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山や山野草、名湯を求めて,九州を中心にうろついてます。

「ミヤマキリシマ」よ、永遠なれ! (平治岳が泣いていた。)

2015年06月08日 | 山登り


「ミヤマキリシマ」と「平治岳」は、私にとっては特別な存在だ。

遠い昔のことだが、「ミヤマキリシマ」を知ったのは、
四十数年前の高校生の時だった。

その当時は、紅顔の美少年で(ほんまかいな!)
「将来は岳人たらん!」と思っていたのか、時々、
「野北の岩場」や阿蘇の「鷲ヶ峰」で岩登りの訓練をしていた。

「鷲ヶ峰」には結構緊張するルートがあり、しかも、
岩が大変もろいので、そこそこの覚悟を持って臨んでいた。

「鷲ヶ峰」の岩登りを終わると、高岳の通称「バカ尾根」を下りてくるのだが、
その途中にあざやかなピンクの花が咲いていて、
岩登りの緊張感をほぐしてくれたのを覚えている。

その他には、近場の三郡縦走のボッカ訓練で体力強化をし、
北アルプスに遠征するわけだが、悪天候に遭遇すると、テントで停滞することになる。

そして、テントの中ではすることがないので、花札などをしたりして時間をつぶすのだが、みんなでよくいろんな歌も歌った。ここでは公にできない歌もあるのだが、(なんのこっちゃ!)
一番よく歌ったのが「坊がつる讃歌」。

まだ、芹洋子がレコードを出す前のことで、
当時は山登り仲間のあいだで口伝えに歌われていた。
私的には、特にこの歌詞がお気に入り。

「ミヤマキリシマ 咲き誇り 
 山くれないに  大船の
 峰を仰ぎて   山男
 花の情けを 知るものぞ」

暴風雨の最中で、みんなで大声で歌って、女の子にもてないいい訳を
「俺たちは花の情けを知ってるんや!」などと、訳のわからんことをいったりで、
今では懐かしい青春の1ページだ。

それから、40歳で山登りを再開して3、4年の頃の1996年の6月、
この平治岳で素晴らしいミヤマキリシマに出会った。

写真はプリントしかないので紹介できないのが残念ではあるが、
この年の「平治のミヤマ」が今でも最高だと思っている。
それ以降、毎年この季節、平治岳に「ミヤマキリシマ」を見に行っている。

なので、「ミヤマキリシマ」は私の山登りの歴史と共にあるといっても過言ではない。


少し前置きが長くなったが、昨日、
例年のように「ミヤマキリシマ」に会いに「平治岳」を登った。


参加者は、いつものYさんとKさん、それとAさんの4人。

早良区の家を5:00に出発。太宰府インターから高速に入り、
玖珠SAで小休止をした。

7:36 吉部の安い方の駐車場に到着。

7:50 登山開始。


そこそこの登山者がスタートをしていった。

私たちは、吉部から北登山口経由で平治岳を登る。
早速、花が出迎えてくれる。
いつもの「コガクウツギ」



前日が晴天だったせいか、登山路は割とコンディションがいい。



9:12 北登山口



ネットの情報では、急登のところのハシゴがはずされているとのこと。
私たちの前に、17名の団体さんが登っているので、少し時間がかかるかもね、
などと思っていた。

9:50 その場所に着くとやはり渋滞していた。


結局のところ、ここを通過するのに30分を要した。
上の方から、ザイルを「残置していきます!」と聞こえた。



その性か、割と簡単に難所を越えることができた。(ただただ感謝!)
しかし、この場所はこのザイルがないと結構大変なところだね。



ここを超えると、いつもの展望台だ。
見晴らしはとてもいい。


いつもなら、ドウダンツツジなどが咲いてるのだが、今年はこれだけ。



でも、由布岳はきれいに見える。



「バイケイソウ」も咲いているが、



10:12 平治の尾の「ミヤマキリシマ」はほぼ壊滅!
たったこの花しかなかった!上も心配だ!


昨年は、へろへろで頂上にあがったのだが、
どうしたことか、今年は簡単に登り上がった。

10:57 平治岳到着。



ネットでは、今年は虫害もあって咲きぶりが良くないとは聞いていた。



「うぅーん!」。ほとんど花が咲いていない!



多分こんな平治は初めてだ。



昨年は、この地はこんな光景だった。



あたり一面ピンクの絨毯だった。



遠くの大船の方はどうだろう?北大船がどうにかピンク色を見せている。



できるだけ、花が多いところを工夫してパチリ。



定番のところもこんな感じ。



本当ならピンクの花壁のところ。



「こんな年もあるんだ!自然の厳しさを改めて思い知らされた。」


予定通りに、平治岳を後にして南峰に向かった。
その途中、思いもかけず「ウグイス」が私たちの前に現れた。



「ウグイス」は警戒心が強いのかなかなか姿を見せてくれない。
それが、この平治の頂上近くで、しかも「ミヤマ」の姿に落ち込んでいるその時に!



これはAさんが捉えた1枚。



何という巡り合わせなのか!「ミヤマ」は咲いてなかったけど、
目の前で「ホーホケキョ!」とさえずる「ウグイス」を見ることができた。
「今年も平治岳に来てよかっね!」と、どこからか声が聞こえたような気がした。


11:27 南峰でも、「ミヤマ」は咲いてないのだが、いつものところで、
いつものようにパチリとした。



やはり平治は最高だね!



Yさんもご機嫌だ!



本来なら、ここが素晴らしい!とコメントをするところ。



でも、結構楽しんだ!



何とかは、高いところを見るとすぐ登りたがる。
誰に話してるん!


こんなのも撮れてしまう。



そろそろ大戸越に下りよう。途中にある白のミヤマキリシマ。
ここも二つしか咲いてない。


大戸越は多くの人がいる。



12:17 大戸越到着。



大戸越から平治岳を見上げる。平治が泣いてるような気がした。



ここで簡単なランチをすませて、オオヤマレンゲを見に行った。
残念ながらあと少しだった。


13:31 吉部への分岐
大戸越は(うどんごえ)と読むんだね!


梅雨の最中、幸運にも雨にも遭わずにすんだ。



日頃の仕事で疲れてるはずのYさんは今日は元気みたい!



私も、普段と違ってとても楽に歩けた。



まるで「またおいでよ!」と言ってるみたい!
ヤマアジサイももう少し。


モミジウリノキも今少し!



ハナイカダは実になっていた。



15:26 駐車場に帰ってきた。途中の渋滞30分を考えると、
いいコースタイムで歩けたようだ。


車を止めた後ろに、こんな花が咲いていた。



ママコナ。



最後に、いつもの馬子草温泉「きずな」で汗を流して



九酔峡の七折の滝などをパチリとしながら福岡へと向かった。



今回の「平治岳」に登って、少しだけ考えてみた。

どうも「花が咲いていた!感動した!」にあまりにもとらわれ、
一喜一憂しすぎてはいなかったか?
咲き振りが良いときもそうでないときも、それらのことすべてが、
自然の移ろいであり、私たちが愛すべきものではないかと!

そう考えると、気持ちが落ちついてきた。

今年は、「平治岳」には「ミヤマキリシマ」は咲いてなかったけど、
「ミヤマキリシマ」の良さは変わらない。
そして、「平治岳」はこれからも私たちに感動を与えてくれるだろう。

だから、これからも「平治岳」に登りたい。いや、必ず登り続ける!
いつまでも登れるかはわからないけど、脚力のある限りは!

「平治岳」は、私の山登りそのもののような気がする。

『「平治」よ、永遠なれ!』と、心の中で呟いた。
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4 コメント

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山登りはじめて2年目 (chidori)
2015-06-09 04:56:09
ちっとも知らない山の名前ばかりです。
鹿児島の山しか登ってないので、みなさんのブログであちこち見せてもらって疑似体験を積んでいます。
最近は高千穂、その前は開聞岳、と75歳のおばあちゃんにとってはかなり厳しい山でした。
せっかくの高千穂もガスに覆われて見えたり見えなかったりでしたが・・ミヤマキリシマも。よく晴れた日に登りたいです。
返信する
はじめまして (東雲の空)
2015-06-09 16:11:04
少し前に読者登録させていただいた、
東雲の空と申します。

私も7日に、平治を坊がつるから見上げ、
大船に行って来ました。
見上げると今年の平治岳はかわいそうでしたね・・・。

今年の平治はダメとおっしゃる方も居ますが、
しかしおっしゃるとおり、こんな年もある!です。
また、恐ろしく咲いてくれる時もあるでしょう。
両方とも自然の姿ですよね。

霧島の新燃岳もあれよあれよと言う間に緑色が火口縁へと、はい上がってきています。
私も破壊と回復の自然の力のすごさを感じながら毎週の様に霧島に通っています。
ではまたお邪魔します。
返信する
ありがとうございます。 (山沢周平)
2015-06-10 08:36:50
cidoriさん、コメントありがとうございます。
私は福岡に住んでいるので、鹿児島の山にはあまり登っていません。
今年中には、開聞岳に登りたいと思っています。その時には、入来温泉などにも行ってみたいですね。
返信する
こちらこそよろしく (山沢周平)
2015-06-10 09:29:50
東雲の空さん、ありがとうございます。
平治の方から見た「大船」は、少しだけのピンクでしたね。今年は、久住全体のミヤマキリシマが咲き振りが良くなかったのでしょうね。
私たちは、自然のなせることを真摯に受け止めるしかないですよね。
これからも、ずっと山とともにありたいと思ってます。
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