風になれたら

SUZUKI Bandit1250Sに乗って風になり
中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

盛夏・黒部五郎岳 2019 最終日

2020-04-25 | 徒歩の旅

8/7 (水) 晴れ

夜明け前、ゴソゴソと周りで音がして目を覚ます。今日は山を降りる日だ。暑くなりそうなので太陽が登る前に双六小屋を後にして登山口の新穂高温泉へ向かった。

振り返ると谷間に鷲羽岳と灯りが散らつく双六小屋が見えた。

下野草 (シモツケソウ)

左手に槍ヶ岳と穂高の山々を眺めながら歩いて行く。

黄苑 (キオン)

白山防風 (ハクサンボウフウ)

深山秋の麒麟草 (ミヤマアキノキリンソウ)

梅鉢草 (ウメバチソウ)

深山川芎 (ミヤマセンキュウ)

次はいつ来れるだろうか。そんなことを思いながら淡々と歩く。その正面には乗鞍岳がよく見えていた。

オコジョ出現!この写真でわかるかな、真ん中の小さな丸い塊。今回の山行でオコジョを見かけるのは2回目、すぐに茂みの木に駆け上がったので覗いてみたら近くまで寄ってきた。シャッターチャンス!とカメラを向けようとしたら逃げてしまった。オコジョって本当に可愛いのでどんな姿かネットで調べてね。

鏡平山荘を経て秩父沢出合と下っていく。林道に出てしばらく歩けばわさび平小屋だ。喉が渇いているがまだ朝の8時20分、ここはビールではなく目の前にプカプカ浮いているスイカを食べよう。

実際に食べるのはプカプカ浮いているスイカではなく、奥の冷蔵庫から出されるスイカなので趣きは半減した、って子供か!

今回は汗を大量にかく日々だったので、久しぶりにスイカに塩をかけてみ用途思った。塩をかけたら甘みをジュワッと感じて、志村けんさんのような勢いで食べてしまった。

新穂高温泉には9時半に着いてしまったがバスの時刻は13時40分、温泉にゆっくり浸かった。

風呂上がりにロープウェイ駅のレストランでビールを飲んでラーメンを食べた。今日も暑い日でラーメンを食べたら汗びっしょりとなった。お腹はタプタプだったけれどソフトクリームも食べておこう。

今回は天候の良い日に訪れることができて本当によかった。花咲く山々は日々のゴチャゴチャを忘れさせてくれる別天地だ。

歩いて、飲んで、食べて、寝る、この簡潔さに身を委ねて心が軽くなる、だから山歩きはやめられないのだ。

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盛夏・黒部五郎岳 2019 3日目

2020-04-19 | 徒歩の旅

8/6 (火) 晴れ

快晴、今日も暑くなるだろう。今日の予定は三俣山荘でお茶して、黒部源流を訪ねて、三俣蓮華岳から双六岳の稜線を歩いて双六小屋でテン泊だ。

黒部五郎小屋を5時に出て歩き出す。登りながら何度も何度も振り返って黒部五郎岳を眺めた。いい山だった、また来よう。

信濃金梅 (シナノキンバイ)

三俣蓮華岳の巻き道を三俣山荘方面へ向かって歩いていると何本もの水の流れを超えた。紛れもない黒部源流の一雫だ。記念に飲んでおいた。

三俣山荘に着いたが時間が早いので予想どうり営業時間外、黒部源流と呼ばれる場所まで荷物を置いて歩いてこよう。今回の装備は20kgぐらいだったので、手ぶらだと本当に早く歩ける。しかし20代前半の時と比べて10kg以上増えた脂肪がなかったらもっと軽いんだろうな、と思う、思うだけの人生である。黒部源流と呼ばれる場所までの道には花が咲いているので飽きることがない。

四葉塩竈 (ヨツバシオガマ)

車百合 (クルマユリ)

白山風露 (ハクサンフウロ)

ようやく川と呼べるような流れのある所まで下ると、黒部川水源地標と書かれた茶色の石柱があった。ここか、って着いて気が付いたけれど、どこが源なのかは人が決めることなのでどこでもいいのだ。

と言うことで踵を返して向かうは三俣山荘。開店と同時に入ってケーキセットを注文した。選んだケーキはフルーツタルトでコーヒーはなんとサイフォンで淹れられている。他のケーキにチョコレートとチーズケーキがあった。

山々を眺めながらのコーヒータイムは長閑で贅沢だ。この右側には槍ヶ岳と穂高の山々が連なっている。

三俣山荘の向こうにドーンと鷲羽岳、いい山だ。

三俣山荘のテン場を抜けて三俣蓮華岳へ、昨日も楽しんだ360度の大パノラマを楽しんだら双六岳へ向かう稜線を歩く。左には槍ヶ岳から穂高の山々、右には黒部五郎岳から遠くの白山の山塊、そして笠ヶ岳、素晴らしい道だ。

双六岳で少し休憩して双六小屋に向かう。槍ヶ岳へ向かう丘陵の道を歩いているとどこか異国にいるかのようだった。

それにしても暑い、双六小屋に着いたら冷たいビールがご褒美だ。もう少し、もう少し、と小屋を目指した。

テントを張ってカウンターで生ビールを頼んだら、なんとビールサーバーが準備できていないので販売まで1時間半ほどかかるとのこと。あと90分待つと言う選択肢は目の前の缶ビール(エビス)によって消え去った。

小屋前のテーブル席で柿の種(ピーナッツなし)をつまみに缶ビールを飲んでサーバーの復活を待った。次第に混んできてテーブルは満席に。相席になった方々のひとりの話し言葉が祖母のものと同じだったので聞いてみたら、やはり祖母と同郷であった。もうひとりの方は5年で百名山を達成したそうだ。スライスチーズの海苔ばさみや他の手作りのおつまみなどいただいて山の話をした。そしてサーバーは1時間ほどで復活したので、めでたくジョッキでビールを飲むことができた。

浅葱斑 (アサギマダラ)が腕や頭の周りを舞っていた。何をしているのだろう、腕にとまったらグルグルした口を伸ばして汗を吸っているようだった。ミネラルがいるんだね。

今日の夕飯はカレー、セブンのサラダチキンを投入。テン泊でカレーは久しぶりだな。

これを書いているのは2020/4/19、今まで使っていたフライパンは20cmを超えるものだったのだけれど、デカイし重いので最近17cmのものを手に入れた。山で使えるのはいつになることだろう。

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盛夏・黒部五郎岳 2019 2日目

2020-04-18 | 徒歩の旅

8/5 (月) 晴れ

3時に起きると星がよく見えた。ゆっくりと支度をして5時に双六小屋を後にした。

今日は三俣蓮華岳を経て黒部五郎岳に向かう。晴れて入れば双六岳を経る稜線、曇って入れば巻き道と決めていた、分岐点で結構ガスっていたので迷わず巻道へ向かった。

昨年巻き道を歩いたとき花がたくさん咲いていたので今回もと期待した。昨年巻き道を歩いたときの日記はコチラ

昨年は小梅蕙草 (コバイケイソウ)の当たり年だったようだけれど、今年も結構咲いている感じだ。

岩鏡 (イワカガミ)はいつ見てもかわいい花だ。イワカガミの葉が鏡のようだと言われているが、いつも花ばかり見て葉っぱは見ていないなぁ。

三俣蓮華岳に着く頃には空はすっかり晴れ渡った。360度のパノラマをくるくる回って楽しんだ。どこから見ても槍ヶ岳は目立つ山だなぁ。

ここから黒部五郎小屋までは下るのみ、道が狭いので何度かグループの人が過ぎるのを待った。北アルプスはやっぱり人気の山域なのだなぁ。

だなぁ、と思うことばかりが山歩きなんだなぁ。

深山大根草 (ミヤマダイコンソウ)

稚児車 (チングルマ)

白山一華 (ハクサンイチゲ)

唐松草 (カラマツソウ)

黒部五郎小屋に着いてテントを張った。ここは別天地だ。遠くに薬師岳が見える。

まだ朝の9時半、軽くなった身で黒部五郎岳を目指す。最初の樹林帯を歩いていたら藪の中を勢いよく何かがこちらに向かっている音が聞こえた。警戒する暇もなく目の前を大きな兎が通り過ぎて行った。びっくりしたが、ここにはあの兎が生きて行くだけの餌があるのだなと思った。草いきれを抜けるとカールの上部から涼しい風が吹いていた。行動食をボリボリ食べたり、途中の岩清水をガブガブ飲んだりしながら、歩いて行く。足下に小さな花を見つけることは小さな幸せだ。

岩銀杏 (イワイチョウ)、こうして帰ってから知らない花の名前を調べるのだけれど、次に見かけたときに思い出せるのだろうか。

カール終端の急登を登って尾根に出たら頂はもうすぐだ。尾根を通り抜ける風は少し冷たかった。

黒部五郎岳に登頂。手作りの銘板が置かれていた。

帰りは登ってきたカールではなく南側の稜線のルートを選んだ。山と高原地図では破線ルートとなっているが、気持ちの良さそうな尾根が続いている。

這松 (ハイマツ) に石楠花 (シャクナゲ)が咲く道に、時折手頃な岩が現れる変化に富んだ楽しいルートだ。

振り返って黒部五郎岳とその下に広がるカールとモレーン を眺める。カールは圏谷と呼ばれる氷河に削られた岩の谷で、モレーンは削り取られた岩石が溜まったり散らばっている地形だ。

頭の中がお花畑になって歩いていると2羽の雷鳥が目の前に現れた。そのうちの1羽は砂浴びをしていた。全く逃げる気配がない、砂浴びが終わるのを待って先に進んだ。

稜線のチングルマはすでに花が綿毛に変わっていた。稜線の季節は谷よりも先に秋が近づいている。

樹林帯に入ると登山道は雨水で深く削られていた。そこを抜けて平らな場所に出るとそこはテン場だ、時刻は13:20、張られたテントも増えてきた。

小屋では缶ビールなどが冷やされているが、ここは生ビールだ、ジョッキで生ビールだ。冷たいビールをこんな場所で飲めることは僥倖の極み、超絶ラッキー、脳みそが溶けていく。

ゆっくりビールを飲んだらテン場に戻ってゆっくりとご飯の準備だ。缶詰のイワシの味噌煮にミニトマトを放り込んでチーズで和えた。

おつまみが終わったらメインだ。イベリコ豚のミートソースパスタにセブンのハンバーグを投入、なんかペンネがふやけて大変な量になってしまった。食べきれないな、きっと。

持ってきたレトルトパウチのワインを飲みながら隣にテントを張った元山岳部、20年ぶりの山行と言う方と取り留めもない話をしばらく続けた。気軽に知らない人と話ができるのもひとり旅のいいところだ。

夕方、遠くにあった黒い雲と雷の音が急にやってきて激しい雷雨となった。酔っ払って溶けた脳みそでテントを打つ雨粒の音を聞いていた。

 

 

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盛夏・黒部五郎岳 2019 1日目

2020-04-11 | 徒歩の旅

8/4 (日) 晴れ

初夏の大雪・十勝岳連峰の縦走は充実した日々であったが、好天に恵まれず厳しい山行であった。その山行から帰って3週間、天気に恵まれて美味しいものを食べるゆったりとした山歩きに行きたくなった。

花咲く北アルプス、黒部五郎に行こう。行程は3泊4日、まったりキャンプ旅の始まりだ。蒸し暑い東京の夜を抜けて竹橋から夜行バスで新穂高へ向かった。

8時間後にバスは新穂高温泉に着いた。林道を歩いてわさび平小屋に到着、冷えた果物や野菜が出迎えてくれた。帰りに寄ろう。

トイレと水の補給をして歩き出す。登山道の傾斜が大きくなり、太陽も昇って汗だくで進んでいく。ふと立ち止まって風の音を聞き、道端の花に癒される。

下野草(シモツケソウ) の仲間だろう。

秩父沢出合の冷たい水で顔をジャブジャブと洗った。気持ちいい!ここは風も涼しいので多くの人が休んでいた。

この花の名はなんと言うのだろう。まぁ、他の花の名前も間違えているかもしれないから、かわいい花と言っておこう。(その後、味噌川草 ミソガワソウ であることが判明)

鏡池に到着、穂高の山々の頂に雲が湧いていた。

鏡池からすぐのところにある鏡平山荘で食べたい物があった。

練乳もあるのか、ここはいちご一択であろう。暑かったので飲むようにかき氷を一気に食べた。こめかみが痛くなってもかまわない。

蝦夷塩釜 (エゾシオガマ)、だと思いたい。

信濃金梅(シナノキンバイ)

ん、鷲羽岳が見えたかな。もう一息だ。それにしても暑い、暑い、暑い。

日光黄菅 (ニッコウキスゲ)だよね。

大文字草 (ダイモンジソウ)

四葉塩釜 (ヨツバシオガマ)

深山竜胆 (ミヤマリンドウ)

白山風露 (ハクサンフウロ)

午前橘 (ゴゼンタチバナ)

バテバテで双六小屋に着いた。テン場は高校や大学の山岳部の合宿で結構な賑わいだ。

テントを張り終えたらビールだ。山小屋に求めるもの、それは冷えたビールだ。鷲羽岳にジョッキを掲げた。

初メスティン 、ヒジキを入れてご飯を炊いてみた。塩気が足りなかったが、おかずは沖縄そばに豚肉の生姜焼きなのでこれでいいのだ。

そして、持ってきた缶ビールはすっかり温まっていたので栄養ドリンクと思って飲んでしまった。

双六池を眺めたり、思い思いに過ごす登山者を眺めたり、コーヒーを飲んだりして時間はすぎていく。

日が傾いてテントの中にいられるようになった5時ごろに寝てしまう。疲労感の中で眠りに落ちていく瞬間が好きだ。

 

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