おとめ座 3C 273
1)クエーサーとは、
遠方宇宙にあり極めて明るい天体。現代の天文学者は活動銀河核(巨大なブラックホール)に降着円盤(ブラックホールに吸い込まれる物質がつくる円盤)をともなったものと考え観測・研究を進めているようだ。昔は、遠さ・放出するエネルギーの巨大さなどから「星のように見えて星とは考えられない」ということで謎の天体、準星と呼ばれた。今は準恒星状天体または準恒星状電波源などと呼ばれるか、クエーサーと呼ばれる。
2)3C 273
初めてクエーサーと確認された天体。1959年に発刊されたケンブリッジ電波源カタログ第3版273番目から3C 273と呼ばれる。約24.5億光年彼方にあり、太陽の約10億倍の質量を持ち、普通の銀河の約1万倍以上のエネルギーを放出。光の速さの約20%の速さで遠ざかっている。全天でもっとも明るいクエーサー。地球に最も近いクエーサー。12.9等の明るさ。6等星が見える星空で口径15cmの天体望遠鏡を使えば、アマチュアでも眼視観測可能とのこと。アマチュアが観測可能な最も遠い天体の1つ。位置は、赤経α122906.7、赤緯δ+020309。
3)電視観望
画像①Astapによるα,δgrid表示、Add object position short、VGA切り出し
おとめ座で、銀河以外の天体をさがしていると・・・あった。
星空ロマン来た!クエーサー!
50年ぐらい前、新聞の科学欄で読んだ「謎の天体クエーサー」おとめ座にあった。しかも明るさ12.9等。口径3cmFMA135でそのクラス写っている。いける!と電視観望、記録も撮れた。存在確認OK。
そして参考資料を読んで、現代天文学最先端を感じる。見た目ただの13等星の奥に、宇宙の神秘が隠されていると思うとちょっと興奮する。遠い深宇宙に思いを馳せられる。
画像② 画像①の無記入版(若干トリミング位置にズレあり)
画像③Astapによるプレートソルブ、α,δ grid表示、Deepsky annotation処理3C273は、中央右下
4)電視観望まで
おとめ座の最後の電視観望対象は決まった。ところで3C 273をどうやって導入する?これまでSynScanProアプリで、AZ-GTiの自動導入しか経験ない。あとは手動微調整。SynScanProに、3C 273の登録ない?見つからない。
皆さんはどうやって天体を導入しているのだろう。赤経αと赤緯δを元にするのが普通か?いろいろ模索する。
SynScanProにありました。『ユーザオブジェクト』→『天体』→赤経・赤緯入力画面。
これで、AZ-GTiのアライメントを正確にすれば導入できる。
ステラナビゲーターLiteでは・・・3C 273で検索。登録されていた。しかも1/1.7インチCMOSカメラの画角で、NGC4527、NGC4536・NGC4420の3銀河間にある。ライブスタック画面なら銀河を目視確認する自信あり、SharpCapProのDSIA(ディプスカイ・イメージ・アナテーション)もある。楽勝!のはず、多分。
画像④(ステライメージLiteによる該当部分)
同じくステラナビゲーLiteによる3C 273の位置
5)電視観望
1回目5月8日強風8秒露出
おとめ座M49の撮影を済ませ、SynScanProで、α,δを入力。いざ導入。NGC4527OK、NGC4536OK、NGC4420わからない。3C 273を目視でさがす・・・「直角二等辺三角形・・・三角定規・・・ぶつぶつぶつ」・・・わからない・・・(クエーサー3C 273は近くの星3つで直角二等辺三角形に見える。資料2)資料6))。撮影後、AstapでDeepsky annotationをかけると、きた!3C 273きた!う~ん。微妙。星に見えんな~
画像⑤(8秒露出該当部分トリミング)
2回目5月9日大星夜15秒露出
昨晩の復讐戦。三角定規写った!星の1つ暗い。ブログにアップした時見えるかな?だから目視でわからなかった(画像②)。
これで本年度のおとめ座電視観望終わり。銀河の観測鍛えて貰った。おとめ座ありがとう。きれいに写せなかったが・・・また来年。
6)画像確認
Astapで、プレートソルブ後、Deepsky Annotationをかける。多分間違いないが、表示の位置が微妙にズレているのが気になる。ここが初心者のつらいところ、天体観測の常識を知らないので困っている。
こんな時は館長ソルビングしかない。そして久しぶりに館長登場。
資料2)と比較。『この3つOK.ここ、ここ、ここ、OK』『確かに同じ』
い~や館長凄いぞ。自信出た。『館長、ありがとうございます。』
尚、Astap画面の3C 273上で右クリック、ポップアップしたウィンドーからAdd object position shortで、3C 273の位置α,δが表示されるので、これでもきちんと確認できた。(画像①)
改めて思う、電視観望凄い。コンビニも天文ショップも無い田舎(街灯はたくさんある)で、ネットの知識と通信販売で、私のような初心者でも、自宅のベランダから、現代天文学の最先端の研究対象を確認することができる。凄い時代になったと今更ながら感じる。
(追記)
ブログ投稿前に、ステライメージLiteで、3C273を検索するとヒットしない。3C 273で検索にヒットする。Wikipediaは3C 273、Astapは3C273。国立天文台は昔は3C273、最近は3C 273。記号が2つある模様。最近は3C 273の雰囲気ということで文章中は、3C 273に訂正。
参考資料
撮影データ
2023年5月9日晴れ、月齢18.9、大星夜
ベランダ観測所
おとめ座クエーサー3C 273
FMA135+Neptune-CⅡ+AZ-GTi+QBPフィルターⅢ
SharpCapPro4.0でライブスタック、Save exactly as seenでpng保存
Raw16、Area2712x1538、Offset=20、Gain=300
Exposure=15s×48frames
ホワイトバランス(AUTO)、ダーク補正(あり)
Astapで、fitsファイルをプレートソルブ、自動色補正、α、δgrid処理、Deepsky annotation処理、jpeg保存
Microsoftフォトで、色・明るさ調整、VGAサイズでトリミング等