10/31(土) - 11/1(日) 晴れ
もう2016年だけれど、これは2015年の話なのだ。
山にはもうすぐ冬がやってくるという。雪が降る前に今一度山に行こう。
痛さで歩くのが困難になるかもしれない足なので、無理をしない行程を考えた。八ヶ岳の黒百合ヒュッテに泊まり、天狗岳を目指すというものだ。
8時ちょうどのスーパーあずさ5号で新宿を出発した。茅野駅に10時過ぎに到着し、そこからバスで1時間ほど揺られて渋の湯へ向かった。
渋の湯から黒百合ヒュッテまでは2時間半ほどだ。入山届けに名前を記入して登山道へ入った。妖精が隠れている雰囲気の苔むす山道を歩いていく。
時折登山者とすれ違いながらゆるゆると登る。足は大丈夫なようだ。天気は申し分ない。
後半は沢のような道をしばらく歩く。大きな石の上を歩くので注意が必要だ。
ぱっと視界が広がって黒百合ヒュッテに到着した。ビールとおでんで休憩して散歩に出かけた。
黒百合ヒュッテの北側にある中山まで行ってみた。樹々が白くなっている。近くに寄ってみるとサリサリした白い氷であった。霧氷というのかな。
ヒュッテ(山小屋)に戻ってストーブ脇で山の雑誌を読みながらコーヒーを飲んだ。今ゆっくりしてるな、俺。ここは僕ではなく俺だろう。
太陽が沈みそうな気配がしたので表に出てみると、今夜の宿泊者たちと思われる人たちが目の前の坂を登っていくのが見えた。夕日を眺めに行くとのことだったので付いて行った。
振り返るとヒュッテの屋根にはソーラーパネルが並んでいた。
明日登る天狗岳、左が東天狗で右が西天狗だ。天城越えではないが、山が燃える~なのだ。
御嶽山の左に太陽が沈んでいった。
ヒュッテに戻って夕飯を食べた。夕飯はハンバーグであった。ご飯はお代わりしておく。
夕飯のあと、大先輩の方とひとしきり話をした後、星空を眺めてから寝床に入った。
今夜はハズレであった。隣の男性のイビキが凄すぎた。せめて隣の隣であったら眠れたかもしれない。
眠れない時は音楽だ。アルバムを4枚ぐらい聴いてから眠りについた。
きっかり5時に起きてぼーっとした頭でご飯を食べた。ご飯を食べたら目が覚めてお代わりをしておいた。
東天狗に向かうルートは中山峠からの尾根筋と大石が転がる天狗の奥庭を抜けるふたつがある。天狗の奥庭を抜ける予定だが、日の出を拝めそうだったので中山峠まで行って戻った。
日の出なのか日の入りなのかわからない感じだがこれは日の出なのだ。
昨日に引き続き晴天だ。茅野と諏訪は雲海に覆われていた。
累々とした大岩の間を縫っていく。風が強いので休憩時は岩陰に身を寄せた。頰に当たる風の冷たさが清々しい。
少し足に痛みが出てきたのでゆっくりと登り尾根に出た。そこから東天狗岳の頂はもうすぐだ。
東天狗岳の頂から南方を眺める。岩陰に腰掛けてしばらく景色を眺めていた。
隣の西天狗岳までは往復で1時間ほどだろうか。今回は見送って先に進むことにする。
向こうに見えるのは浅間山だろうか。
中山峠でその前に会った人と再び会った。黒百合ヒュッテを見に行ったそうで、これからロープウェイまで向かうと言う。彼と別れてニュウ(乳)と呼ばれる岩場に向かった。
ニュウには大勢の人が集まっていた。ほとんどの人が白駒池方面からやってきたようだ。ニュウから富士山を望んだ。
小さな休憩を取った後、樹林帯と小さな沼地を抜けて白駒池に出た。白駒池は静かな池だ。
白駒池でトイレに行こうと思ったのだが、目的のレストハウスは営業を終えていたようだった。
では次の高見石小屋までがまんだ。高見石小屋でトイレを済ませ、軽い昼ご飯を食べた。
名物の揚げパン、ここで食べるから美味しいのか、もともと美味しいのか。いや、その両方だろう。
ご飯ものができないとのことだったので、カレーとナンを注文した。こちらも美味しい。
小屋裏に積み上がった大きな石を登ると白駒池が見えた。
高見石小屋から再び針葉樹の森を歩いて渋の湯に向かった。
沢筋に入ると今度は岩が多くなる。遠くに誰かいたかと思ったら地蔵であった。ここは賽の河原と呼ばれる場所だ。
今来た道を振り返るとこんな感じだ。この地蔵は昔村のために手打ちとなった若者のために祀られたという。悲しい話だ。
渋の湯の近くまで降りて最後の休みを取った。深い森の中でコーヒーを飲んだ。ゆっくりしてるな、俺。
渋の湯からバスで1時間、染み染みとしながらザックを抱えて茅野駅まで向かった。
小腹が空いたので駅で立ち食い蕎麦を食べたら、中山峠で会った人にまた会った。一緒に蕎麦を食べて、またどこかでと言って別れた。
帰りの列車でビールを飲む。最後までゆっくりしてるな。