地震だぁ~
ゆらゆらとビルは揺れ続けている。いわゆる長周期地震。ビルの固有振動数に一致すれば建物はあっけなく崩れ去る。ってなんか帝都物語でやってたような気がする。それはいいとして職場のフロアーでは皆顔を見合わせているだけだったが、私はランボー顔負けの勢いで非常階段を駆け下りていた。
ビルを出てみると、道はミルク色の水がしみ出し液状化が進んでいる。相変わらず揺れは断続的に続き、傾きかけている古い家も出始めた。それより血の気が引いたのは、地面が沈んでるように思える事だった。徐々に。徐々に。
「日本沈没!」 あのガッツポーズの草なぎは今どうしてるのだろう?
私も負けずに「関東陥没!関東陥没う~」
ビルからぞろぞろと人が出始めた。
「海と反対方向へ」
誰かが行った言葉に人の群れは北へ向かった。足下が沈みはじめている感覚は現実なようで、東京湾の海水がどやら入ってきているようだ。私は
海と反対へは行かない。むしろ海へ。
ちゅうか新橋へ。ここは新橋しかない。
気が付けば膝まで海水に浸かっていたが、なんとか新橋の入り江近くに着いた。そして見つけたのだ。目的のものを。
『屋形船』
これで避難しよっと。
ねらい通り屋形船にはビールサーバーが常備されていた。こうなったら飲むしかない。開き直ってビール祭りじゃ。地獄に仏とはこのことか。屋形船から外を眺めビールを飲んだ。
おお!!この眺めは一生忘れないだろう。たぶん湾岸にあったはずの液化ガスの入った巨大な球が、ごろごろと転がっているではないか。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ごつん!! パカ!
その巨大な球は高層ビルに衝突し、衝撃で卵が割れるようにまっぷたつに割れた。なかからなんとお! うわ~ 。
まぁくだらん妄想もこれくらいにしとくわ。あーしんど。