風になれたら

SUZUKI Bandit1250Sに乗って風になり
中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

北海道ツーリング 2021 海沿いを走らないゆるキャンツー 第2話

2022-10-30 | 徒歩の旅

9月21日(火) 晴れ

目が覚めると疲れが残っていたので寝袋から出るのは嫌だなぁと感じたけれど、明日は天気が崩れるとのことなので5時半にエイヤッと起きた。

今日は富良野岳へ向かう。この時期の富良野岳はきっと紅葉して美しい姿を見せてくれる(予定)。キャンプ場から吹上上富良野線を登る、バイクで登る極上のワインディングロードは標高差1000メートルである。入山口である十勝岳温泉の駐車場にバイクを停めた。空気が冷たい。

身支度を整えて出発だ。最初の30分はゆっくりと歩いて身体を温める。富良野岳に向かう山道は七竈(ななかまど)が美しい。

稜線まで続く這松(はいまつ)の緑に散る黄色や赤に染まった木々。しばらく行くと僕の少し前に出発したバイク乗りのおじさんに追いついた。そこから彼とバイク旅の話をしながら一緒に歩いた。コロナのワクチンを打たないことで家族と仲違いしているとのことだった。うーむ。今日だけしか会わない人なのでそれ以上はワクチンについて触れなかった。

荒々しい火山の谷を過ぎる。

ここも好きな道。

稚児車(ちんぐるま)

富良野岳山頂に到着。こうしてみるとお腹と胸に余計な肉が付いている。

空が晴れてきたので上富良野岳を回ることに。

紅葉時の山肌のコントラストはたまらない魅力に溢れている。

下山後、登山口にある凌雲閣で露天風呂に浸かって歩いた山々を眺めた。気分は最高!いい山行だった。

 

スーパーフジで食材を買って、星に手のとどく丘キャンプ場に戻った。ホットサンドメーカーで茄子、舞茸、トマトを焼いたり、鯵のフライを温めた。

そして舞茸とグリンピースの炊き込みご飯。

そのあとはプリンを食べてお酒を飲みながら焚き火に没頭した。食べ過ぎ、飲み過ぎ、キャンプは太るな。

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大雪山縦走 2021 5日目 今日も晴れ、今日が最終日

2021-12-05 | 徒歩の旅

7月16日 (金) 晴れ

心おだやかな下山の日である。よく晴れて風もない、今日もいい山旅ができるだろう。

白雲岳避難小屋をあとにして緑岳方面に向かう。

今日のお目当てはチョウノスケソウである。限られた場所でしか見られない高山植物だ。

白雲岳避難小屋を出てすぐの雪渓を渡り切って坂道を登る、その坂道には所々花が咲いていて目移りしてしまう。

これは蝦夷白山一花(エゾハクサンイチゲ)

ん、これは?陽が昇るのを待ち望んでいるかのように佇む朝露に濡れた花、ハクサンイチゲに似ているけれどウメバチソウか?うーん、わからない。

岩桔梗(イワギキョウ)

深山東菊(ミヤマアズマギク)

小泉岳と緑岳をつなぐ稜線の手前でチョウノスケソウを見つけた。このあたりは花の盛りを少し過ぎてしまったようだ。

花の写真を撮るために登山道を外れて突っ込んでいる人がいて少しがっかり、みんなが楽しむためにはインパクトは最低限にしたい。

先に行ってみよう。稜線に出ると、その先には雲海が広がっていた。

蝦夷躑躅(エゾツツジ)

振り返ればどこまでも続く美しい山並み、聞こえるのは火山礫を踏む自分の足音と花を求めて飛ぶ虫の羽音だけ。

あまりにも素晴らしい景色なので自宅に電話をかけて妻に山の景色や花を見てもらった。なんか眠そうだなと思ったらまだ6時前であった、ごめんなさい。

なだらかな稜線には長之助草(チョウノスケソウ)がちらほらと咲いていた、見つけた人の名前がそのまま付いている。

なかなかかわいい花だ。かわいいがチョウノスケソウは立派な木なのだ。

左が岩髭(イワヒゲ)、右が岩梅(イワウメ )、正に岩に張り付いて生きている。

なだらかな小泉岳の山頂。周りには誰もいない。

小泉岳から白雲岳の分岐を経て北海岳へ向かう。稚児車(チングルマ)

イワウメ の花で蜜を集める蜂、多分エゾオオマルハナバチ、外来種のセイヨウオオマルハナバチが増えていて生態系に影響が出ているとのこと、見分けはお尻が白ければセイヨウとのことだけれどお尻が見えない。でも胴の色はエゾオオマルハナバチぽい。ってそもそもマルハナバチじゃないかもね。

ピンク色した黄花石楠花(キバナシャクナゲ)

蝦夷の栂桜(エゾノツガザクラ)

蝦夷小桜(エゾコザクラ)、エゾって名前に付いた植物が多い感じ。

お花畑の先にトムラウシに十勝岳連峰、たまらん。

北海岳まで戻ってきました。黒岳方面を望む。

火口であるお鉢の斜面は見事な縞々。すれ違った人がこの下に熊がいたと教えてくれたので、一所懸命探したけれど見つけることができなかった。

中岳温泉、何度か来ているけれど見るだけで入ったことはない。お湯加減は丁度いい。

裾合平はチングルマの大群生地だけれど、まだ雪が多く満開のチングルマを楽しむのにはあと10日ほどかかりそうだ。

入山した姿見まで戻ってきた。これは鏡池、噴煙をあげる旭岳、かっこいいね。

姿見駅から山麓駅まではロープウェイ、丁度お昼時なので山麓駅でご飯を食べた。下山後、カロリーを気にかけることはない、地ビール、揚げ餃子、かき揚げうどん、たっぷり糖質と脂質を身体に取り入れた。

今日の宿泊は愉快なオバちゃんのいる大雪山山荘、再び美味しいご飯を食べたのだ。

翌日、旭川空港から羽田空港へ。旭川空港で生ビールとチャーシューラーメン、たっぷり糖質と脂質を身体に取り入れた。しかし下界は暑い、空港の外は36℃、震えるような夜を過ごしていたことが不思議な感じだ。

今回の山旅は天気にも恵まれ、咲きほこる花々をたくさん楽しむことができた。

来年も大雪を歩こうと強く思うのであった。おしまい。

 

 

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大雪山縦走 2021 4日目 サヨナラトムラウシ、そして花咲く道へ

2021-11-15 | 徒歩の旅

7月15日 (木) 晴れ

こんなに天気に恵まれるのは久しぶりだ。今日は初日に泊まった白雲岳避難小屋のテン場まで帰る予定だ。

ヒサゴ沼から化雲岳へ向かう雪渓を登る、化雲岳が見えないので迷いそうであった。振り返れば王冠と称されるトムラウシ山が見える。

化雲岳下の分岐から五色岳へ向かう道は晴れていればずっとトムラウシ山を眺めて歩ける幸せの道だ。花咲く草原と空を映した青い池沼。

少し寄ってみよう。

当初白雲岳避難小屋か黒岳避難小屋に明日1泊しようと思っていたのだけれど、毎日食べる同じご飯に飽きてしまったので明日下山することに決めた。山と花をお腹いっぱい楽しんだのでこれでいいのだ。

四葉塩竈(ヨツバシオガマ)

千島風露(チシマフウロ)

もうすぐ五色岳、旭岳と忠別岳を望む。

磯躑躅(イソツツジ)かな、うーん、わからない。

ハイマツの花粉が最盛期のようで、身体中薄黄色になってしまった。ハイマツの森をいくつか抜けて神々の遊ぶお花畑を行く。

高嶺女郎花(タカネオミナエシ)、別名は千島金鈴花(チシマキンレイカ) と岩袋(イワブクロ)

駒草(コマクサ)

千島薊(チシマアザミ)か蝦夷深山薊(エゾミヤマアザミ)か。

深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)

利尻竜胆(リシリリンドウ)、見つけられてラッキー。

蝦夷岩爪草(エゾイワツメクサ)

千島ノ金梅草(チシマノキンバイソウ)の群生地、ここまでくれば白雲岳避難小屋まで数分だ。

今日は平日だけれど、テン場は大賑わい。30張りはあった。

夕方テン場で知り合った高山植物に詳しい人と花の話に盛り上がった。その人が持っていた山渓の「高山に咲く花」と言う本がとても面白そうだったので帰宅してから購入したのであった。

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大雪山縦走 2021 3日目 3度目の正直、快晴のトムラウシ山

2021-11-06 | 徒歩の旅

7月14日 (水) 晴れ

朝目覚めると雲ひとつない快晴だった。朝焼けのヒサゴ沼、沼面は波ひとつなく鏡のようだ。

避難小屋の方から歓声が上がっているので何かと思ったら親子のエゾシカがいるらしかった。いたいた、こちらを見ていた。

天気がいいうちにトムラウシ山へ行こう。沼畔の雪渓をサクサクと音をたてて歩いていく、調子に乗って沼に落ちないようにしよう。

沼から分岐までの雪渓は結構な斜度である。歩いていたら熊の足跡があった。上から出てこないでね。

ヒサゴ沼を振り返る。奥に見えるはニペソツ山じゃぁないですか。

おおお、トムラウシ山が見える。やっぱり天気がいいといいね。天沼へ続く道を歩いていたら楽しくて笑ってしまった。笑うこともあれば涙が出ることもある、景色を見て心が動かされるなんて子供の頃には想像もできなかった。

日本庭園と名付けられた場所には面白い形をした岩や沼が点在している。ここは日本ですかぁ〜!

裏白七竈(ウラジロナナカマド)だと思う。

天気がいいといことは暑いということで汗ダクダク、沼地を歩いて足はドロドロ、久しぶりの山行で履くのがまだ3日目の靴で靴ずれ、でも心は幸せ。

トムラウシ山直下、涼しい風が吹く北沼に着いた。ここに着くと2009年の遭難事故のことを思わずにはいられない、亡くられた方のご冥福を祈る。

北沼から25分、トムラウシ山に。ウヒョヒョヒョ、3度目の正直で晴れました。雨も乙などと言うこともあるけれど、やっぱり晴れが好き。

山頂から十勝岳連峰を望む、一番手前にあるオプタテシケ山を見たら来年はまたあっちまで歩いてみようと思った。

同じコースを歩いてきた登山者としばらく話をして、またどこかの山でと言って別れる。気がつけば30分以上山頂にいた。

南沼側に降りてトムラウシ山の北側をぐるりと回ってヒサゴ沼まで帰る。

ヒサゴ沼に帰ってきたけれど、時間はまだ12時、メチャクチャ暑い。日傘をさして沼を眺めたり、テントに寝転んで空を眺めたり、時間がゆっくりと流れてゆく。

そして、冷たいビール、言葉になりません!

明日は来た道を白雲岳避難小屋まで帰ります。

 

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大雪山縦走 2021 2日目 山と花と熊

2021-10-31 | 徒歩の旅

7月13日(火) 曇り時々晴れ

昨夜はよく晴れていたらしく、零時から2時にかけて星の写真を撮るために騒いでいた人達がいた。人気のある山ではマナーの悪い人がいるのは珍しいことではないが、星は静かに観るのが乙なのだ。

5:15に出発、今日の目的地はヒサゴ沼で、ヒサゴ沼までは休憩を入れて9時間ぐらい。

白雲岳避難小屋直下に金梅草の群生がある、多分千島の金梅草(チシマノキンバイソウ)だと思う。

雪渓を渡って緩やかな稜線を行く、あいにく霧だが晴れていたら切れ落ちた崖の下に点在する高原沼や広がる山塊を望むことができる。

砂礫地に咲く駒草(コマクサ)、雨で土が流されたらすぐに消えてしまいそうな所に生える開拓者だ。

蝦夷躑躅(エゾツツジ)、躑躅と言う漢字は書けない、読めない、と言うか細かすぎて老眼には塊にしか見えない。とても可愛らしいがこう見えてれっきとした樹木なのだ。昨年、一昨年と見ていないのでこれまたラッキー。

細葉得撫草(ホソバウルップソウ)、ウルップソウはもう花の盛りは過ぎてしまったようで、花が咲いているものは少なかった。

高根が原分岐、立ち止まると本当に静かだ。

綿毛となったチングルマ、綿毛は雄シベが変化したものだ。チングルマも小さいが樹木である。

御前橘(ゴゼンタチバナ)、白い花びら(花弁)に見えるのは葉が変化したもので総苞(ソウホウ)と言う。

でた!と思わずにはいられないコマクサの群生。ヤッホー!もう嬉しさしかない。

トウヒレンのような花だけれどなんだろう。

綿菅(ワタスゲ)

忠別岳に着いた。ここまで誰にも会わない、霧に包まれたとても静かな世界だった。

山頂は携帯電話の電波が届く確率が高いので家族に今の場所と今日の予定を伝える。登山届けを提出してココヘリも持っているが、遭難時に備えて現在地点を伝えておくことは捜索時の範囲を狭くするために非常に重要だ。

ココヘリは電波発信機の電波を捜索ヘリから探知するサービスだ。単独行なのでもしも行方不明になって亡くなってしまったとしてもココヘリで遺体が見つかれば失踪宣告を7年待たずに済むので、保険金とか相続とかすぐに受け取ることができるのだ。とは言え、大事なのは無事に下山することである。

おそらく高嶺塩竈(タカネシオガマ)

深山東菊(ミヤマアズマギク)

忠別岳を降りる頃空が明るくなった。真ん中にポチッと見えるのが五色岳、そこから右へ稜線を行く。

忠別岳を振り返る。今日の行程の半分ぐらいまでやって来た。少し晴れるだけで日差しが眩しい。

深山秋の麒麟草(ミヤマアキノキリンソウ)、キリンソウは太陽の光が似合う。

深山黒百合(ミヤマクロユリ)、初めて見るミヤマクロユリ、出会えてラッキーだ。

花弁が8個あるけれど、端取草(ツマトリソウ)だろう。花弁が7個がほとんどみたい。

五色岳から忠別岳を望む。ここまで何度かハイマツの中を歩いて来たが花粉が多くて身体もバックパックも黄色になっていた。おまけに朝露で下半身はビショビショである。とは言え、ここまでくれば息の上がる坂はもうないのでホッとする。

五色岳から再びハイマツの中を歩く。この先にあるプクッと膨らんだところが化雲岳。前が見えないハイマツやクマザサの薮を行くときはクマさん、これから行きますよ、と言う合図をしてから入っていく。合図をクマが受け取ってくれることを信じて両手に持ったトレッキングポールをカチカチとぶつけたり、熊鈴を鳴らしたりする。普段は熊鈴を付けることはなく、先の見えない藪の中だけ付けている。やっぱり山は静かに歩きたい。

トムラウシ山の頂は雲の中。

十勝風露(トカチフウロ)、チシマフウロの亜種で花弁が淡い紫色。

岩髭(イワヒゲ)、名前は可愛らしくないが花は可愛い。

化雲岳を過ぎてハクサンイチゲの広大なお花畑に差し掛かるとメチャクチャ獣臭が漂っていた。地面にはクマが掘った穴が多数。ゆっくりとお花畑を眺めていたかったが、出たな、と言うことでトレッキングポールで音を立てながら足早に先へ進んだ。後でヒサゴ沼で会った人に聞いたら丁度その頃、その辺りからヒサゴ沼へ続く雪渓をクマが横断していたとのことだった。

ヒサゴ沼分岐から少し入った岩場の手前にもクマが掘った穴がいくつも会った。とにかくクマも生きるのに必死で駆けずり回っているのだ。

雪渓に入ると霧である。ここは初めて歩くので端の方を歩いた。

霧が晴れて結構な傾斜の雪渓を下るとバーンとヒサゴ沼が現れた。

今日のテン場だ。水場はここに来る途中にあり、雪解けの水がジャンジャカ流れているので顔を洗ってスッキリした。後でビールも冷やした。流れの中でクルクル回るビール缶、幸せだ。

テントを張って1時間、雨が降ってきた。そして日没、霧が沼を覆い幻想的な景色となった。

今日の夕飯も昨日と同じく、ボロネーゼのパスタ。うーむ、献立に捻りが全くないが、軽量化と考えるのが億劫だったので毎日同じメニューなのだ。

今日は少しお疲れモードだった。久しぶりのテント泊なので1日で疲れは取れなかったのだろう。そして左の踵に少し靴擦れができていた。うーむ。

明日は荷物を軽くしてトムラウシ山ピストンだ。

 

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大雪山縦走 2021 1日目 山と花とビール

2021-10-29 | 徒歩の旅

7/12(月) 曇り

なぜ山に登るのか、それはなぜ仕事をするのかと言う問いと同じである、その答えは美味しいビールを飲むためなのだ。

旭川の空港に降り立ったのは再び東京に緊急事態宣言が発令される前日であった。

空港建物を出るとリスと思われるご当地キャラのあさっぴーが鎮座していた。右手に掲げるのは旭川ラーメンに違いない。

間違いがあってはいけないのであさっぴーについてネットで調べてみるとゴマフアザラシの男の子が憧れのホッキョクグマの姿に変身したとのこと。調べてよかった。

旭川空港からバスに揺られること1時間弱、旭岳温泉に到着だ。バスを降りて数分、登山者のオアシスである大雪山山荘に投宿した。

一夜明け、朝ご飯をお代わりし大雪山山荘を後にした。

ロープウェイで山麓駅から姿見駅まで10分、標高差500mを一気に上がる。片道券2000円に対して往復券は3200円とお得なのだが、有効期限は3日なので片道券を購入した。

そう、今回の旅は5泊6日で旭岳からトムラウシを往復するのだ。一昨年、昨年と旭岳から十勝連峰を縦走したので、今年は一休みして花を楽しもうと思ったのだ。一休みと言っても20kgはある荷物を担いで70km歩くので油断はしないようにしよう。

ロープウェイを降りて旭岳が見えてよかった。曇りでも山が見えるのと見えないのでは大違いである。ロープウェイに一緒の乗った人たちの中に縦走をする人はいなさそうで、旭岳まで行く人は何組かいたぐらい。今日は月曜日、静かな山行になりそうだ。

今年は6日しか山を歩いていなかったので体力はかなり落ちている、それでも旭岳の山頂まで2時間15分だったのでまずまずの出だしだ。

旭岳の頂上直下には黄花石楠花(キバナシャクナゲ)の群落があって好きな場所の一つである。

キバナシャクナゲの群生地の下にある雪渓を降りきれば裏旭のテント指定地だ。ここは泊まったことがないけれど、夜は満天の星を見られそうなので機会があれば泊まってみたい。

この辺りからお腹の調子が急に悪くなった。めちゃくちゃ痛い、そして襲いくる下痢の波の恐怖、下痢止めを飲んだが効く様子はなく、波は今日の宿泊地である白雲岳避難小屋に着くまで20回以上襲ってきたのだった。まぁ、携帯トイレを持っているので使えばいいのだが、初日から中身の入った携帯トイレを持ち歩きたくないので、小屋まで必死に我慢したのだった。

そんなお腹のこととは関係なく、道の脇には可憐な花が咲き誇っていた。霧の雫を従えた雌阿寒金梅(メアカンキンバイ)、とても涼しげだ。と言ってもここは下界の暑さを忘れるぐらい涼しい。

ここからしばらくお花をお楽しみください。

岩梅(イワウメ)

蝦夷の栂桜(エゾノツガザクラ)

稚児車(チングルマ)

白ではなくピンクのイワウメは珍しい。

荒井岳から北海岳の荒涼とした砂礫の稜線に現れた蝦夷高嶺菫(エゾタカネスミレ)、逞しい。

花咲く高山植物以外にこの時期に見られる残雪模様、ここはお鉢と呼ばれる場所である。

蝦夷岩爪草(エゾイワツメクサ)

雲間雪の下(クモマユキノシタ)

黄花塩竈(キバナシオガマ)

岩袋(イワブクロ)

エゾツガザクラと蝦夷の白山一花(エゾノハクサンイチゲ)

深山金梅(ミヤマキンバイ)

蝦夷小桜(エゾコザクラ)

鬱金空木(ウコンウツギ)

這松(ハイマツ)

青の栂桜(アオノツガザクラ)

高嶺女郎花(タカネオミナエシ)、別名は千島金鈴花(チシマキンレイカ) 

曇りなので遠くの景色は見られないが、足元の花を思う存分楽しみながら歩いて白雲岳避難小屋のテン場に到着した。

しかーし、ここまで下痢痛に悩まされてきたのでトイレに直行、九死に一生を得てトイレの有り難みを噛み締めた。

ここのテン場には清らかな雪解けの水が流れている。受付を済ませたらテントを張る前にビールを冷やす。

エゾノハクサンイチゲとエゾコザクラの向こうに残雪、疲れも忘れる良い景色。

夕方前、雲が散ってトムラウシ山が少しだけ顔を覗かせてくれた。

肩が痛いので確認したら痣になっていた。明日からはタオルを肩に当ててバックパックを背負うことにしよう。

テントを張って荷物を整理したらビールだ。つまみは柿の種、夕飯はボロネーゼのパスタ、野菜が足りないな。

 

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赤岳 〜 阿弥陀岳 2020 夏

2021-04-19 | 徒歩の旅

8/29 (土) 晴れ

スカッと晴れた夏山に行っておこう。一泊で電車とバスで行ける山、八ヶ岳、歩きごたえのある赤岳に向かった。

茅野からバスに揺られて40分、美濃戸口に到着して林道を歩いて行く。赤岳鉱泉に着いて受付を済ませる。テントを張れそうなスペースがなかなか見つからず、求めてテン場を一周してしまった。すると先ほどまでテントがあった場所がポンと空いていた。高台で日当たり良好の角地じゃないですか。他に突入してくる人もいないようなのでそこにテントを張った。テントを張り終えたらいきなり本降りの雨となった、時刻は14:30。トイレに行っておけば良かった。少し雨が弱くなったのでトイレに行って缶ビールを購入した。いつも思うのだけれど赤岳鉱泉には黒ラベルが置いてあるので偉い、とにかく偉い。ビールを飲んでいると空から雲が消えて大同心、赤岳、阿弥陀岳が見えた。

今日のご飯はソーセージにシシトウとトマトの水ソテーでワイルドな感じ。

以下の煮物を使った炊き込みご飯、芯が残ってしまったが見た目はおっけ!

もう一本ビールを飲んでお腹はいっぱい!

 

8/30 (日) 晴れ

4時半に出発、早い。行者小屋から地蔵尾根へ、左を向けば大同心、小同心、横岳。

地蔵の頭に到着、お地蔵様に手を合わせる。

赤岳を正面に左に富士山、この角度が好きだ。

赤岳の頂上は密集していたので横を通って阿弥陀岳に向かった。赤岳の影の向こうに阿弥陀岳。

中岳を越えて振り返る。夏の空と雲だねぇ。

バックパックを置いてコルから阿弥陀岳を往復、行者小屋に下って時刻は9時40分、天気も良く時間があるのでテントを広げて乾かした。テントは乾かして持って帰りたい。

1時間ほどでテントが乾いたので下山を開始、杉苔の生す森を抜けて美濃戸口へ。

美濃戸口のJ&Nでお昼を食べて茅野駅へ、そして定番のお土産の野沢菜漬けと塩ようかんを買う。この行動はパターン化しているな。

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南八ヶ岳 プチ縦走 2021 早春 3日目 (最終日)

2021-04-17 | 徒歩の旅

3/5 (金) 曇り

明るくなる少し前に目を覚ます。冷たい空気の中で寝袋の中に納まって転がっている時間が好きだ。寝袋から出ずにゴロゴロして赤岳に登らず下山してもいいかなと一瞬思う。

でも登れる山が目の前にあるのに登らないのはもったいない。靴ひもをしっかり締めずに歩いてできてしまった靴擦れが少し痛いが行動可能だろう。行くぞ!と決めて起き上がる。

テントの入り口を開けて見上げた空は薄曇りで風はない。素早く準備を整え、行者小屋へ向かった。一山越えて行者小屋に着くと幕営している人はいなかった、もう出かけたのだろう。

行者小屋から地蔵尾根を目指す。雪は思ったより多めだがトレースがあるのでサクサクと登っていく。樹林帯を抜けると気の抜けない雪の斜面が続く。時折振り返って高さを感じる。落ちたらずっと下まで転がっていくことだろう。

地蔵の頭の手前のやせ尾根の雪は少なめで安心して渡ることができた。赤岳鉱泉を出て2時間半、地蔵の頭に到着した。ここからは稜線を行く。山は稜線歩きが楽しい、少しずつ近づいてくる頂、見渡す遠くの山々、頰に当たる風。

赤岳頂上に着くまで誰にも会わなかった。こんなに静かな山行は八ヶ岳では初めてだ。頂上からは南アルプスや富士山が見えるのだけれど、やっぱり富士山が見えると気分が上がる。

下りは立場川源頭部を経て文三郎尾根へ、しかし誰にも会わない。まだ9時過ぎだからかも。雪が少なくなった岩場を下っていく、アイスバーンとなっていた箇所もあった。

文三郎尾根の分岐を過ぎてようやく人とすれ違った。今日は暖かくみんな薄着だ。上は凍っているから気をつけね。

赤岳鉱泉に戻ったのは11時過ぎだったが、だらだらとテントをしまって赤岳鉱泉を出たのは12時半近かった。いつも思うのだけれど基本中の基本である靴ひもの緩みを疎かにしてはいけない。靴ひもの緩みは靴擦れにつながり、指の爪が鬱血したり足の裏に水泡ができたりするからだ。そんなことにより、足の指が痛いのでゆっくりと下っていたら知り合いのガイドの方が後ろから追いついた。

少し話していたら赤岳山荘から美濃戸口まで車で送ってくれるとのことだったのでつい甘い言葉に乗ってしまった。そして赤岳山荘まで1時間と結構なペースで彼らのグループについて歩いてしまった。車の中で林道の危険性について話を聞く、美濃戸口から上はチェーンは必須だ。

美濃戸口で降ろしてもらい、意気揚々とレストランJ&Nへ向かう。山から降りて美味しいものを食べたくなる僕にとってオアシスのような店なのだ。

ポークリエットをつまみにビールで乾杯、外でぶらぶらしているお店のシベリアンハスキーに美味しいよと念を送る。

冬の定番ビーフシチュー、ホクホクの野菜、ホロホロの肉、ソースの旨味が身体に染み入る。

締めはモンブランとカプチーノ、モンブラン美味し!

その後タクシーで茅野駅へ。駅で長野のお土産を物色、野沢菜漬けは外せない、定番の塩ようかんとくるみ餅はこの前物産展で買ったので、今日はわかさぎの筏焼を選択、筏焼と名前がついているが甘露煮だ。

今季初めての雪山は天候にも恵まれ充実した山行になった。コロナ禍、十分気をつけて山を楽しもう。

後記:今日は天気が良ければ蝶ヶ岳から常念岳を歩いている予定であった。次の山行の機会は5月、準備を怠らず機会を待つことにしよう。

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南八ヶ岳 プチ縦走 2021 早春 2日目

2021-04-10 | 徒歩の旅

3/4 (木) 晴れ

昨夜はとても寒かった。テントが飛ばされて身体中がピンク色のサビに覆われると言う恐ろしい夢で目が覚めた。朝ごはんの蕎麦を食べて身体を温める。

今日は東天狗岳、硫黄岳を経て赤岳鉱泉まで歩く予定だ。天狗の奥庭に向かう高台に登ると東天狗と西天狗が仲良く並んでいるのが見える。左が東天狗岳だ。

この時期のスリバチ池はこんな感じで、雪が溶けると水が溜まった池となる。

雪の上に動物の足跡を見かけるのは珍しくない。でもこれは誰のものだろう。タヌキ?

天狗の奥庭を抜けて東天狗岳へ向かう。斜面の雪は少なかった。天気は快晴、頂上で3回ぐらい360度見回した。

東天狗の頂から南に向かうヤセ尾根にトレースはなかった。つるりと行ったら命の保証はなく、ちょっと怖かったので後ろ向きになって慎重に下った。

根石岳を超え夏沢峠を経て硫黄岳へ、硫黄岳からは横岳から赤岳、阿弥陀岳の塊をドーンと見ることができる。ここまでの疲労が吹き飛ぶ絶景だ。

赤岩の頭から赤岳鉱泉に一気に下る。赤岳鉱泉に着く頃には結構疲れていて、当初の予定だった行者小屋行きはやめて赤岳鉱泉に泊まることにする。

これは有名なアイスキャンデー、知り合いのガイドの方がクライミングの講習をしていた。

テントを張ったら夕飯だ。黒ラベルを飲めたので赤岳鉱泉にして正解だった。

夕飯はナスと焼き鳥炒め、ひよこ豆とソーセージのクリームシチュー、パンは2個、お腹いっぱいだ。

この後ホロ酔い加減になるまで持ってきたウイスキーを舐めて早々に寝袋に潜り込んだ。

とても静かな夜だったが、ヘッドランプでテントを照らされて何度か目が覚めた。テントは薄い布だから照らしちゃダメだよ。

 

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南八ヶ岳 プチ縦走 2021 早春 1日目

2021-04-06 | 徒歩の旅

3/3 (水) 晴れ

今シーズン初めての雪山だ。密を避けるため平日に出かけ、宿泊はテントだ。特急あずさで茅野に着くと登山者はとても少なかった。平日は山へ向かうバスがないためタクシーで登山口の渋の湯に向かった。

渋の湯も静かだ、お昼ご飯にどら焼と柿の種を食べて出発する。

3ヶ月ぶりの山行、それもテン泊なのでバテないようにゆっくりと歩いた。今日はとても暖かく、歩き始めてすぐに汗が出てきたのでアウターを脱いで薄手のフリースで歩いた。

今日の宿泊地である黒百合ヒュッテに着くまでに数組の下山者とすれ違ったのみ、こんなに空いている八ヶ岳は初めてだった。久しぶりに雪を踏みしめて歩く感覚を楽しんだ。立ち止まると静寂の中で木々から落ちる雪の音だけが聞こえる。

ヒュッテに着く少し前に振り返ると北アルプスの山々が見えた。雲ひとつない青空だ、今日来られてよかったと染み染みと思った。

黒百合ヒュッテに到着した。ここには何度か泊まったことがあるがテント泊は初めてだ。

太陽光発電はバイオトイレを維持するために使われている。

週末は混雑するテン場もガラガラで、あと2張りのテントがあるだけだった。

テントを張り終えて時間は2時半、景色が素晴らしい中山まで歩こうかとも思ったが往復で2時間、面倒だしこれ以上疲れたくないのでパスしてビールを飲もう。

ビールを飲観ながら鍋を作った。白菜、色々なキノコ、鶏肉、出汁はチキンスープで塩胡椒で味を整えた。その後切り餅を投入した。

テントの中はお日さまに温められてポカポカで、テントの隙間から見える空は限りなく青い。幸せな時間が過ぎていく。

2時間半ほどゴロゴロした後、夕陽が落ちる山々を眺めるために高台に登った。振り返れば黒百合ヒュッテの全景が見える。

西に目を向けると木曽御嶽山、乗鞍岳、北アルプスが一望できた。下の写真は穂高の山々と槍ヶ岳、その右は常念岳と大天井岳かな。

太陽が落ちると急に寒くなったのでテントに戻った。寝る前にトイレに行ってヒュッテ入り口の温度計を見たらマイナス8度だった。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2020 5日目 (最終日)

2021-03-24 | 徒歩の旅

7/9 (木) 晴れ

昨日は丸々一日寝ていたので大分疲労が取れた。そして、一日降っていた雨が上がって今日は良い天気になりそうだ。

テントから出るとオプタテシケの山塊が温かく優しい朝陽に包まれていた。太陽の光はいつも安らぎを与えてくれる。

雨の中二泊してぐちゃぐちゃに濡れてしまったテントを畳む。雨を吸って重くなったテントを丸めてバックパックに詰め込んだ。

テント場から暫くは雪渓を登っていく。昨年ここを通った時に登山道を見つけるに手こずったり、スリップしたりしたことを思い出した。

雪渓を登り切って振り返れば山の緑に雪渓の白が映え、真っ白な雲が浮かんでいた。

オプタテシケ山頂前のピークを過ぎて振り返る、昨年霧の中でこのピークを山頂と勘違いしたな。

山頂直前の急登を登って登頂。ここは富良野側の登山口から日帰り圏内、少しホッとする。

肩の皮や足の皮が剥けてしまい歩くたびに痛いが先に進むのみだ。静寂の中、ベベツ岳、石垣山と一山一山超えていく、そして美瑛富士避難小屋の分岐まで辿り着いた。

今日は美瑛富士避難小屋でテントを張るか、それとも先に行くか。時刻はまだ11時過ぎ、十分先にいける時間はある。問題はどこまで先に進むかだ。傷んだ足を引きずって十勝岳を越えて上ホロカメットク避難小屋まで行ってもう一泊できるだろうか。でも踵や肩の皮が剥けた状態で歩くのは辛いし、何より破傷風が心配だ。吹上温泉登山口に今日中に下山しよう、そうしよう。美瑛富士避難小屋の分岐から進むと昨年折り返した雪渓の先に美瑛岳が見えた。昨年はここで折り返して望岳台に一度下山したのだった。

のろのろと次の美瑛富士の分岐に着くと一人の登山者が美瑛富士に向かうところだった。彼は走っていた。。。

そこから暫く行った美瑛岳の分岐からはハイマツの藪や急な下りの連続で、時折雪渓や川が現れると言う盛り沢山な内容で足は悲鳴をあげていた。

そして下りてきた山道を振り返る。もう少しだ。

よくやった、と言いたいところだけれど、ここから下山口まで2時間ほどあり、最終バスの時刻が迫っているので常に距離と時間を確認しつつ歩いた。まぁ遅れたら下山口のキャンプ場に泊まると言う手もある。何度か入ったことがあるが、ここには大きな露天の温泉もあるのだ。

そして下山口の銀水荘に到着、最終バスの20分前であった。よくやった。

バスで上富良野に着き、そこから富良野線で旭川に向かった。列車に揺られながら畑の丘の向こうに見える十勝や大雪の山々、そこを歩いた充足感が景色をさらに美しい記憶に変えてくれた。

旭川の駅ビルで夕飯を食べた。生ビールに味噌チャーシュー麺、美味い、美味い、美味い、と思ったに違いない。下山してやりたいことはいつもビールとご飯なのだ。

おしまい。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2020 4日目

2021-01-16 | 徒歩の旅

7/8 (水) 曇り時々雨

朝起きるとポツポツと小雨が降っていた。テントのフロアは結露で相変わらず水浸しだ。今回シュラフカバーを持ってきて本当によかった。おかげでシュラフを濡らさずに済んだ。

こんな天気の中、歩く気分になれなかったので休養日にすることにした。そしてひたすら寝た。本当にひたすら寝た。

午後、オプタシケ山の雪渓から下ってくる人の声がした。テントの隙間から覗くと二人連れの登山者だった。あちらからは見えないと思うけれどテントの中から「こんにちは、気を付けて」と挨拶した。二人もこんにちはと挨拶して双子池方面に去っていった。雨の中を熊笹を掻き分け、ぬかるんだ坂道を登ることになるだろう、辛いけれど二人なら気も紛れるかもしれない。

雨は一日中降ったり止んだりしていたが、夕方になって静かになったので外を覗いてみると雨は上がってオプタテシケ山が霧に包まれていた。

その15分後、霧が流れてオプタテシケ山が姿を現した。明日は荒天でなければ先に進もう。

明日に向けてご飯を食べよう。もそもそとテントを這い出て雪解け水にビールを突っ込んでから沢に水を汲みに行った。

ビールと柿の種、雨風を凌げるテント、静かに夜は更けていった。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2020 3日目

2021-01-11 | 徒歩の旅

7/7(火) 晴れのち曇りのち雨

今日の行動時間は10時間と長丁場になる。少し赤くなった空の下、トムラウシ直下の南沼を後にした。

南沼を後にして少し行くと左手にこれから歩く山々が見えてくる。左手少し奥の三角錐の山がオプタテシケ山でその麓が今日の宿泊予定地だ。

たまに見かけた白山千鳥(ハクサンチドリ)

白山一華(ハクサンイチゲ)咲く草原の向こうから4頭の鹿がこちらをじっと見つめていた。

三川台の分岐、ここから先はハイマツとクマザサの中を行く。

この藪を超えて行くものは好き者だけである。久しぶりの山行で足が痛いのだましだまし歩く。靴擦れもできたかもしれない。

途中大きな石が重なる場所に着いたら何やら臭い。なんと登山道の石の上に人糞と思われるものがあった。素晴らしい景色も台無しだ。脱糞するなら登山道は外して欲しい。ちなみに僕は携帯トイレでウンコは持ち帰る。人の多い登山道では今や常識だ。

この後もハイマツやクマザサと格闘しながら進んで行く。ツリガネ山の急登はズルズルで結構大変だった。双子池あたりの沼はぬかるんでいて濡れてしまい、歩くたびに靴からズブズブと音がした。

双子池キャンプ指定地に到着、一息つくかと思ったら雨が降ってきた。取り敢えずビールを雪解け水の流れに沈めて、テント一張り分の固い地面を見つけてテントを張った。雨はすぐに本降りとなった。

テントに潜り込んで靴下を脱いだらとんでもないことになっていた。右足の薬指と小指、左足の小指の爪が死んでいた。痛い。中まで濡れた靴で歩いていたため、両足のかかとの皮が長辺4、5cmの楕円形でずるりと剥けていた。痛い。とりあえず持っていたアルコールで消毒し、絆創膏を貼ってテーピングで補強した。皮が剥けた大きさは絆創膏2枚分ぐらいなので破傷風にならないか心配だが、今は身体を温めて横になろう。

雨は断続的に降って、テントの中は結露でビショビショになった。雨漏りもしていたかもしれない。スポンジとタオルでフロアにできた水たまりを拭いてもすぐに水たまりができてしまう。シュラフカバーを持ってきて本当によかった。でも、雨の時期はやっぱりダブルウォールのテントにしようと思うのであった。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2020 2日目

2020-11-01 | 徒歩の旅

7/6(月) 朝のうち雨、晴れのち雨

明るくなって目が覚めたらまだ雨がぱらついていた。雨かぁ、と思っていたがしばらくして雨が上がった。6時前、今日は曇りかぁ、と出発する。

忠別岳避難小屋の分岐から五色岳へのハイマツ帯を歩いていると、見る見る雲がなくなり快晴となった。こんなに晴れていいんですかぁ!五色岳に着くとハイマツの海の先にとトムラウシ山がここにいますよ、みたいな感じで現れた。

山奥では携帯の電波が入らないことが多いのだけれど、山頂は電波が入りやすい。昨夜は家族に連絡できなかったので五色岳からトムラウシを背景にした自撮り写真を送った。

ハイマツ帯を抜けた化雲岳手前には細葉得撫草(ホソバウルップソウ)が多く咲いている。ホソバウルップソウは絶滅危惧種で日本では数ケ所でしか見ることができない。

これは大好きな黄花石楠花(キバナシャクナゲ)

蝦夷の栂桜(エゾノツガザクラ)、この花も可愛い。

蝦夷子桜(エゾコザクラ)、この花も可愛い。

稚児車(チングルマ)、この花も可愛い。可愛い、可愛いしか言っていないが、どの花も美しく可愛い。

化雲岳からトムラウシ山へ向かう木道、この陽気の中、花畑を歩いていると脳みそが蕩けていくようだ。足の痛さも、日々のストレスも忘れてしまう美しさだ。

深山金梅(ミヤマキンバイ)、だと思う。

ヒサゴ沼の分岐を過ぎるとゴツゴツとした岩の塊が散見される場所に出る。

その後は沼と巨大な岩場を抜けて広い場所に出た、ここを登って降ればもう少しで北沼だ。膝横の腱が悲鳴をあげていたのでゆっくりと歩いていく。こんな山奥なのにカラスがいてこちらの様子を伺っている。カラスは弱った獲物を見逃さない。襲われないよう用心して進んだ。

脚が痛いので、北沼からトムラウシの山頂を迂回した。迂回したルートには様々な花が咲いていて、雪と沼とのコントラストが美しかった。

12:45にトムラウシ山直下の南沼キャンプ指定地に到着、テントを張って小川の水を濾過してビールを飲んだ。山で飲むビールは本当にうまい。悪魔に魂を売ってしまっても飲みたいぐらいうまい。

ツアーの登山者たちがやってきてしばらくして下山していった。今のところテントは僕の一張りだけで、静かな夜になりそうだ。

そしてガスが出て涼しくなるまで雪解けの小川の音と小鳥のさえずりをを聴きながら山と空を眺めていた。

寝袋にもぐって今日は今回の山行のハイライトだろうな、と思った。夕方になり小雨が降ってきた。明日は藪漕ぎで厳しい1日になるだろう、頑張ろう。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2020 1日目

2020-10-24 | 徒歩の旅

7/5 (日) 晴れのち雨

6:00、旭岳ロープウェイの山麓駅へ着くと10人程の登山者が入り口に並んでいた。早めに到着してよかった、その後ロープウェイを待つ人の列は長くなっていって、搭乗者数が制限されているので6:30の始発便はすぐに満員となったからだ。

15分程で山頂の姿見駅に着くと雄大な旭岳の姿が目の前に現れた。駅前で準備を整え、よっしゃー!と一歩を踏み出した。20kgを超える荷物となったが、天気は上々、気分も上々、一歩ずつ旭岳の山頂を目指す。

右手にはこれから歩く神々の山々が広がっている。昨年より残雪は少なめのようだ。

2時間程で旭岳山頂に到着、今日は長い1日となるので休憩もそこそこに山頂を後にする。ここまでは余裕があって、その後泣きを見ることになるとは全く知らない。

山頂直下には黄花石楠花(キバナシャクナゲ)が咲いていた。そこを抜けると砂礫の急坂があり、ズルズルと滑るので油断できない。そして大雪渓が現れてホッとする。旭岳裏の大雪渓を下って振り返ればこんな感じだ。見えるかわからないけれど、上の方の点々が人だ。

雪渓が終わると裏旭野営場がある辺りで、再び黄花石楠花が咲き乱れる。

荒井岳から北海岳にかけては大きな火口の縁を歩いて行く。そこはお鉢平と呼ばれこの季節は残雪の模様が美しい。秋には紅葉も美しい場所だ。

北海岳から白雲岳避難小屋へ向かう道は静かで両脇に岩梅(イワウメ)、峰蘇芳(ミネズオウ)、御山の豌豆(オヤマノエンドウ)などが多く咲いている。これは御山の豌豆。

12:00、白雲岳避難小屋に到着した。白雲岳避難小屋は今年建て替えられるので工事中である。小屋泊まりの営業はなく、月曜日から木曜日だけテント泊が可能となっていた。今日は日曜日なので泊まることはできないのだけれど、平日でも作業の邪魔になるだろうし、とても落ち着ける場所ではなさそうだ。あわよくば泊まれたらな、と思っていたがその思いはぶっ飛んだ。先に進もう。

小屋の方からテント場を振り返るとこんな感じだ。作業のみなさん、ご苦労様です。

白雲岳避難小屋を過ぎると人足は途端に少なくなる。高山植物の女王と呼ばれる駒草(コマクサ)、見れば見るほど複雑な形をしている。

この辺りは高根ヶ原と呼ばれ眼下には高原温泉から行ける沼がいくつも見える。手前の大きな沼は空沼だ。この斜面でよくヒグマが見られるとのことだけれど見えないなぁ。以前沼巡りをした時の日記はこちら

忠別岳が近づいてきた。手前に見えるのは忠別沼だ。この頃、膝と足が痛くなってきた。なんと言うことだろう、今日は初日なのに。やはり普段歩いていないのに突然長距離を歩いたからだろう。それも重い荷物を背負って。

忠別岳から避難小屋までがまた遠い、名前は一緒なのに遠い。脚が痛いので一層そう感じるのだ。

小屋直前の雪渓は昨年に比べると少なめでクレバスも全くない。小屋に近づいていくと数人の人が外に出ていて挨拶をした。小屋を行き過ぎるとこっちですよーと呼んでくれたので、テン場に行くんですーと答えた。テント場は小屋から少し下ったところにあるのだ。どうやら今夜のテント泊は一人のようだ。

テントを張り終えたらテン場前の雪渓で冷やしておいたビールを飲む。至福のひと時なのだ。

夕飯を食べ終わり、テントの中で寝転がっていたら鹿の鳴き声がしたので外に出てみると、100メートルぐらい先に2頭の鹿がいてこちらをじっと見つめていた。

お邪魔しています、と言って再びテントに潜り込んだ。

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