窓は開いているし、妥結の余地はあるというのがプーチン大統領の基本的な考え方です。だからこそ交渉にのってきています。

アメリカはトランプ政権になって大きく変わり、いままでのアメリカではなくなりました。グローバルなイシューに積極的に関与していく、自らの資源を使って世界の秩序を維持するというアメリカではなく、あくまでも自国第一主義のアメリカに大きく変わっているのです。

ただ、ロシアが求める最終的なゴールを達成できるかどうかに関しては、トランプ大統領の性格やその他の問題も含めてそう簡単ではありません。
ロシアが許容できるウクライナの安全保障は?
非常に大事なポイントで、最終的にこの問題がゴールにたどり着くかどうかは、まさにそこにかかってると思います。

ロシアはウクライナの非武装化を求めていますが、もちろん完全な非武装化というのはありえません。では、ロシアにとってのウクライナの武装化のレッドラインはどこなんだということです。

ロシアの有識者に聞いたところ、彼らが言ってたのは「それは長射程のミサイルだ」ということでした。つまり、アメリカが供与しているATACMS、あるいはヨーロッパ、例えばドイツが持っているタウルスというミサイル、そうした長射程のミサイルがウクライナに配備されないこと。

それによって、ロシアにとっての脅威にはならないということで妥結できるのだとすると、少なくともアメリカとロシアの間では妥結の余地があるのかもしれません。
アメリカ製の射程の長いミサイル「ATACMS」
プーチン氏のゴールはどこにある?
ロシアにとって脅威にならないウクライナにするということが最終的なゴールなわけで、戦争継続がゼレンスキー政権の崩壊につながるという読みがあるのであれば、戦争を継続することを選択するかもしれません。

そうすることでウクライナの問題を最終解決することを選ぶのか、あるいは、その途中でも西側との関係改善を同時に進めるということを選ぶのかということが、いまのロシアにとっての選択肢となっています。

ただ、いずれにせよロシアからすると、ここで仮に「戦争をいったんやめます」と言っても、最終的にはウクライナを自分たちにとって脅威にならない形にするためにいろんなアプローチをするのは間違いありません。

最終手段としては軍事的なアプローチを取るかもしれないですが、政治的にウクライナを親ロ的なものに長い期間かけてやっていくという選択肢もあるわけです。仮にアメリカがウクライナに対して支援を大きく減らしていくという状況になってくれば、ロシアは必ずしも軍事的に侵攻しなくてもよくなるかもしれません。

この辺りを最終的にプーチン大統領がどういう判断をくだすのかということが、今後のトランプ大統領との首脳会談も含めて、ポイントになってくると思います。
ウクライナ ヨーロッパどうなる?
おそらくトランプ政権は、米ロで合意したものをウクライナに押しつけられると思っていると思います。

最終的にアメリカがウクライナに対する支援を止めてしまえば、ウクライナはもう戦争継続できないだろうというのが、いまのトランプ政権の基本的な考え方なんだと思うんです。

ただ、最終的な停戦はウクライナ、ヨーロッパがちゃんと関与し納得できるものでなければ実現しません。今回の会談決裂は、ウクライナ、そしてヨーロッパをうまく巻き込むことに成功していないということであり、停戦に向けた道筋はまだ見えていないというのが現実だと思います。

そうだとすると、ウクライナとして取りうる手段はやはりヨーロッパとの関係、経済的、軍事的な関係を強めていくことで、いまの米ロのこの流れ、頭越しの流れに対して歯止めがかけられるのかどうかです。
ロンドンでの会合に参加したヨーロッパなど各国の首脳(3月2日)
ヨーロッパが今後、アメリカに代わって、ウクライナを支援し続けるという決断をするのであれば、それはヨーロッパ自身が軍事産業の基盤も含めて相当テコ入れをして、アメリカから戦略的に独立をしていくんだというぐらいの覚悟を持ってやる必要があります。

いままさに、アメリカのトランプ政権、そしてウクライナとヨーロッパの三角関係というフェーズに入っていくのかどうかというところが今後の焦点になってくると思います。

(3月1日ニュース7などで放送)
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