7月13日(火) 曇り時々晴れ
昨夜はよく晴れていたらしく、零時から2時にかけて星の写真を撮るために騒いでいた人達がいた。人気のある山ではマナーの悪い人がいるのは珍しいことではないが、星は静かに観るのが乙なのだ。
5:15に出発、今日の目的地はヒサゴ沼で、ヒサゴ沼までは休憩を入れて9時間ぐらい。
白雲岳避難小屋直下に金梅草の群生がある、多分千島の金梅草(チシマノキンバイソウ)だと思う。
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雪渓を渡って緩やかな稜線を行く、あいにく霧だが晴れていたら切れ落ちた崖の下に点在する高原沼や広がる山塊を望むことができる。
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砂礫地に咲く駒草(コマクサ)、雨で土が流されたらすぐに消えてしまいそうな所に生える開拓者だ。
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蝦夷躑躅(エゾツツジ)、躑躅と言う漢字は書けない、読めない、と言うか細かすぎて老眼には塊にしか見えない。とても可愛らしいがこう見えてれっきとした樹木なのだ。昨年、一昨年と見ていないのでこれまたラッキー。
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細葉得撫草(ホソバウルップソウ)、ウルップソウはもう花の盛りは過ぎてしまったようで、花が咲いているものは少なかった。
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高根が原分岐、立ち止まると本当に静かだ。
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綿毛となったチングルマ、綿毛は雄シベが変化したものだ。チングルマも小さいが樹木である。
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御前橘(ゴゼンタチバナ)、白い花びら(花弁)に見えるのは葉が変化したもので総苞(ソウホウ)と言う。
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でた!と思わずにはいられないコマクサの群生。ヤッホー!もう嬉しさしかない。
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トウヒレンのような花だけれどなんだろう。
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綿菅(ワタスゲ)
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忠別岳に着いた。ここまで誰にも会わない、霧に包まれたとても静かな世界だった。
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山頂は携帯電話の電波が届く確率が高いので家族に今の場所と今日の予定を伝える。登山届けを提出してココヘリも持っているが、遭難時に備えて現在地点を伝えておくことは捜索時の範囲を狭くするために非常に重要だ。
ココヘリは電波発信機の電波を捜索ヘリから探知するサービスだ。単独行なのでもしも行方不明になって亡くなってしまったとしてもココヘリで遺体が見つかれば失踪宣告を7年待たずに済むので、保険金とか相続とかすぐに受け取ることができるのだ。とは言え、大事なのは無事に下山することである。
おそらく高嶺塩竈(タカネシオガマ)
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深山東菊(ミヤマアズマギク)
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忠別岳を降りる頃空が明るくなった。真ん中にポチッと見えるのが五色岳、そこから右へ稜線を行く。
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忠別岳を振り返る。今日の行程の半分ぐらいまでやって来た。少し晴れるだけで日差しが眩しい。
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深山秋の麒麟草(ミヤマアキノキリンソウ)、キリンソウは太陽の光が似合う。
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深山黒百合(ミヤマクロユリ)、初めて見るミヤマクロユリ、出会えてラッキーだ。
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花弁が8個あるけれど、端取草(ツマトリソウ)だろう。花弁が7個がほとんどみたい。
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五色岳から忠別岳を望む。ここまで何度かハイマツの中を歩いて来たが花粉が多くて身体もバックパックも黄色になっていた。おまけに朝露で下半身はビショビショである。とは言え、ここまでくれば息の上がる坂はもうないのでホッとする。
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五色岳から再びハイマツの中を歩く。この先にあるプクッと膨らんだところが化雲岳。前が見えないハイマツやクマザサの薮を行くときはクマさん、これから行きますよ、と言う合図をしてから入っていく。合図をクマが受け取ってくれることを信じて両手に持ったトレッキングポールをカチカチとぶつけたり、熊鈴を鳴らしたりする。普段は熊鈴を付けることはなく、先の見えない藪の中だけ付けている。やっぱり山は静かに歩きたい。
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トムラウシ山の頂は雲の中。
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十勝風露(トカチフウロ)、チシマフウロの亜種で花弁が淡い紫色。
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岩髭(イワヒゲ)、名前は可愛らしくないが花は可愛い。
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化雲岳を過ぎてハクサンイチゲの広大なお花畑に差し掛かるとメチャクチャ獣臭が漂っていた。地面にはクマが掘った穴が多数。ゆっくりとお花畑を眺めていたかったが、出たな、と言うことでトレッキングポールで音を立てながら足早に先へ進んだ。後でヒサゴ沼で会った人に聞いたら丁度その頃、その辺りからヒサゴ沼へ続く雪渓をクマが横断していたとのことだった。
ヒサゴ沼分岐から少し入った岩場の手前にもクマが掘った穴がいくつも会った。とにかくクマも生きるのに必死で駆けずり回っているのだ。
雪渓に入ると霧である。ここは初めて歩くので端の方を歩いた。
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霧が晴れて結構な傾斜の雪渓を下るとバーンとヒサゴ沼が現れた。
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今日のテン場だ。水場はここに来る途中にあり、雪解けの水がジャンジャカ流れているので顔を洗ってスッキリした。後でビールも冷やした。流れの中でクルクル回るビール缶、幸せだ。
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テントを張って1時間、雨が降ってきた。そして日没、霧が沼を覆い幻想的な景色となった。
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今日の夕飯も昨日と同じく、ボロネーゼのパスタ。うーむ、献立に捻りが全くないが、軽量化と考えるのが億劫だったので毎日同じメニューなのだ。
今日は少しお疲れモードだった。久しぶりのテント泊なので1日で疲れは取れなかったのだろう。そして左の踵に少し靴擦れができていた。うーむ。
明日は荷物を軽くしてトムラウシ山ピストンだ。